「九条の会・わかやま」 440発行(2021年11月29日付)

 440号が11月29日付で発行されました。1面は、総がかり実行委19日行動 1000人が参加、権力を監視する主権者国民の役割が発揮されなければならない(多田一路氏 ②)、九条噺、2面は、みなべ「九条の会」125回目のピースアピール、「九条の会ゆら」が軍事戦跡巡り  です。
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総がかり実行委 19日行動
1000人が参加




 「総がり行動実行委員会」は11月19日夜、国会議員会館前で「改憲発議反対! 辺野古新基地建設反対! 敵基地攻撃能力保有反対! 11・19国会議員会館前行動」を行い、1000人が参加しました。総選挙で野党の議席を伸ばすことができなかった悔しさをバネに、参議院議員選挙に向けてがんばることを決意し合う行動になりました。社民党の福島瑞穂参議院議員、日本共産党の笠井亮衆議院議員、立憲民主党の石垣のりこ参議院議員が挨拶をしました。
 「戦争をさせない1000人委員会」の竹内広人さんが主催者挨拶を行い、「小選挙区の勝利なくして勝利はない。1対1の構図をつくることに間違いはない。共同の手法を成熟させることが重要だ」と呼びかけました。  「オール沖縄会議」の福元勇司さんはオンラインで、「岸田首相は民意をないがしろにしている。辺野古の埋立てに遺骨が混じった土砂を使うなど人道上あってはならない。政府の暴走を止めよう」と訴えました。
 「改憲問題対策法律家6団体連絡会」の大江京子弁護士は、「野党共闘が小選挙区で一定の成果をあげたのは事実。参議院選挙のたたかいの火ぶたは切られた。落ち込んでいる暇はない。憲法に基づく政治を実現させよう」と呼びかけました。
 「憲法9条を壊すな実行委員会」の菱山南帆子さんが行動提起を行いました。
(「憲法共同センターNEWS」11月22日号より)

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権力を監視する主権者国民の役割が発揮されなければならない

 11月3日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第18回憲法フェスタ」が開催され、立命館大学教授(憲法学)・多田一路氏が「私たちはなぜ憲法を守るのか~立憲主義、民主主義、平和主義~」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は2回目。

多田一路氏 ②



 憲法が存在しないと国家権力に対するコントロールが効かないという状況になる。憲法が形式的に存在しても、立憲主義が備わっていなければ憲法の意味はない。立憲主義の内実とは、憲法を守らなければならないのは誰か、強制力の対象は誰かということだ。憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書いており、国民は書いていない。つまり、憲法を守らなければならないのは国民ではないということだ。憲法は誰が作るのか、自分が縛られるものを自分で作る訳にはいかない。作るのは国民だ。これを国民主権と言う。国民が憲法を作り、国家権力が縛り付けられる。だから国民は憲法を使って強制力を与える存在ということになる。そうすると憲法は法律と同じで良いのかという議論になる。法律は国会で作るが、これは立法権という国家権力の作用で、国家権力の行使になる。法律と憲法が同じになってしまうと、憲法を作る・変えるという営みは国家権力の行使になってしまう。立法権の行使と憲法の制定は厳然と区別しなければならない。
 憲法を守るとはどういうことか。憲法によって国家権力は強制力を受けるはずだが、権力担当者は自由にやりたい。権力を持つとその権力は絶大な力を発揮するので、憲法は邪魔になり、それを乗り越えようとする。これが権力の濫用だ。憲法があっても、権力の濫用は残る危険性がある。強制力を持つ憲法はないといけないが、あるから大丈夫という話には実際はならない。そこで権力を監視をする主権者国民の役割が発揮されなければならない。誰が政権を取っても権力の濫用が起らないように監視することが大事になる。だから運動が必要だ。憲法は法だから法的な強制力が働かなければならない。その意味で裁判所の役割が重要になるが、裁判所だけでは足りない。例えば、憲法25条1項には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある。これは憲法上保障されているはずだが、問題は具体的にその中身は何かを憲法は指示していない。国家権力は何をしなければならないかは、いろんな方法、場面があるし、場面毎にいろんなやり方がある。例えば、水道管が落ちたというような場合は健康で文化的な最低限度の生活に支障が発生する。その時の支障を回避するための手立ては幾つかあり、北側に浄水場を作るとか、もう一本の水管橋を作るという選択肢もあるかもしれない。それは住民がよく相談しなければならないので、これ自体が運動になっていくと思われる。その運動はただ憲法を守るというだけではなく、私たちの暮らしに憲法を獲得するという性質の運動になる。憲法は国家権力に対する指令書だが、国家権力に守らせる活動をする必要がある。そして、我々自身が憲法に基づいた具体的な手立てを獲得していくことも必要になってくる。「守る」と「獲得する」の両面で憲法が大きな役割を果たす。立憲主義は非常に重大な考え方だが、憲法9条に戦争放棄・戦力の不保持・交戦権の否認が書いてあっても、憲法の強制力が発揮できない場合は、書いてある文字には何の強制力もないということになる。だから、憲法9条があればいいのではなく、9条という条文が存在する憲法が国家権力に対するコントロールをきちんと発揮する、我々が発揮させるという憲法でないとその憲法の存在意義はない。
 憲法の基本原理を考えた時、自公政権は憲法をどう捉えてきたのかを4点から見てみたい。
 第1点は、憲法に基づいて政治をやっているのかという問題だ。憲法53条は、総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会召集を決定しなければならない」と内閣に強制をしているが、臨時国会の要求を無視する政治が続いている。17年の安倍内閣で92日間、20年は42日間、21年は「無視します」と67日間要求を無視した。自公政権は憲法に基づいて政治をする気はないことを示した。自民党の改憲草案には53条改正案があり、「要求があれば20日以内に臨時国会を召集する」とある。
 第2点は、民主主義の手続きを踏む意思があるかという問題だ。憲法前文は「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民が享受する」と規定している。だから、代表者は国民の厳粛な信託に基づいて行使するのであり、国民は信託を与えるための情報を持っておく必要がある。しかし、フェイク情報による悪法通しが行われている。例えば、共謀罪法はテロ対策だと言われた。テロ対策立法は既にある。もう一つは国際的なテロ対策だと言うが、国際条約は国際マフィア対策の条約だ。共謀罪法は正しく情報を提供していない。また、高度プロフェッショナル労働法制の導入時、裁量労働制を導入すると労働時間は短くなると言った。一般の労働者の一日の労働時間に関するデータはないが、週・月毎のデータはあり、そのデータからは一日の労働時間は短くなるので、裁量労働制の方が良いということだった。聞き取り調査では法定外労働時間の最も長い人の、長い週の法定外労働時間を記入することになっていた。多いと思われる人をピックアップしてその労働者にこの月で残業時間が一番長かった時間は何分かと聞き、平均値が残業時間になっている。わざわざ長くするようにしたデータだ。官僚は調査をしても報告はしていない。その数字は余り意味がないからだ。報告すべきデータではないのに報告を指示した人物がいる。政治的に高度プロフェッショナル制度を導入しようと考えていた人たちということになる。その指示がまさにフェイクだ。このようにして出てきた間違った数字を国民は知らされる。間違った情報で国民は判断をしてしまう。その判断は厳粛な信託になるのかという問題だ。(つづく)

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【九条噺】

 我家の庭にもサザンカが咲き始めた。漢字で書くと「山茶花」だ。これは「サンサカ」ではないのか。中国ではツバキ類は「山茶」と言うそうで、「サンサカ」が訛って「サザンカ」になったそうだ▼サザンカはツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹で、学名は「Camellia sasanqua」と言う。「Camellia」はツバキ属のことで、「sasanqua」はまさに「サザンカ」だ▼日本の固有種で、基本的な性質はツバキ(椿 Camellia japonica)と似ているが、ツバキの開花は早春頃で、花が散る時、花首からぽとりと落ちるが、サザンカは花びらがぱらぱらと散る。ツバキは花首から落ちるという散り際から「首から落ちるので縁起が悪い」と武士には嫌われていたというエピソードが有名だ▼サザンカは、その園芸品種とされているカンツバキ(寒椿)とツバキとサザンカの交雑種のハルサザンカを合わせて3つが園芸品種群として扱われているという▼ところで、サザンカというと童謡が懐かしい。「たき火」は「さざんかさざんかさいたみち/たきびだたきびだおちばたき/あたろうかあたろうよ/しもやけおててがもうかゆい」と歌うが、近年の地球温暖化で霜焼けも少なくなっているのではないだろうか▼歌謡曲では「さざんかの宿」もある。「くもりガラスを手で拭いて/あなた明日が見えますか/愛しても愛しても/あゝ他人の妻/赤く咲いても冬の花/咲いてさびしいさざんかの宿」。暖かい春はツバキと一緒にもうすぐ来るだろう。(南)

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みなべ「九条の会」、125回目のピースアピール



 みなべ「九条の会」は11月6日、みなべ町東吉田交差点で13名の参加で125回目の「ピースアピール」を実施しました。
 「総選挙では、自公政権は改正前から12議席減らしたものの絶対安定多数を超え政権を維持しました。市民と野党の共闘は、候補者の一本化などを実現し、現職の自民党幹事長を落選させるなど多くの選挙区で接戦となりましたが、改選前を下回る110議席にとどまりました。この結果、自民・公明・維新の3党で、衆議院議員の3分の2を超える状況となり、改憲発議の危険性が高まることに警戒しなければならない情勢となっています。維新は来年の参議院選挙にあわせて、国民投票を実施するという考えを発表しました。私たちは憲法を守り・活かす活動を前進させていきたいと思います。皆様のご協力をよろしくお願いします」と訴えました。

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「九条の会ゆら」が軍事戦跡巡り



 「九条の会ゆら」と「日高平和委員会」は20日、大阪府勤労者山岳連盟のメンバー12人を迎え、28人で町内の軍事戦跡巡りを行った。
 公民館で1944年7月に行われた海防艦30号に対する空襲映像を見た後、役場駐車場にある紀伊防備隊本部跡石碑の前に移動。「九条の会ゆら」の小田憲さんから、紀伊防備隊の役割や海防艦についての説明を受けた。その後、阿戸地区の大谷弾薬庫群跡や神谷地区の特別攻撃艇「震洋」の格納トンネル群跡、白崎回天基地跡(白崎海洋公園)等を見学した。紀伊防備隊は発足当初は呉鎮守府に属していたが、41年以降は大阪警備府に所属。紀伊水道の海面警備と哨戒、海上交通の保護を任務としていた。大谷弾薬庫群は44年に工事が開始され、兵士の食料などを貯蔵していた。
 神戸市から参加した園敏雄さんは「こういった戦跡を広く知ってもらって、たくさんの人に戦争の恐ろしさを感じてほしいと思いました」と話していた。(日高新報11月20日付)

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(2021年11月28日入力)
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