「九条の会・わかやま」 430発行(2021年07月17日付)

 430号が7月17日付で発行されました。1面は、第85回「ランチタイムデモ」実施、「九条の会」って言う宗教団体に入っているのですか? 和歌山生協病院・医師・三谷晃さん、九条噺、2面は、言葉「『改正改憲手続法』の問題点②」、幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について⑤、DVD紹介 『荒野に希望の灯をともす』~医師・中村哲 現地活動35年の軌跡~  です。
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[本文から]

第85回「ランチタイムデモ」実施



 時折強風が吹き荒れる7月12日、第85回ランチタイムデモ(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が、60人の市民が参加して行われました。
 金原徹雄弁護士の「8年目に入ったランチタイムデモの1回目です。元気に京橋プロムナードまで行進しましょう」との挨拶で出発しました。
 今回のコーラー役は赤木俊之弁護士でした。コールの第一声が「NO WAR、YES PEACE」でした。85回目のランチタイムデモで初めて「英語によるコール」が行われました。最初は参加者もどう唱和してよいのか迷った様子でしたが、デモが終わる頃には、みんな英語の綴りも頭に浮かべながらコールが出来ていたようです。
 横断幕や幟を持つ人は大変な様子でしたが、ゴール時点では強風も収まり、「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケ」ないランチタイムデモでした。



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「九条の会」って言う宗教団体に入っているのですか?
和歌山生協病院・医師・三谷晃さん


 10年くらい前、中江病院隣の今は店仕舞いした本屋の帰り、カーナビのモニターだけを見てバックしていて信号待ちの乗用車の側面ドアをへこませたことがありました。「バックする時は、振り向いて確認しないとCCDカメラだけに頼っていると思わぬ物にぶつける」と購入時に車屋の社員に注意されていたのですが、ついやってしまったという事故でした。破損部位を確認中に、私の車の後部トランクドアに貼っていた「9条を守る会」のステッカーを見た相手運転手が発したのが表題の言葉でした。はじめは何のことだか分からず、「無神論の俺に宗教団体はないやろ。ここの本屋さんの方が『人間革命』をうやうやしく並べてたりして創価学会やと思うんやけどな」と思いながらも加害者ですので口には出せませんでした。相手は、私より一回りは若い1970~80年頃生まれの会社員風の男性でした。私の世代なら「きゅうじょう」と言えば「憲法9条の戦争放棄」、「くじょう」と言えば「西九条とかの地名」というのが常識なのに、「9条の会」が宗教団体とは、小中学校で何を習ってんだという怒りというか呆れが残りました。任意保険はどっさり掛けていたし、事故処理は名城ビルの管理人の由良事務所に任せたので、どんな相手だったのかすっかり忘れてしまいましたが、「9条=戦争放棄」という「常識」を知らない世代がいるのが驚きでした。今は沖縄統一連からカンパのお礼に送られて来た「もう基地は作らせない」の辺野古シールを2枚と、山口地区の「産廃小○(まる)」シールを貼っています。こちらは主張がはっきりしていますが、行きつけのセルフではないガソリンスタンドの店員さんも点検に出す車屋さんも何も言ってくれません。
 話は変わって、先日「知の巨人」とか言う立花隆さんが亡くなりました。『田中角栄研究』が出たのが1974年で、それに引き続いて『日本共産党の研究』が出ました。私の高校生から和大教育学部時代の出来事でしたが、国家権力の虎の尾を踏んでからは御上の太鼓持ちになったというのが若造であった私にも分かる変わり身でした。先週コンビニで買った『日刊ゲンダイ』に、とある評論家先生が「ロッキード事件で対談しても政府発表を否定することはなかった」と書かれていました。国家権力の言論統制はあなどるべからずです。
 最後に「無線クラブを作りたいが名前が出るのはイヤ」と言うオタク職員達の要求で和歌山中央医療生活協同組合アマチュア無線クラブJK3YUUの理事長をやっています。医師会アマチュア無線クラブの向こうを張るなら2級の上級資格を持っているクラブ員が4名いるのが自慢です。

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【九条噺】



 我家の庭の槙の木の枝に着生していた野生蘭が花を咲かせ始めた。筆者は「セッコク(石斛)」だと思っていたが、どうも違う。写真を撮って見ると、「距」といわれる部分が非常に長く、ネットの画像と見比べると、「フウラン(風蘭)」だと分かった▼「フウラン」も「セッコク」も日本などに自生するデンドロビウム属の蘭で、「フウラン」は「富貴蘭」というらしい。野生蘭なので、風情があるというか、趣きがあるというか、かわいい蘭だ▼しかし、何故我家の庭の槙の木に着生していたのかが全く分からない。誰に聞いても、くっつけることはしていないと言う。一体どこから、どのように来て、くっついたのか不思議だ。我家は山のすぐ側だから、「風蘭」の名の通り、山から種が飛んで来たのか▼フウランは、常緑広葉樹林内の樹幹や岩石上に着生する常緑の多年草で、関東南部~沖縄県に分布し、花期は6~7月で、江戸時代より愛好される伝統的園芸品種だそうだ▼着生蘭は木や岩などに絡みついて、根は土の中に入ることはない。中空に浮いたような状態でどのように水分を取っているのかが気になるが、どうも雨水や露を吸っているようだ▼花言葉は「恋の成就」など。「恋」はともかく、厳しい環境に耐えて、静かに花を咲かせるフウランに倣って、我々の社会も「正義の成就」といきたいものだ。(南)

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言葉「『改正改憲手続法』の問題点②」

 (前号の続き)「外国資本に買われた憲法改正」となる危険性を回避するための法的対応も必要です。放送事業者は外国人株主の議決権を20%以下にすることが義務付けられています。改正改憲手続法も外国資本への法的規制をしなければ、「外国資本に買われた憲法改正」となり兼ねません。自民党は、株式の50%以上が外国資本の企業から政治献金を受け取った政党が「国民投票運動」をしても、「我が国の政治や選挙が外国の勢力の影響で歪められることはない」としていますが、この主張に納得できるでしょうか? 外国資本による土地取得が問題だとして、自民党は「土地等監視及び利用規制法」を強行採決しました。改憲手続法でも外国資本の影響を排除するための法改正が必要です。
 衆議院憲法審査会では立憲民主党の修正提案で、「施行後3年を目途に」、有料広告制限、資金規制、インターネット規制などについて「検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする」という附則4条が加えられました。附則4条は、修正案として国会に提出され、自民党などは立憲民主党の修正案を受け入れ、採決した以上附則も法的効力を有します。従って、「必要な法制上の措置を講ずる」法的義務を負うもので、法的措置を講じないでの憲法改正発議は「違法」の可能性も生じるものです。(おわり)
(名古屋学院大学教授・飯島滋明氏の論考より)

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幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について⑤

 憲法9条は、マッカーサーから押し付けられたとの議論があります。そうではないことを裏付ける文書があります。当時の首相・幣原喜重郎から聞き取ったもので、聞き手は幣原の秘書官の平野三郎氏です。幣原の意見に全て賛同するものではありませんが、何回かのシリーズでご紹介します。今回は5回目。(前回は429号)(『みんなの知識 ちょっと便利帳』より)

(幣原喜重郎)

【問】よく分りました。そうしますと憲法は先生の独自の御判断で出来たものですか。一般に信じられているところは、マッカーサー元帥の命令の結果ということになっています。尤も草案は勧告という形で日本に提示された訳ですが、あの勧告に従わなければ天皇の身体も保証できないという恫喝があったのですから事実上命令に外ならなかったと思いますが。
【答】そのことは此処だけの話にして置いて貰わねばならないが、実はあの年(昭和二十年)の暮から正月にかけ僕は風邪をひいて寝込んだ。僕が決心をしたのはその時である。それに僕には天皇制を維持するという重大な使命があった。元来、第九条のようなことを日本側から言いだすようなことは出来るものではない。まして天皇の問題に至っては尚更である。この二つは密接にからみ合っていた。実に重大な段階にあった。
 幸いマッカーサーは天皇制を存続する気持を持っていた。本国からもその線の命令があり、アメリカの肚は決っていた。ところがアメリカにとって厄介な問題が起った。それは濠州やニュージーランドなどが、天皇の問題に関してはソ連に同調する気配を示したことである。これらの国々は日本を極度に恐れていた。日本が再軍備をしたら大変である。戦争中の日本軍の行動は余りに彼らの心胆を寒からしめたから無理もないことであった。殊に彼らに与えていた印象は、天皇と戦争の不可分とも言うべき関係であった。日本人は天皇のためなら平気で死んで行く。恐るべきは「皇軍」である。という訳で、これらの国々はソ連への同調によって、対日理事会の票決ではアメリカは孤立化する恐れがあった。
 この情勢の中で、天皇の人間化と戦争放棄を同時に提案することを僕は考えた訳である。
 豪州その他の国々は日本の再軍備を恐れるのであって、天皇制そのものを問題にしている訳ではない。故に戦争が放棄された上で、単に名目的に天皇が存続するだけなら、戦争の権化としての天皇は消滅するから、彼らの対象とする天皇制は廃止されたと同然である。もともとアメリカ側である濠州その他の諸国は、この案ならばアメリカと歩調を揃え、逆にソ連を孤立させることが出来る。
 この構想は天皇制を存続すると共に第九条を実現する言わば一石二鳥の名案である。尤も天皇制存続と言ってもシムボルということになった訳だが、僕はもともと天皇はそうあるべきものと思っていた。元来天皇は権力の座になかったのであり、又なかったからこそ続いてきたのだ。もし天皇が権力を持ったら、何かの失政があった場合、当然責任問題が起って倒れる。世襲制度である以上、常に偉人ばかりとは限らない。日の丸は日本の象徴であるが、天皇は日の丸の旗を護持する神主のようなものであって、むしろそれが天皇本来の昔に還ったものであり、その方が天皇のためにも日本のためにもよいと思う。この考えは僕だけではなかったが、国体に触れることだから、仮にも日本側からこんなことを口にすることは出来なかった。憲法は押しつけられたという形をとった訳であるが、(つづく)
平野文書→https://www.benricho.org/kenpou/shidehara-9jyou-text.html

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DVD紹介 『荒野に希望の灯をともす』
      ~医師・中村哲 現地活動35年の軌跡~




 アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり、病や戦乱、そして干ばつに苦しむ人々に寄り添いながら命を救い、生きる手助けをしてきた医師・中村哲。医療支援と用水路の建設を行ってきた。活動において特筆すべきことは、その長さだけでなく、支援の姿勢がまったくぶれることなく、一貫していたことだ。一連の活動は世界から高く評価され、中村医師は人々から信頼され、愛されてきた。
 今、アフガニスタンに建設した用水路群の水が、かつての干ばつの大地を恵み豊かな緑野に変え、65万人の命を支えている。しかし、2019年12月。用水路建設現場へ向かう途中、中村医師は何者かの凶弾 に倒れた。
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企画:ペシャワール会
制作:日本電波ニュース社(2021年3月発売)
    http://www.ndn-news.co.jp/shop/index.html
DVD:1時間28分  価格:2,970円(送料別)

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(2021年07月16日入力)
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