「九条の会・わかやま」 421発行(2021年03月10日付)

 421号が2021年3月10日付で発行されました。1面は、「和歌山市ひがし9条の会」が第7回平和コンサート開催 久し振りの音楽に熱い思い、改憲発議反対! 菅政治を転換させよう 非核の政府、憲法9条を守り生かす政府を 「九条の会・わかやま」事務局・田畑 安敏、九条噺、2面は、菅政権は私たちをどこへ連れて行こうとしているのか 「平和・人権・民主主義 2・11和歌山市集会」、書籍紹介『カカ・ムラド――ナカムラのおじさん』  です。
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[本文から]

「和歌山市ひがし9条の会」が第7回平和コンサート開催
久し振りの音楽に熱い思い




 3月7日、和歌山市東部コミュニティセンターで第7回平和コンサートを開催しました。演奏者を含め、約80名の参加でした。  新型コロナ感染対策もしっかり行い、楽器演奏を多くして歌を少なくしました。とはいえ、これは外せない若林量也さんのギターの弾き語り、今年も若林さんならではのテイストで日本の歌曲や世相を皮肉る歌を聴かせました。



 次は初出演の「ねこきっさ」(フルート、キーボード、ドラム)の演奏。懐かしい曲や時代劇テーマソングメドレーを楽しみました。「明日があるさ」では、手拍子で会場が一体になりました。
 3番目は、これも初出演の「紀の国マンドリンオーケストラ」のアンサンブル。しっとりした音色に癒されました。マンドリンの生演奏を聴くのは初めてという方も多く、各楽器の紹介も楽しく聞きました。
 いつもは最後にみんなで思いきり「うたごえ」を楽しむのですが、今年はコロナの影響も考慮して「みんなでそっと歌いましょう」と、マンドリンの伴奏で戦争にまつわる話も添え、「故郷」など3曲だけを静かに歌いました。
 出演者も観客も、久し振りの音楽の機会にしみじみと浸り、文化は「不急」かもしれないが、「不要」ではないと改めて感じさせられたひとときでした。
 菅首相が就任するなり、学術会議の推薦名簿の6名を理由も説明せず任命拒否した今こそ、どこからの介入も受けず自由に学問、文化、スポーツなどの活動を続けられる自由を守る大切さを実感しています。そういう意味で、ささやかながら意味のあるコンサートではなかったかと思っています。(日野のぞみさんより)



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改憲発議反対! 菅政治を転換させよう
非核の政府、憲法9条を守り生かす政府を
「九条の会・わかやま」事務局・田畑 安敏


 2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効しました。この出来事に驚き、喜び、感動し、長年にわたり実現に力を尽くしてきたすべての人々に心から敬意を表したい思いがこみあげてきました。
 核兵器禁止条約は、核兵器やその他の核爆発装置の開発・実験・生産・製造・取得・保有・備蓄・使用・威嚇など一切を禁止します。歴史上初めて核兵器を違法とするもので、「核なき世界」の実現に新たに大きな道筋を切り開きました。2017年7月に国連の交渉会議で国連加盟国の約3分の2にあたる122カ国の賛成で採択され、昨年10月下旬に同条約の批准国が条約発効に必要な50カ国に達し、その90日後の今年1月22日に発効となったものです。
 核兵器禁止条約の発効は、被爆者を先頭に、核兵器廃絶を願う国と国際NGOや反核・平和の市民運動が力を合わせて実現させました。核を保有する大国の圧力に抗して、世界は一部の大国によって支配されるのが当り前との考えを突き崩して実現したものです。国連でこの条約採択に議長として尽力したコスタリカのエレン・ホワイトさんは、「今日という日は希望と正義の日」「歴史に残る偉業がなされた日」と言い、「広島・長崎の被爆100年に当たる2045年に、核なき世界を打ち立てることが出来たよと子どもたちに言うため、希望とビジョンを持ち続けよう」と語っています。2045年の世界を見る人々は、巨大な人類史の進歩を見届けられるのではと願わずにいられません。
 それにつけても、菅首相が国会で「条約に署名する考えはない」とこれを一蹴し、世界で唯一の戦争被爆国である日本の政府がアメリカの核戦略に追随して、条約に背を向けていることが嘆かわしい。この政府に政策転換を求め、いま「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」運動が取り組まれています。この署名はきっと国民多数の世論になるでしょう。非核の政府は、憲法9条を守り生かす政府にも通じます。
 今年は総選挙が実施される年。「九条の会」に結集する一員の立場からも、「非核の政府を」「憲法9条を守り生かす政府を」の声を広げていきたいと思います。

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【九条噺】

 日本でも新型コロナのワクチン接種が始まった。今後接種されるワクチンは、メッセンジャー(m)RNAワクチン」と「ウイルス・ベクター・ワクチン」だ▼従来の「生ワクチン」「不活化ワクチン」は細菌やウイルスを体内に送り込んでいたが、新しいワクチンは、新型コロナウイルスの表面にある王冠状のスパイクたんぱく質を作る遺伝子を体内に送り込み、体内で作られたスパイクたんぱく質に人体の免疫機能が反応して抗体を作り出し、免疫が出来るという仕組みだそうだ▼遺伝子の体内への送り込み方が違う。「mRNAワクチン」は遺伝子を脂質でコーティングして送り込むのに対して、「ウイルス・ベクター・ワクチン」は無害なウイルスを遺伝子の運び屋として利用するという▼抗体は、ウイルスなどの抗原が体内に侵入した時、侵入した抗原を攻撃したり、体外に排除したりする。人体はどんな抗原が侵入しても、それに対抗する抗体を作ることができるという。今回は新型コロナの遺伝子を送り込むので、新型コロナに対抗する抗体が作られるということだ▼集団免疫ということがさかんに言われている。集団免疫とは、集団のある割合以上の人たちが免疫を持つことにより集団が守られることで、ワクチン接種でも得られる。割合は明確ではないが、6割以上と言われている▼ワクチン情報を国民に正確・丁寧に伝えて接種を促進し、さらに先進国のワクチン独占を排除して、集団免疫の状態に持ち込みたいものだ。(南)

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菅政権は私たちをどこへ連れて行こうとしているのか
「平和・人権・民主主義 2・11和歌山市集会」




 「建国記念の日」の2月11日、紀元節、軍国主義の復活に反対する「平和・人権・民主主義 2・11和歌山市集会」が開かれ、コロナ禍の中、50席の予定が 70余名の参加となりました。講演は、元日本学術会議会員の伊藤公雄氏(京都大学・大阪大学名誉教授)が、「安倍-菅政権は私たちをどこへ連れて行こうとしているのか?」と題してリモートで京都から発信されました。
 日本学術会議会員6名の任命拒否問題は、日本学術会議法で学問の自由と独立性を保証されたアカデミー会員の形式的「任命」の慣行を強引に破壊する違法行為であり、背後に安倍政権8年弱の行政府独裁の流れがあると指摘。この問題も戦後民主主義の破壊、物理的暴力を伴わないクーデターだと断じ、これにストップをかける契機として学術会議問題を徹底追及することが必要だと訴えられました。
 伊藤氏は、「日本学術会議とは、科学アカデミーとは」から説き起こし、「税金10億円問題」と菅首相が言う「10億円の予算」を、多くの人が会員206人の給料と勘違いして学者の特権と感じているが、5億円が担当の内閣府職員の給与と建物維持費、1億数千万円が国際学術団体への分担金、残り4億円前後が会員・連携会員の日当と旅費で、1人当り20万円前後に過ぎず、12月頃には交通費自弁の依頼が来る。研究費もなく学術研究員もほとんどいない状態で、手弁当で「提言」などを書く実態に言及されました。
 「何が政府の怒りに触れたのか」は、政府が説明しない(出来ない)ので推測としては、学術会議の「戦争協力をしない」という2回の声明(51年、67年)と防衛省研究費問題、福島原発事故後の幾つかの提言や、今回任命拒否された6人は安保法制や共謀罪などに反対した法学者3人と「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人・賛同者3人である点を指摘されました。「学者の会」での広渡清吾元日本学術会議会長の活躍への反発にも触れられました。
 任命拒否の説明に行き詰まるや出てきた「学術会議を潰せ」「政府機関から外せ」の動きは、行政権力を勝手に使うことへの批判の声を潰す意図であることを指摘されました。他方で世論は、任命拒否を「問題だ」37%、「問題だと思わない」44%(毎日新聞世論調査)であり、なぜ問題と思わないのかは、①学者たちの問題で、自分たちは関係がないという反エリート意識(学者・知識人への反発)、②菅首相の「既得権」「10億円」の繰り返しがイメージさせる「学者の特権」を挙げられ、世論の無関心を転換させることが大切だと強調されました。
 講演後は、コーディネーターとして藤本清二郎氏(和歌山大学名誉教授)が議論を深める役割を果たされ、参加者の学習をリードされました。

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書籍紹介『カカ・ムラド――ナカムラのおじさん』



 2019年12月4日、中村哲医師は支援先のアフガニスタンで、銃で撃たれて亡くなりました。
 この本は、中村さんに助けてもらったことを後世に語り継ぐために、アフガニスタンで出版された2冊の絵本、『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』と『カカ・ムラドと魔法の小箱』に解説を加えてまとめたものです。『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』は、中村さんがアフガニスタンで行ってきたこと、事実をもとに描かれた創作です。『カカ・ムラドと魔法の小箱』は、作者のイメージする中村さんが登場するファンタジーです。診療所を建てて病気を治したり、日照りが続いて乾いてしまった土地に水をひいて緑に変えたり――。
中村哲さんの志を受け取ったアフガニスタンの人々の思い、またアフガニスタンに寄せられた日本からの思い、2つの思いがひとつの形になった1冊です。
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原著:ガフワラ 著/文:さだまさし
判型:A5判、80ページ 定価:1,500円+税
初版年月日:2020年12月3日
㈱双葉社 東京都新宿区東五軒町3-28
      電話:03-5261-4811

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(2021年03月10日入力)
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