「九条の会・わかやま」 422発行(2021年03月20日付)

 422号が2021年3月20日付で発行されました。1面は、第81回「ランチタイムデモ」実施、「3・8国際女性デー」和歌山市集会開催 「治安維持法下での和歌山の女性たちのたたかい」、国際女性デーとは、九条噺、2面は、言葉「内閣人事局」、みなべ「九条の会」119回目のピースアピール、【予告】「守ろう9条 紀の川 市民の会」第17回総会(4月17日)  です。
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

第81回「ランチタイムデモ」実施



 桜の開花が翌日にも予想されるとはいえ、コロナ禍の収束は見えない中、3月16日に第81回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」)が、70名の市民の参加で行われました。
 今回は、15年7月に当会が開催した「連続講座」でお世話になった海堀崇弁護士がコーラーを務められました。
 「終戦から76年が経ち、戦争経験者は少なくなっています。戦争を経験した人で、『あの戦争はよかった』などと言う人はいません。人間は、他人の経験から学ぶことのできる存在です。今日も多くの人に学んでもらえるよう頑張りましょう」という挨拶がありました。
 参加者は和歌山城西の丸広場から京橋プロムナードまで、海堀弁護士のコールに合わせて、「憲法壊すな」「9条守れ」などを訴えて行進しました。



    --------------------------------------------------------------------------

「3・8国際女性デー」和歌山市集会開催
「治安維持法下での和歌山の女性たちのたたかい」




 3月6日、「3・8国際女性デー和歌山市集会」が開催され、約40名が参加しました。治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟県和歌山県本部会長・鶴田至弘さんが「治安維持法下での和歌山の女性たちのたたかい」と題して講演をされました。また、「ぽぽんた文庫」有志による平和紙芝居リレーも行なわれました。朝日新聞和歌山版の記事から取り組みの概要をご紹介します。
---------------------------------------------------
 国連が定める国際女性デー(8日)に合わせて平和を訴える「和歌山市集会」が6日午後1時半、和歌山市九番丁の市教育会館である。平和紙芝居を上演したり治安維持法の歴史を振りかえったりし、平和と自由と平等とを考える。
 地域の子どもたちと紙芝居や折り紙をしている「ぽぽんた文庫」の池田光子さん=和歌山市=らが紙芝居をリレー上演する。広島と長崎への原爆を取りあげた「二度と」、ネコが語る「ちっちゃいこえ」、ベトナムの紙芝居「象牙の櫛」などを予定している。



 池田さんは「おかあさんのうた」を読む。この紙芝居は、1945年7月の海南空襲を生きぬいた田中和子さんの体験がもとになっている。父親を戦死で、母親を病死で失った田中さんは、生後すぐに母親の知人夫婦に引き取られて海南市で暮らしていた。空襲時は3歳。米軍機の爆弾の直撃を受けた防空壕の中から、すでに息絶えていた養母に抱かれた姿で見つけられたという。
 20年以上前から「おかあさんのうた」を和歌山弁で演じている池田さんは、子どもの幼心を侵略戦争に動員した「国策紙芝居」を今は平和の道具として読む大切さと、戦争の愚かさを語りかける。

 治安維持法を語る

 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟県本部会長の鶴田至弘さん=和歌山市=は「治安維持法下での和歌山の女性たちのたたかい」と題して語る。
 1925年にできた治安維持法は、敗戦までの20年間、戦争反対の声を弾圧した。県本部は2007年、県内犠牲者の名簿をまとめた。紀の川市出身の北林トモさんは、米国から帰郷後の41年に検挙された。獄中で発病し、45年2月7日に和歌山刑務所から仮出所した2日後に58歳で死亡。県本部の名簿は「獄死に等しい状況であった」と記す。北林さんら戦時下の女性の抵抗を中心に語るという鶴田さんは「これは昔の話なのか」とも問う。
 治安維持法は当初の目的を逸脱し、拡大解釈・適用を重ねた。当局のさじ加減ひとつで逮捕できる戦時治安体制を構築した。  鶴田さんは、治安維持法の担い手だった特高官僚らが戦後に政官財の要職に就いていたことや、政府の見解は今なお治安維持法を「適法だった」としていることを説明しつつ、「現在の政治情勢の怖さ」を語る。
(朝日新聞和歌山版3月5日付)

    --------------------------------------------------------------------------

国際女性デーとは

 1904年3月8日にアメリカ・ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こしました。これを受け、1910年コペンハーゲンで行なわれた国際社会主義者会議で、政治上、経済上、社会上の男女平等を達成するための記念の日とするよう提唱したことから始まりました。
 国連は1975年(国際婦人年)の3月8日以来、この日を「国際女性デー」と定め、現在は国連事務総長が女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対して呼びかける日となっています。

    --------------------------------------------------------------------------

【九条噺】

 介護報酬は原則3年に1回改定される。今年は改定の年、改定率は+0.7%、うち0.05%はコロナ対策として9月までの半年間の措置と告示された▼改定内容に納得できないことがある。デイサービスで入浴介助加算が減額され、「自宅での入浴の自立を図る個別の入浴計画に基づく介助」を新たに評価するとされた(1回100円の減額と50円の増額)。基本報酬の引き上げはわずかなため、入浴介助の新制度に対応できないと減収になる▼人員基準や運営基準が緩和される。介護ロボットや見守りセンサー、ICT機器を活用すれば、夜勤要員を減らしたり、一人が受け持つ人数を増やしてよいとする。人員効率化を認める措置は他にもある。介護の安心・安全、質向上に逆行ではないか▼厚生労働省は、介護分野での「労働生産性の向上」を提唱し、今改定では「科学的介護」の推進を打ち出している。これらの言葉の跋扈(ばっこ)にあわせ、介護の制度から、人が削減され、「人間らしさ」が後景に追いやられるのでは利用者も職員もともに悲しいことだ▼介護事業所の倒産は昨年過去最高を更新と報道されている。+0.7%の改定で増える国費は196億円、昨年のアベノマスク配布にかけた費用224億円を下回る。コロナ禍で、この国の政府の税金の使い方が問われる▼介護保険は、社会福祉の担い手を営利企業にも認めた。20年を経た今日、あらためて「福祉の企業化」政策を転換し、日本国憲法に根差す介護保障確立を願う。(田)

    --------------------------------------------------------------------------

言葉「内閣人事局」

 国家公務員の「戦略的」人事管理を担う組織として、内閣の補助機関で総理大臣を直接補佐・支援する内閣官房に置かれる部局で、2014年に設置されました。日本の行政は、内閣の下に1府12省が置かれており、各省庁の人事権は大臣が持っていますが、実際には官僚が人事を行ってきました。これは、官僚主導の政治に偏りがちで、かねてから縦割り行政の弊害も問題視されていたため、「政治主導」の行政運営を目的として内閣人事局が設置され、各省庁の課長より上の約600名を対象に、事務次官や局長、審議官などの人事を内閣官房が行うこととしました。内閣が人事権をひとまとめに掌握すると、「省益優先」「省益誘導」の省庁の弊害を無くすことに繋がるとされました。これが表向きの目的です。
 しかし反面、総理大臣を直接補佐・支援する内閣官房に置かれる部局が主要な官僚の人事を行なうということは、官僚の出世が政権与党に握られるということであり、政権与党が官僚を思い通りに利用できるようになったというのが現実です。  憲法15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とあります。「全体の奉仕者」とは、政権与党の奉仕者ではないことは言うまでもありません。しかし、官僚の出世が政権与党に握られてしまえば、必然的に官僚が官邸の顔色を伺う行政になってしまい、三権分立の行政の独立性が揺らぐのは当然の結果です。
 「森友問題」「加計問題」「桜を見る会」などの一連の国政私物化疑惑は、官邸に首を押さえつけられた官僚が、政権与党に忖度して行なった行動です。また、菅首相の長男らの接待攻勢に、総務官僚たちが違法の接待攻勢を断らなかった、断れなかったのは、内閣人事局制度の弊害の実例と言わなければなりません。
 一連の国政私物化疑惑は徹底的な究明が必要です。そのためには内閣人事局を廃止し、忖度を生み出す強権政治の根を断ち、透明性ある公正な政治を築かなければなりません。

    --------------------------------------------------------------------------

みなべ「九条の会」119回目のピースアピール



 みなべ「九条の会」は3月6日、スーパーマーケット前でピースアピール(スタンディング宣伝)を実施しました。
 「日本学術会議問題について菅首相は任命拒否理由を総合的、俯瞰的としか述べられませんでした。任命拒否された人たちは国の政策に異論を述べた人たちです。菅首相は、政権に楯突くことは許さないと言っているのです。コロナ問題で大変な時、私たちが政府に求めるのは、命と生活を守ることです。国民の願いに真剣に向き合わない菅政権に、政治を担う資格はありません」と訴えました。
 今回、「憲法九条を守る和歌山県民の会」の坂本文博さんと中北幸次さんが応援と取材に駆けつけ最後まで参加されました。

    --------------------------------------------------------------------------

【予告】「守ろう9条 紀の川 市民の会」第17回総会
4月17日(土)午後1時30分~4時20分
河北コミュニティセンター 2F 多目的ホール




チラシ拡大→ http://home.384.jp/kashi/9jowaka/tirasi/21kawasokai.htm

    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2021年03月21日入力)
[トップページ]