「九条の会・わかやま」 419発行(2021年02月13日付)

 419号が2021年2月13日付で発行されました。1面は、第80回「ランチタイムデモ」実施、改憲発議反対! 菅政治を転換させよう 「押し付け憲法」と言うのなら 何故他の押し付けに反対しないのか 「九条の会・わかやま」事務局・奥野 和博、世論調査結果(朝日新聞1月25日)菅内閣支持率推移、九条噺、2面は、言葉「感染症法」、政権交代へ 野党と市民の共闘を 中野晃一上智大学教授、朝日新聞世論調査(1月25日)新型コロナ政府対応   です。
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第80回「ランチタイムデモ」実施



 一年の始まり、春の始まりと言われる立春も過ぎた晴天の2月10日、節目の80回目を迎えた「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」)が、70名の市民の参加で行われました。
 今回は伊藤あすみ弁護士がコーラーを務められました。「人生初のシュプレヒコールなので、温かく見守ってください」と、出発時にスピーチがありました。
 参加者は和歌山城西の丸広場から京橋プロムナードまで、「憲法いいね」「9条いいね」などのオリジナルな伊藤弁護士のコールに合わせて、「平和を守ろう 憲法守ろう」などを訴えて行進しました。終了後には「今日が第80回ということで、ここまで継続して来られた皆さんの熱い思いを感じます」と、伊藤弁護士からの挨拶がありました。



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改憲発議反対! 菅政治を転換させよう
「押し付け憲法」と言うのなら 何故他の押し付けに反対しないのか
「九条の会・わかやま」事務局・奥野 和博


 私は第2次大戦の4年後に生まれた。当然戦争については何も経験していない。父母には時々戦時中の話を聞いたことはあるが自身の血肉にはなっていない。私が生を受ける2年前の47年に、日本国憲法が施行された。これにより当時の文部省は、中学一年生の教科書として『新しい憲法のはなし』を発行した。中身は他の資料に委ねるが、50年には副読本に格下げされ、次の年には使われなくなった。このことには当然、当時の世界情勢が反映されている。軍備廃止を賛美するこの本の論調が、50年に勃発した朝鮮戦争を機に米国の指示で日本の再軍備が始められた現実と合わなくなったためである。この年に警察予備隊がつくられ、2年後には保安隊となり、その2年後に自衛隊が発足した。私が5歳の時である。
 今、日本国憲法は米国による押し付け憲法であると、自主憲法制定を唱える人たちがいる。それならば日本の再軍備も米国の押し付けではないのか。でも彼らはこのことについて一言も触れない。米国の押し付けに反発するのであれば、沖縄の米軍基地をはじめとした国内の米軍基地や、首都東京や沖縄の空の管制権さえ米国に握られている屈辱的な現実に、何故反発しないのかと私は言いたい。
 時を経て91年、自衛隊が初めての海外派遣でペルシャ湾へ行くことになった。このことに反対していた私たちの宣伝行動にWBS和歌山放送のアナウンサーが私にインタビューをしにきた。「何故あなたは自衛隊の海外派遣に反対するのですか?」と。私は毅然として答えた。「自分の息子が海外で武器を持ち、人殺しをすることになるのは絶対に許せません」と。憲法9条は、決して武器を持って他国と戦争することを許していない。私たちの珠玉の宝物である。私は今もこのことを人生の柱として頑張っていこうと思う。

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世論調査結果(朝日新聞1月25日)
菅内閣支持率推移




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【九条噺】

 昨年は、「コロナに負けるな!」「コロナに打ち勝とう!」という言葉が飛び交った。しかし、ある科学者の言葉を借りると、コロナは自然現象であり人類がそれとどう寄り添って生きていくかの問題であり、決して敵でもなければ味方でもない▼数年~十数年に一度は起る感染症は、地球に生きる生物が受け入れなければならないことだ。残念ながら、私たち人類は自分たちの経済的利益を得るために、森林やジャングルの奥まで乱開発してきた。それが未知のウイルスと出会ってしまった原因ではないかと言われている▼鉱工業の発展と称して化石燃料をふんだんに消費してきた。その結果、地球温暖化が進行し台風の大型化や集中豪雨の多発を招いている。経済優先の社会から自然保護・温暖化防止へと舵を切る局面だと思う▼トランプ大統領は温暖化対策に背を向け、コロナは風邪引きのようなものだと豪語し、マスクを着けずに選挙戦に臨んでいたが、自らコロナに感染してしまった。自業自得というものだろう▼日本は欧米に比べてコロナ感染者数は比較的少ないと言われているが、それでも今や41万人を超えている。コロナ対策は全くの後手後手で、GoToと言って人と人との接触を増やし、会食を進めてきた菅政権の罪は大きい▼敵はコロナではなく自然環境保護を無視してきた人々ではないのか。今こそ自然保護・温暖化防止や再生可能エネルギーの活用に、真剣に取り組むことが私たち人類に求められていると思う。(奥)

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言葉「感染症法」

 人類は、感染症によって多大の苦難を経験してきました。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時に文明を存亡の危機に追いやりました。感染症の根絶は、正に人類の悲願と言えるものです。医学・医療の進歩や衛生水準の向上により、多くの感染症が克服されてきましたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再発で、今なお人類に脅威を与えています。
 一方、我が国には過去にハンセン病、エイズ等の感染症患者にいわれのない差別や偏見が存在したという事実があります。
 そこで感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する総合的な施策の推進を図るため、1998年10月、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)が制定されました。それを、コロナ禍の中で改正しようというものです。
 その問題点は、改正案に刑事罰を盛り込もうとしたことです。骨子は、①感染者が入院を拒否した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、②保健所の調査を正当な理由なく拒否した場合は50万円以下の罰金という内容です。政府は刑事罰の導入について「実効性を担保するため」と説明していました。
 日本弁護士連合会は、「感染症法の目的は第一に感染症の患者等の人権を尊重するものでなければならない。新型コロナウイルスには発症前にも強い感染力があるという特徴が認められ、入院措置・調査の拒否者等に対して刑罰を科したからといって感染拡大が防止できる訳ではない」という声明を発しました。
 刑事罰が恐怖や差別を引き起こし、対策への協力が得られなくなる恐れがあるとの反対論が、野党から起こり、「懲役・罰金」という刑事罰は見送られることになりましたが、50万円以下の「過料」という行政罰は残りました。  入院勧告に従わない患者が感染を広げたという科学的な根拠は示されていませんし、厚労省は刑事罰の対象になるような事例が何件あったかも調査、集計していません。刑事罰のような強力な人権制約を正当化する事実は存在しません。例え行政罰であっても、罰則の導入は感染拡大防止の妨げになり、患者への差別と偏見を助長する恐れが多分にあります。それに多忙な保健所の業務を一層増やすだけです。行政罰も撤回すべきです。

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政権交代へ 野党と市民の共闘を
中野晃一上智大学教授




 2021年は総選挙の年。「安倍-菅」と長く続く自公政権のままでいいのかが問われます。国民本位の新たな政治をつくる上で何が必要か、市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)呼びかけ人の中野晃一上智大学教授に話を聞きました。

行き詰まる菅政権/支持率の低下は当然

 菅政権は発足4カ月にして、早くも行き詰まっています。新型コロナウイルス感染への対応を見ても、後手後手で、まともな説明や発信ができません。それを有権者に見透かされ、各種世論調査での支持率急落につながりました。
 政権を投げ出した安倍氏の後釜に菅氏が据えられたのは、官房長官として数々の疑惑にふたをし、国民や野党の疑問・質問を門前払いしてきた手法が買われただけ。首相の資質があったわけではありません。
 世界では今、リーダーのコミュニケーション力が問われています。国会での説明や必要な会見から逃げてばかりいる菅首相には、それが全く期待できません。
 自民党内で「ポスト菅」が議論され始めるような状況にさえなっています。

本気で野党共闘を/大きい国民の期待

 内閣支持率は低下していますが、野党への支持率が上昇しているわけではありません。今年は総選挙があります。野党共闘が菅政権にうんざりしている人々の選択肢になれるかどうかが大きな課題です。
 時間はありません。現在の閉塞感を打破すべく、野党共闘が存在感ある選択肢になるよう政策面と候補者調整の準備を急いでほしい。
 政策については、例えば消費税の減税問題。減税率など細部にこだわるのではなく、不公平税制の是正と社会保障拡充という所得再配分機能を強化する枠組みの中に位置付けて考えるべきでしょう。
 憲法論議への対応でも野党は足並みをそろえてほしい。新型コロナ感染拡大の今、浮世離れした憲法論議をしている余裕はないはず。その上で、有権者の期待に本気で応える政策が必要です。

無責任政治と決別を/政治への絶望広げるな

 私が今、恐れているのは有権者の「静かな絶望」が広がり、定着してしまうことです。
 仮に首相の顔が代わったとしても、これまでの「無責任でタガの外れた政治」が横行し、固定化することが怖い。首相の首のすげ替えでは何も解決しません。
 民主党が下野した2012年衆院選の後、5回の国政選挙がありました。参院選では1人区で野党共闘が進められ、改憲派に3分の2の議席を取らせないことに成功しました。野党共闘の威力は証明済みです。
 問題は、衆院選の小選挙区で効果的な野党共闘を実現できるかどうかです。前回の17年には明確な形をつくれませんでした。今度こそ、大きな形で小選挙区の野党共闘を実現し、政権を代えなければなりません。 (機関紙連合通信社HPより)

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朝日新聞世論調査(1月25日)



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(2021年02月13日入力)
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