「九条の会・わかやま」 434発行(2021年09月18日付)

 434号が9月18日付で発行されました。1面は、菅首相 1年で退陣 国民の信頼失い 政権投げ出し、新自由主義 コロナ オリ・パラ 「九条の会・わかやま」呼びかけ人・副島 昭一、九条噺、2面は、第87回「ランチタイムデモ」実施、みなべ「九条の会」、123回目のピースアピール、書籍紹介『「人権」がわからない政治家たち』  です。
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[本文から]

菅首相、1年で退陣
国民の信頼失い、政権投げ出し


 菅首相は全国規模の国民の審判を一度も受けることなく、自民党総裁選への出馬を取り止める意向を表明しました。安倍前首相の路線を引き継ぎながら、コロナ対策は無為無策、オリ・パラ開催で感染を広げ、感染爆発と医療崩壊を招いたことに対して、世論の批判が集中。自民党内の「菅離れ」にも拍車がかかり、万策尽きて退陣を余儀なくされたものといえます。
 「国民の命と暮らしを守ることが私の使命」などと、記者会見では何度も繰り返しながら、新型コロナの感染拡大は第5波まで続き、緊急事態宣言を繰り返し出さざるを得ず、感染が収まらない中でオリ・パラを開催しました。
 4月下旬の衆参3補選・再選挙で全敗し、7月の東京都議選では、自民党は過去2番目に少ない33議席と惨敗。さらに、8月下旬の横浜市長選では、盟友の小此木八郎前国家公安委員長を推しながら惨敗を喫したのが、菅政権への評価を示しています。
 敵と味方を峻別し、人事権を振りかざして従わせる。質問には正面から答えず、説明責任を軽んじ、国会論戦から逃げる。それは、菅首相が官房長官として支えた安倍前首相時代から続く体質です。
 退陣表明に当り、「コロナ対策と選挙活動との両立はできない」と不出馬理由を挙げていますが、コロナ対策は必死になってやらなければなりませんが、総裁選挙活動は名乗りを挙げるだけでもよいはず。その言葉を信じる国民は誰もいません。
 強調したいのは、9年間の安倍・菅政治が破綻したということです。この安倍・菅政治を支えてきた自公政治の破綻です。自民党総裁選で誰が新しい総裁になったとしても、破綻した自民党政治の中での単なる顔の入れ替えに過ぎず、現状を打開する展望は全く見えてきません。今求められるのは政権交代です。自公政治を退場させ、野党が結束して新しい野党連合政権をつくらなくてはなりません。

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新自由主義、コロナ、オリ・パラ
「九条の会・わかやま」呼びかけ人・副島 昭一




 夏も過ぎもう秋が訪れようとする現在、コロナは相変わらず猛威をふるっています。去年の今頃は1年後は平常の生活に戻っているだろうと予想していましたが、一向に終息の兆しが見えないコロナの蔓延は私たちの住む社会のいろいろな問題を浮かび上がらせています。
 自然の森林開発によって今まで人類がふれたことのないコロナウイルスと人間が遭遇して感染し、それが引き金になって世界的感染爆発=パンデミックをひきおこしました。市場経済の進展による資本主義の発展は利益追求のために生存の基盤である自然そのものを改造し、この結果ひきおこされた乱開発は人類と自然との共存を破壊してきました。コロナの蔓延は「人新世」と呼ばれる時代が生み出した伝染病といえます。この自然破壊は異常気象をもたらし、そして市場原理主義に基づく新自由主義ではこの問題を解決できないことも明らかになってきています。この新自由主義は「今・自分・金」「後は野となれ山となれ」「わが亡き後に洪水よ来たれ」とばかりに、現在だけの利益を追求し、その結果遠い将来のことと考えられていた地球温暖化の危機も、若い人にとっては自分の、年配者にとっては次世代・次々世代の問題として現実味を帯びてきています。
 この市場原理主義による新自由主義に基づく政策により各種公共事業の切り捨てや民営化が推し進められ、その結果として利潤を生まない部分は切り捨てられてきました。「公助」をやめて「自助」を拡大するという政策です。病院や保健所の縮小・削減もその一つで、現在の医療崩壊の背景にあります。
 公助を切り捨てて一部の民間企業の利益しか生まないイベントを公費で助成する、これも新自由主義政策を推進する政権の特徴です。オリ・パラはその典型で多くの人命をすでに犠牲にしています。現在の日本の状態はオリ・パラ開催最優先で突き進んできた政府によってもたらされた人災といえるでしょう。オリ・パラが巨大メディアを始めとする企業の利益のために推進されていることは今や多くの人が気づくようになっています。コロナ禍の中でのGoTo支援事業そして休業補償さえこの種の企業に請け負わせて多額の費用を中抜きさせています。
 菅政権および憲法との関連についてはもっと書くべき事がありますが、紙幅の関係でこのくらいにしておきます。私事にわたりますが、読者の中には俳優・辻萬長をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。高校の同窓生ですが、先日他界しました。昨年「大地」が最後の舞台になり、大阪での公演もありましたが、感染予防のため閉幕後の面会もできませんでした。来年のNHK大河ドラマに出演予定だったのですが、病気療養のため辞退したばかりでした。前にこの「通信」に書いた拙文を送っていましたが、自分の思っていることを書いてくれている、また書くことがあればぜひ送ってくれと言っていました。この拙文を霊前に供えたいと思います。

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【九条噺】

 ウイルスは自分で細胞を持たず、蛋白質の殻の中に遺伝子を持っているが、自分で子孫を残せず、別の生き物に取り付いて子孫を作ってもらっている▼コロナウイルスは人間などの細胞に取り付いて増殖する。肺などの上皮細胞に取り付き肺炎を起したり、血栓症を誘発することなどで、人を死に追いやっているようだ▼やっかいなことに、ウイルスは変異する。変異とは増殖の過程で遺伝子(RNA)の塩基配列が変わることだが、変異により感染力が強くなったり、免疫力を低下させたりすることがある。今問題になっているデルタ株はその例だ。デルタ株は細胞表面のスパイク蛋白に非常にくっつきやすくなっているという▼変異ウイルスはWHOにより、発生源の国が不当に非難されないように、ギリシア語の名前が付けられているが、WHOでは細かな変異も含めて現在12番目のミューにまでなっているという▼筆者も2回目のワクチン接種を受けて2カ月になるが、中和抗体がデルタ株にも有効かが気になるところだ。厚労省HPによれば、デルタ株に対する有効率は少し低下するが、発症予防効果は約94%、入院を予防する効果は約96%とされる▼ワクチン接種は非常に有効だ。今、若い人に接種へのためらいが多いという。ワクチンを接種した20代の人は50代の人に比べて作られる中和抗体値は倍以上だ。若い人ほど効果が高い。自分が感染しないためにも、家族や他人に感染させないためにも、是非接種を受けてほしい。(南)

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第87回「ランチタイムデモ」実施



 台風14号の影響か、生憎の雨天となってしまった9月14日、第87回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、50人の市民が参加しました。  今回のコーラーは、いつも当会紙に写真やコメントを送っていただいている浅野喜彦弁護士でした。浅野弁護士から「選挙が近づきましたが、今まであれほど政府に疑惑や失政があったのに、なお投票率が低い状況です。これは政治家だけでなく私たち国民の責任です。今日は、一人でも多くの人の目を覚まさせるように堂々と行進しましょう」と挨拶があり、デモは出発しました。  今回もコロナ禍に配慮してサイレントデモとし、シュプレヒコールは行われませんでした。  参加者は和歌山市役所から京橋プロムナードまで、「9条守れ」「戦争反対」などを無言で訴え行進しました。  次回は10月7日(木)です。


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みなべ「九条の会」、123回目のピースアピール



 前夜の凄い稲妻と雷鳴から一転して快晴となった9月4日、みなべ「九条の会」は、町内のスーパーマーケット前で123回目のピースアピールを実施しました。
 「コロナ感染症は、今、デルタ株が猛威を振るい、病床逼迫、医療崩壊の危機が迫っています。これは、国民の命と暮らしを守るべき菅首相が、言葉では『国民の命と暮らしを守るのは私の責任』と言いながら、必要な手立てを怠り、オリ・パラ優先でコロナ対策を後回しにした人災です。今年中に総選挙が行われます。私たちは、憲法をないがしろにする菅自公政権には退場してもらい、憲法を生かして平和・民主主義・国民生活向上の日本を実現するために、新しい政権を実現したいと思っています」と訴えました。



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書籍紹介『「人権」がわからない政治家たち』



 「憲法とは国の目指す形を明示するものだが、何よりも権力者を統制するもの」。今この民主主義国家、法治国家の基本原則があからさまな形で破壊されつつある。明らかな不法を指摘されても、平然と嘘をつき居直る政治家。その嘘を「忖度」し、あろうことか公文書を改竄・隠匿しても「知らぬ、存ぜぬ」を貫き通し、さらにその嘘が露呈しても何ら恥じることのない官僚たち。そして、新たに事実が明かされた政治家、その家族と官僚との不法な関係…。また、コロナ禍によって国民の健康が脅かされている現状にも的確な対応ができていない政治……。日本憲法ではっきりと定められた「国民主権」は一体どこへ行ってしまったのか。
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 著者:小林 節(慶応義塾大学名誉教授)
 判型:四六判、240ページ
   定価:1,300円+税
 発行年月日:2021年5月27日
 ㈱日刊現代 東京都中央区新川1-3-17-10階
       電話:03-5244-9600

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(2021年09月18日入力)
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