「九条の会・わかやま」 446発行(2022年02月26日付)

 446号が2月26日付で発行されました。1面は、「改憲ストップ 全県意思統一集会」開催 ② 憲法九条を守るわかやま県民の会、立憲野党は総選挙で何を目指したのか ①(渡辺 治 氏 ①)、九条噺、2面は、総がかり実行委「19日行動」「憲法変えてる場合じゃない」、リーフレット紹介『いのち・くらし・憲法をまもろう』  です。
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「改憲ストップ 全県意思統一集会」開催 ②
憲法九条を守るわかやま県民の会




 「自民党改憲4項目」は「9条」「緊急事態条項」「教育無償化」「合区解消」だ。前2つが重要。「9条」は、「9条の2」で自衛隊明記と自衛の措置に言及している。「9条」に関係しては、56年の鳩山首相の答弁「敵基地攻撃は法理的に自衛の範囲」、59年の伊能防衛庁長官の答弁「平生から他国を攻撃する兵器を持つのは憲法の趣旨ではない」がある。しかし「9条の2」の加憲をすれば、①自衛(個別的・集団的)のために他国攻撃が可能で歯止めがなくなる ②軍事的価値が基本的人権と同列になる ③米軍に代わる軍事力保有が論議になる。「緊急事態条項」は、国家緊急権を憲法に創設し、立憲的秩序(人権保障と権力分立)を停止するものだ。昭和21年帝国憲法改正委員会で金森国務大臣は「乱用の危険性から憲法には規定しない。非常事態への対処は平常時から法律で整備する」と答弁している。新型コロナを口実とした緊急事態条項の創設は許されない。個を基本に置く民主主義か、個を抑圧する権威主義かが問われる。
 改憲世論を長期的に見ると9条改憲についても世論が変化してきた。中国の台頭、北朝鮮の挑発なども影響している。しかし国会ほどには世論の改憲論議は高まっていない。そこで緊急事態条項創設のお試し改憲(11月12日・自民茂木幹事長)発言もあった。
 世論を高めていくために総選挙結果も踏まえた工夫をしよう。例えば、「中国・北朝鮮脅威論に留意した『9条平和外交』の必要性」「核兵器禁止条約批准」「ジェンダー平等実現」「財源なき軍事費聖域化の危険」を語ろう。改憲手続法改正法附則4条「国民投票の公平公正がなければ改憲手続法は欠陥法で改憲発議は許されない」を活用しよう。 総選挙後、改憲策動は新たな段階になり、新たなたたかいが必要だ。コロナ禍の悪条件を跳ね返し、5月3日を第1の節、参院選の7月を第2の節に署名運動と学習宣伝を進めよう。戦争法廃止、改憲阻止を基本要求にした活動が投票率アップと共闘勝利につながる。参院選に向け、改憲をくい止め、政治を変える道は市民と野党の協力しかない。と訴えられました。
 以上の講演の後、当面の運動方針案提起に移り、県民の会共同代表の琴浦龍彦氏が提起をされました。「基本的な構え」は、憲法署名は5月3日と参院選告示を節に最終20万筆を目標とし、9条を守る運動組織や保守層とも連携。各団体の要求運動と憲法改悪阻止の関係を深め、構成員の参加と署名を柱とした宣伝活動を重視する。「推進体制」は、県民の会事務局、組合団体、郡市共同センターでの闘争体制を確立し、「大学習運動」は、8地域で県民の会派遣チューターの学習会、1千カ所1万人学習を3月までにする。手刷りの学習資料(15分で読める)作成などを各団体でも検討する。その他「署名」「意見広告」「ビラ」「グッズ」「宣伝行動日」「財政」も議論されました。意見交換で、分かりやすい問答ビラの実践例などが出されました。最後に琴浦氏がまとめを行って終了しました。(おわり)(柏原)

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立憲野党は総選挙で何を目指したのか ①

 12月19日、一橋大学名誉教授・渡辺治氏が「総選挙後の改憲をめぐる情勢と改憲阻止のたたかい」と題して講演をされました。その中から「立憲野党は総選挙で何を目指したのか」を『憲法運動』507号から要旨を2回に分けご紹介します。今回は1回目。

渡辺 治 氏 ①



 今回の総選挙は、自公政権に対して立憲野党が政権を目指して共闘して立ち向かうという初めての選挙でした。共闘成立の発端は、14年末に「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」という形で始まった「市民と野党の共闘」にありました。その原点は、自民党政権の下でも数十年に渡り維持されてきた集団的自衛権行使は認められないという憲法解釈を、安倍政権が改変するという暴挙に対する危機感と、憲法破壊を許してはならないという決意にありました。
 この共闘は、「安保条約反対、自衛隊違憲」ではなく、安保条約の軍事同盟化、自衛隊の海外での武力行使、アメリカの戦争への加担、それを法定化する安保法制に反対するという一致点で作られたのです。
 立憲野党には、安保条約や自衛隊に賛成の党も反対の党もあり、主張に大きな違いがあるため、立憲野党の共同ができなかった訳ですが、違いはありながら、安保法制の強行という危機に直面して、軍事同盟の強化や自衛隊の武力による加担で日本の安全を守るという自公政権の方針に反対という、より大きな方向での一致点で共同したのです。
 総選挙での、自民党や一部メディアの「安保、自衛隊で意見の違う立憲民主党と共産党が共闘するのは野合だ」というキャンペーンがいかに間違っているかという点を改めて確認する必要があります。
 この市民と野党の共闘によって、安保法制反対運動は未曽有の盛り上がりを示しました。安倍政権は法案の強行採決に踏み切りましたが、共闘は「安保法制廃止」の共闘へと発展しました。成立した安保法制を廃止するには、衆参両院で安保法制廃止賛成勢力が多数を占め、廃止法案を可決しなければならない、つまり政治を変えねばできない。こうして、総がかり行動実行委員会も参加して、「安保法制の廃止と立憲主義の回復をめざす市民連合」が結成され、16年参院選を前に立憲野党の選挙共闘が成立し、32の一人区で野党統一候補が立候補、11の選挙区で勝利を勝ち取ったのです。
 17年5月3日安倍首相は改憲提言を行い、自衛隊の憲法明記による軍事大国化の完成を目指しました。この安倍改憲提言に対し、市民と野党の共闘は、さらに輪を広げた運動を展開しました。17年夏、「総がかり」の呼びかけで、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が九条の会も参加して結成され、3000万署名が提起されます。市民と野党の共闘の頑張りに励まされて、立憲野党も頑張り、憲法審査会で改憲案の審議入りをさせず、19年参院選でも再び32の一人区で共闘が成立し、10選挙区で当選し、参院で改憲勢力3分の2を割らせることに成功します。こうして、安倍改憲を挫折に追い込んだのです。
 共闘は順風満帆ではなく、危機や困難に直面しました。最大の危機は、17年9月、希望の党の結党に合わせ、当時民進党代表の前原誠司のイニシアティブで一度は民進党議員の全員合流が決定された時に訪れました。しかし、市民と野党の共闘は、簡単には共闘を壊させませんでした。小池百合子の「安保法制に反対、憲法改正に反対する人は希望の党に入れない」という発言に、枝野幸男らが立って立憲民主党が結成され、市民連合は、合意を取り交わし、それを受けて共産党は67の選挙区で立候補を取り下げ、多くの小選挙区で共闘が成立しました。共闘の頑張りで、出来立ての立憲民主党は、55人の候補の当選を勝ち取り、希望の党を抜いて野党第1党の座を確保したのです。(つづく)(憲法会議『憲法運動』507号より)



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【九条噺】

 「分断へ面舵(おもかじ)いっぱい芳野丸」。これは、「朝日川柳」(朝日新聞)に掲載された川柳だ。連合・芳野友子会長の「共産党と連携する候補者を推薦しない」という参院選方針への厳しい批判だ▼実はこの川柳の作者・H氏は筆者の学生時代からの親しい友人で、「よくよんでくれた」と電話をし、元気なことを確認し合った▼ところで、船舶の操舵には「面舵」と「取舵(とりかじ)」があるのはご存知だろう。「面舵」は時計回りに舵を回し、「取舵」は反時計回りに舵を回す。つまり「面舵いっぱい」は船を右に目一杯急旋回させることを言う。まさに野党共闘の分断を目指す芳野会長の参院選方針そのものだ▼芳野会長は、「参院選では支援政党を明記せず、政党と政策協定も結ばない。共産党と『野党共闘』する候補者を推薦しない」と言う。連合は、昨年の衆院選は立憲、国民両党と政策協定を結び支援した。芳野会長は今回推薦決定後も「連合推薦候補者としてふさわしくない事柄が明らかとなった場合には、取り消しを含む厳正な判断・対応を行う」としている▼芳野会長が排除するのは共産党だけで、自民党、公明党、維新の会も排除していない。連合会長として、一体何を考えているのか全く理解できない。これでは労働者の代表と言っても誰からも応援されないだろう▼与党の自公は、参院選の相互推薦で揉めたり、知事選で分裂を繰り返すなど、地方組織はガタガタだという。そんな時になぜ塩を送るのか。(南)

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総がかり実行委「19日行動」
「憲法変えてる場合じゃない」




 総がかり行動実行委員会と全国市民アクションは2月19日、国会議員会館前で「憲法審査会強行やめろ!改憲発議反対!辺野古新基地建設中止!敵基地攻撃能力保有反対!防衛予算拡大するな!いのちと暮らしと営業を守れ!2・19国会議員会館前行動」を行い500人が参加しました。
 立憲民主党の柚木道義衆議院議員、日本共産党の山下芳生参議院議員が挨拶。社会民主党の福島みずほ参議院議員と沖縄の風の伊波洋一参議院議員のメッセージが紹介されました。
 憲法9条壊すな!実行委員会の菱山南帆子さんが主催者挨拶を行い、「参議院選挙で野党が前進せず改憲派に『黄金の3年間』を許してしまったら、憲法が変えられてしまう危険性がある」と強調しました。青年PTの髙木陽介さん、「NO WAR!八王子アクション」の森善彦さんが連帯の挨拶を行い、行動提起を憲法共同センターの木下興さんが行い、「署名を軸にたたかいの輪を大きく広げよう」と呼びかけました。(憲法共同センターNEWS409号より)

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リーフレット紹介『いのち・くらし・憲法をまもろう』



〇戦争する国に変えるのですか
・アメリカの侵略戦争に参加
・国会抜きに政府が権力行使
 ・一人区を温存する党利党略
 ・教育の無償化を言うなら財政支援を
 ・9条と真逆の好戦的な岸田政権
〇憲法をいかす道
〇平和外交で解決を
〇憲法をいかして、いのちをまもる政治に変えよう
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発行:「憲法共同センター」2022年2月1日
頒価:1部、5円(送料別)
   400部までは、リーフ代金・送料の請求書を同封し、レターパックで送付。401部以上は、印刷会社から直送、請求書は後日、別送。
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(2022年2月16日入力)
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