「九条の会・わかやま」 420発行(2021年02月24日付)

 420号が2021年2月24日付で発行されました。1面は、「和歌山障害者・患者九条の会」学習会開催 ジェンダーについて考えよう!、改憲発議反対! 菅政治を転換させよう 菅首相の改憲路線は安倍前首相以上に危険だ 「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲、九条噺、2面は、みなべ「九条の会」がピースアピール、戦争テーマの映像作品上映会 和歌山大教授制作、書籍紹介『政党助成金、まだ続けますか?』  です。
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[本文から]

「和歌山障害者・患者九条の会」学習会開催
ジェンダーについて考えよう!




 「和歌山障害者・患者九条の会」は2月14日、和歌山市ふれ愛センターに17名が集い、学習会を開催しました。「だれもが輝く未来を生きるために」と題して、和歌山県母親大会連絡会事務局長の西川静代さんによる講演が行なわれました。
 生物学的な性差をセックスと言うのに対して、ジェンダーとは社会的・文化的に作られた男女の違いを言うそうです。妊娠・出産は女性の生物学的特徴ですが、子育てはそうではありません。昨年の「ジェンダーギャップ指数」は、世界153カ国中、日本は121位。後進国と言わざるを得ません。
 今、社会を賑わせている東京オリンピック・パラリンピック組織委員会前会長の森喜朗氏の発言は、よくも悪くもジェンダーについてみんなが考える機会になったのではと参加者の意見が相次ぎました。
 ジェンダーの相違を乗り越えて男女の対等な関係を目指すジェンダーフリー教育が進められるようになってきましたが、これに対して右派は憲法改正や歴史の見直しと並んで、ジェンダーフリーに対する攻撃を強めているそうです。そして西川さんは、多様性を認め合う共生社会をつくるためには、憲法9条が守られ、13条の「すべて国民は、個人として尊重される」が真に保障されることが必要と強調されました。そして、おかしいと思うことは仕方ないかとあきらめるのではなく、おかしいと声を上げ続けることが大切だと話されました。
 とても判りやすい語り口で、理解を深めることができました。これまでの伝統や慣習に捕われず、日常生活の様々な場面で視点を変えていくことが必要と感じた一日となりました。(事務局の野尻誠さんより)

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改憲発議反対! 菅政治を転換させよう
菅首相の改憲路線は安倍前首相以上に危険だ
「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲


 第2次安倍政権は、13年12月に「特定秘密保護法」を強行成立させ、その4カ月前の8月には「憲法を変えない限り行使はできない」という解釈が維持されてきた集団的自衛権を、憲法を改正せず行使できるようにするために、内閣法制局長官に集団的自衛権の行使に積極的な外務省出身の小松一郎氏を起用し、そして14年7月に集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、15年9月には「安保法制(戦争法)」の制定を強行しました。
 17年5月には「自衛隊を憲法9条に明記し、2020年に新しい憲法を施行したい」と、憲法9条に自衛隊を書き込む明文改憲案を打ち出し、任期中の改憲に強い執念を示しましたが、国民のたたかいによって明文改憲は実現しませんでした。そして、20年9月に体調不良を理由に辞任をしました。
 その後、自民党派閥の馴れ合いによって成立した菅内閣は、ほとんどの課題で「安倍政権の継承」を強調し、改憲についても「自民党は憲法改正を党是として立党された政党だ。憲法施行から70年以上が経ち、現実にそぐわないことがたくさんある。憲法審査会を動かして議論し、国民の雰囲気を高めていくことが大事だ。自民党総裁として憲法改正に挑戦していきたい」とはっきり主張しました。
 その直後の10月に日本学術会議会員任命拒否事件が起りました。これは、まさに憲法で保障された「学問の自由」を乱暴に踏みにじる行為です。菅首相は拒否の理由を「総合的、俯瞰的」と訳の分からない「理由」しか述べられませんでした。菅首相は理由の述べようがないのです。日本の、憲法9条を中心とする平和主義の体制を変えて、「戦争が出来る国」の方向に行きたいから、9条の本来の趣旨を主張する人たちは外したということが本質です。これは「戦争が出来る国」の方向へ行く体制を作る中で、その準備に反対する人は外しますというメッセージです。
 この菅首相のやり方は、全体主義だという声があります。全体主義とは、「個人ではなく、国家や民族が尊いもので、国家が目指す方向に個人は奉仕すべきであるという思想」と理解しますが、まさに、「戦争が出来る国」への方向に行くことが国家の目指す方向で、「個人は黙ってそれに従え」と言っているのと同じです。
 憲法13条「個人の尊厳」は全体主義を否定し、「すべて国民は、個人として尊重される」と個人主義を宣言しています。個人主義とは、「あなたを尊重するとともに、別の個人も尊重する」ということで、利己主義とは全く別物です。
 菅首相のやり方は、今のところ「改憲」を声高には言っていませんが、日本学術会議問題のように、裏では憲法の平和主義を根本から変えて、「戦争が出来る国」の方向に引っ張ろうとする極めて危険な姿を示していると思います。

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【九条噺】

 身の回りの小物から考えが広がることがある。家人がベランダに置いたソーラーフィギュア(光で動く玩具)もそれだ。塀に並んで動くのが面白かったと言う▼百円ショップで売られ、数年前に流行したらしい。太陽電池の電気を使ってカエル、ネコや草花などがフラダンスのように揺れる。わが家は愛嬌あるトナカイとブタだ。ユーモラスな動きに安らぎを感じる▼見ながら考えた。何を動かすか発想し、可愛くデザインするのは面白そうだ。これだけの性能でこれほど低価格なのは途上国の低賃金を利用していると思えば辛い。どんな仕組みで動くのか。等々▼仕組みは、私が推測したモーターの力をクランクで左右揺れに変える方法ではなく、太陽電池につながる電磁石と永久磁石との間の反発を利用するそうだ。発想が、蒸気機関や自動車の動力伝達と最新のリニアモーターの駆動方式くらい違っていた。小さな玩具にも進歩した科学技術が取り入れられていく時代だと、ささやかな学びから実感した▼科学技術は核兵器など悪い物も生んだが、生活向上に役立ってきた。科学技術は国を豊かにする基本だと何度も思い出すべきだ。緊急の問題では、新型コロナ感染症を抑えこむための疫学検査・医療技術と行財政の政策が大切だ。科学技術は一朝一夕では成らず、意志と蓄積がものを言う。利権とコスト切りに熱中して科学技術を冷遇すれば未来は暗い▼ベランダの玩具が気のせいか「良い未来を」と励ましているようだ。(柏)

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みなべ「九条の会」がピースアピール



 みなべ「九条の会」は2月6日、町内の東吉田交差点でピースアピールを実施しました。
 「みなべ『九条の会』は結成以来、先の大戦で日本国民や周辺諸国に大きな被害を出した反省にたち、『永久に戦争はしない』と決めた憲法九条をどうしても守りたいと活動を続けています。先の大戦で日本は広島・長崎に原爆を投下され、唯一の戦争被爆国となりました。一発の原爆で多くの人が亡くなっただけではなく、その後も放射能の影響で長年苦しみを強いられている被爆者が大勢おられます。1月22日に発効した核兵器禁止条約は、核兵器の完全廃絶を目指し、核兵器の開発・実験・生産・保有・使用・威嚇などすべてを禁止しています。被爆者の長年の訴えが世界の国々を動かし、『核兵器のない世界』を実現する新しい時代を切り開いたのです。核保有国はいずれも核兵器禁止条約への参加を拒んでいますが、今後、国際社会から強い圧力を受けることは明らかです。また、唯一の戦争被爆国で、毎年国連に核廃絶決議案を提出している日本政府が、〝核抑止力〟を理由に条約への参加を拒否していることは、世界の流れに背を向ける恥ずべき態度です。世論調査では、日本国民の7割が核兵器禁止条約への参加を求めています。みなさん、政府に核兵器禁止条約の批准を求めましょう」などと訴えました。(会の平野憲一郎さんより)

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戦争テーマの映像作品上映会 和歌山大教授制作



 映像を通して戦争や空襲について理解を深めるイベントが和歌山市西高松1丁目の和歌山県立図書館であった。和歌山大学の木川剛志教授(44)が戦争をテーマに制作した映像作品が一般向けに初めて上映され、和歌山大空襲の経験者から小学生まで約60人が参加した。
 和歌山のまちを歩き歴史や人情を描くエッセー「ウラマチぶらり」を朝日新聞和歌山版で連載している同大観光学部の木川教授の研究室の主催。「戦争と空襲、そして戦後混乱期のこと」と題した。
 6日のイベントでは、木川教授が制作したドキュメンタリー作品「Yokosuka1953」が映画祭を除いて初めて上映された。太平洋戦争後、アメリカに養子縁組で渡った日系女性が実の母親を捜す姿を追った作品だ。
 このほか、木川教授が七曲市場などを舞台に撮影した「七曲ブルース」や、空襲の様子や被災者のインタビューなどをまとめた映像(和歌山市制作)なども上映された。
 木川教授は戦争をテーマに映像を制作すると新しい学びがあると話す。「親と僕とでも戦争についての認識にギャップがある。僕たちの時代や後世に伝えていきたい」。
 参加した和歌山市の小学3年、榎本和香子さん(9)は「戦争で住むところが無くなり、お父さんとお母さんと離ればなれになる子どもがいて、かわいそうだった。いまが幸せなんだとわかった」と話した。
 木川教授は現在、和歌山大空襲を経験した人や戦争孤児から話を聞き、映像に記録する活動を進めている。「映像に残すことで、表情や話す間も伝えることができ、見た人の追体験につながる。学問的にも重要」と語る。(主催:和歌山大学観光学部木川研究室、共催:わかやま楽落会)
(朝日新聞和歌山版2月9日付)

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書籍紹介『政党助成金、まだ続けますか?』



河井克行・案里議員夫妻の『多数人買収』に使われた1億5000万円のほとんどは政党助成金という国民の税金!。この買収を主導したのは、安倍・菅・二階ら自民党本部だが、彼らは未だに何の説明責任も果たしていない。26年前から「政治腐敗防止」を表向きの理由に、毎年320億円が政党助成金として消費されてきたが、「政治とカネ」の問題は一向に無くならない。コロナ禍の下、まさにこんな税金の象徴的無駄遣いは、もういい加減に止めるべきではないだろうか。 --------------------------------------------------------------------- 著者:上脇博之(神戸学院大学教授) 判型:A5判、146ページ  定価:1,200円+税 初版年月日:2021年2月10日 ㈱日本機関紙出版センター     電話:06-6465-1254 FAX:06-6465-1255     メール :hon@nike.eonet.ne.jp

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(2021年02月24日入力)
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