「九条の会・わかやま」 448発行(2022年03月29日付)

 448号が3月29日付で発行されました。1面は、「ウクライナに平和を!」反戦訴え2500人 反原発&反戦団体がタッグを組み渋谷でデモ、「連合」は改憲勢力?市民と野党の共闘の展望は?(渡辺 治 氏 ③)、九条噺、2面は、ロシアのウクライナ侵攻は「憲法9条は無力だ」と証明したか? 小林節・慶応大学名誉教授、旧那賀郡6町で宣伝活動実施 ロシアはウクライナ侵略をやめよ  です。
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[本文から]

「ウクライナに平和を!」 反戦訴え2500人
反原発&反戦団体がタッグを組み渋谷でデモ




 ロシアによるウクライナへの侵攻と原子力発電所への攻撃、核兵器の使用示唆に抗議するデモが21日、東京都渋谷区の代々木公園であり、2500人(主催者発表)が「ウクライナに平和を! 原発を攻撃するな!」と声を上げた。
 市民団体「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」と「戦争をさせない1000人委員会」が主催した。デモの冒頭、ルポライターの鎌田慧さんが「ウクライナの現状を見てほしい。原発は戦争中も平和な時も危険。戦争と原発をなくす思いで、これからも歩いていこう」と呼びかけた。



 ウクライナ出身で幼い頃にチェルノブイリ原発事故に伴う避難生活を経験し、現在は日本で音楽家として活動するナターシャ・グジーさんも登壇。「このような会に参加したことはなかったが、ウクライナでの戦争を止めるため何かしたいと思い参加した」と切り出し、参加者と一緒に童謡「ふるさと」を熱唱した。ナターシャさんは、この日に母親と再会した音楽家カテリーナさんの姉。
 その後、参加者は渋谷駅周辺などをパレードした。約40年にわたり、反原発運動に取り組んでいる東京都練馬区の佐藤敦子さんは「核の平和利用はあり得ない。今こそ核兵器も原発もない未来を子どもたちに届けたい」と語った。(東京新聞3月21日付)



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「連合」は改憲勢力? 市民と野党の共闘の展望は?

 12月19日、一橋大学名誉教授・渡辺治氏が「総選挙後の改憲をめぐる情勢と改憲阻止のたたかい」と題して講演をされました。講演後の質疑応答から「『連合』は改憲勢力? 市民と野党の共闘の展望は?」を『憲法運動』507号から要旨をご紹介します。

渡辺 治 氏 ③



「連合」会長芳野氏の共闘攻撃の言説がマスコミに登場し、連合=芳野と見えますが、誤りです。「連合」はいうまでもなく、労働組合のナショナルセンターの一つであり、加盟単産の志向により、決して一枚岩ではありません。労働組合のあり方から、原発、憲法改正、共闘の是非に至るまで、連合内では激しい対立が続いています。確かに芳野氏は、共産党を含む野党共闘に強く反発していますが、連合内には、共闘を支持し、それを推進しようという勢力も有力です。そもそも、市民と野党の共闘の出発点となった「総がかり行動実行委員会」の結成には、1000人委員会、平和フォーラムを通じて、「連合」内官公労の力が、大きく貢献していました。この努力がなければ、市民と野党の共闘はできなかったと言っても過言ではありません。憲法を巡っても、改憲に積極的な指導部もいれば、改憲反対運動に積極的に参加している労働組合までさまざまです。
 市民の運動、改憲反対の運動がやらねばならないことは、改憲反対の市民の声を大きくし市民と野党の共闘を強化し、実績を上げることによって、連合内の共闘勢力を励まし、力関係を変えることです。
 講演の中でも話しましたように、市民と野党の共闘は、何度も危機にあい、その危機を乗り越える中で強くなってきました。今回の共闘をめぐる逆流の動きは今までと異なり、自民党が、政権を目指す共闘に強い危機感を抱きメディアの一部も動員して本格的な共闘攻撃に出た結果生じている事態であり、またそれを受けた選挙の結果も単純なものではありませんから、さまざまな議論や動揺が起こるのは必然と言っても良いくらいです。
 しかし、市民と野党の共闘も、それを土台にした野党間の共闘も、17年の希望の党の結党による危機の時と比べると遥かに強くなっています。7年余りにわたる共闘の経験と実績はそう簡単に壊れるものではありません。何より今度の選挙で当選した議員たちは、自分たちがどんな力で当選できたかを誰よりも知っています。
 今回、共闘勢力が政権を変えるという目標を達成できなかったのは、共闘の姿が、国民に支持されなかったからではなく、自公の政治に替わる共闘の政治の姿が国民の前に明確に示されなかった、つまり共闘の故ではなく共闘の姿がはっきりしなかったからでした。有権者は自公の政治に代わって共闘の政治がどんなものになるかがわからず不安に思った、しかも入ってくる情報は共闘攻撃ばかりだったことが大きかったと思われます。共闘の方向については、地域の市民連合などで旺盛な民主的議論が必要ですが、今求められるのは、共闘の破棄・清算ではなく、共闘の本格的強化ではないかと思います。
 しかし共闘の強化は、決して机上ではできません。共闘が7年に及んで続いたのは、安保法制、改憲や安倍・菅政権の悪政をなんとかしたいという市民の運動と力によってでした。岸田自民党が進めようとしている改憲と9条破壊を阻止するための市民と野党の共闘の運動の強化の中で、そして参院選に向け、改めて共闘を強める中で、共闘の弱さを確認し強化していく以外にありません。(おわり)

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【九条噺】

 バードウォッチングで護国神社境内を歩いていると、父子の会話が聞こえた。子「ここは何の神社?」父「外国と戦争をしたら」までだが、戦死者が祀られていると伝わったようだ▼明治の戊辰戦争以来、靖国神社に合祀された本県出身の戦死者を慰める招魂祭が行われていたが、昭和12年に和歌山城内に招魂社が創建され、14年内務省令で護国神社と改称された。昭和20年7月9日の和歌山大空襲で社務所が消失した▼現在の境内には慰霊碑や記念碑が並んでいるが、鳥居と境内改修記念碑の2点を紹介しよう▼敷地の入り口に石造大鳥居が左右に灯籠を従えて立っている。鳥居の裏側に刻まれた銘が時代の証人に相応しい。「昭和十三年九月建之」「富国徴兵保険相互会社 取締役社長 根津嘉一郎」とある。昭和13年は、前年7月の盧溝橋事件から日中全面戦争に突入した時代だ。男性が徴兵され家計に与える打撃を和らげるために「徴兵保険」が必要とされ、それを社名に入れた保険会社が存在したことが戦争の本質を語っている▼そこを進むと和歌山市傷痍軍人会が建立した「境内改修三十周年記念碑」がある。その記念碑には小さな字で「われわれは戦争の悲惨を身をもって知る 日本の恒久平和を願い子々孫々の繁栄を祈る」と記す。下の方に「空襲で荒れたままの境内を見かねた我々は浄財を募って昭和31年から修復し桜を植えた」等の経緯が見える▼平和を願う碑の下で小鳥を楽しめる今の平和の継続を願う。(柏)

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ロシアのウクライナ侵攻は「憲法9条は無力だ」と証明したか?
小林節・慶応大学名誉教授




 ウクライナの悲劇に接して、日本国内で、憲法9条に関する発言が噴出した。右側からは、「だから、改憲して国防軍と敵基地攻撃能力をはっきり保持すべきである」という主張が出てきた。それに対して左側からは、「ウクライナのような『安保頼り』は危険だからやめて、『9条による平和外交』を訴える好機だ……」という反論が出てきた。
 まず、ロシアは、他国の政策を支配する目的で侵攻(侵略戦争)をしたわけで、明白な一般国際法(世界の常識)違反である。
 そこで、9条の意味を確認してみたい。1項は「国際紛争を解決する手段としての戦争(国際法用語としての『侵略戦争』)」を放棄している。さらに2項は「戦力(軍隊)と交戦権」(国際法上の戦争の手段)を否認した。だから、日本は他国と戦争はできない。
 しかし、国家の自然権としての「自衛権」は日本にもあり(国連憲章51条)、行政権(65条)の一環としての警察権により、国内と公海上では全力で自由に自衛ができる。これが「専守防衛」の意味である。
 だから、日本は、9条の下で今後も次の政策を堅持できるし、すべきであろう。
 ①他国にこちらから戦争を仕掛けないし、さらに、他国間の戦争には参加「できない」。しかし、②独立主権国家として、「専守防衛」に徹し、その準備は常に怠らない。つまり、今回ウクライナが世界に示したような優れた自衛力を保持し続けることが望ましい。
 これが、政治的にも憲法的にも正しい独立・自衛策のはずである。
 なお、この機会に「敵基地攻撃能力」つまり「先制攻撃」を考える向きは、それが、被害妄想から侵略戦争を始めてしまった今回のロシアのような国になってしまうことに気付くべきである。
 また、この機会に「不戦・非軍事の9条の正しさを世界に発信すべきだ」と考える向きは、それが非現実的な内容であるだけでなく、今の日本には何であれ世界に対して重大な提案を発信する力・立場がないことを自覚すべきである。
 いずれにせよ、今回は自らの国を改めて見直す好機ではある。(日刊ゲンダイDIGITALより)

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旧那賀郡6町で宣伝活動実施
ロシアはウクライナ侵略をやめよ




 岸田政権が敵基地攻撃能力の保有について言及するなど、9条改憲をめぐる情勢が新しい局面を迎えた中で、「那賀9条の会」は、「憲法九条を守るわかやま県民の会」から呼びかけられた全県一斉行動に応え、3月6日に旧那賀郡6町で一斉のパネル宣伝に取り組み、6町計で98人が参加しました。
 「岩出市9条の会」は、備前交差点で実施し、23人が参加しました。市民の反応は、2月にロシアのウクライナ侵略が勃発し、平和への思いが強まったのか、寒い中わざわざ車の窓を開け「がんばれ、プーチンに負けるな」と大声で声援を送ってくれるなど、車からの反応が増えたように感じました。また「貴志川」では、参加者が独自に製作した「安倍・プーチンは許せない」のパネルが共感を呼びました。寒い中での行動でしたが、私たちの掲げる「改憲よりもコロナ対策を」「ウクライナへの侵攻許すな 平和を守れ」のスローガンが市民と響きあう情勢に、確信と元気の出る行動となりました。(高瀬賢司さんより)

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(2022年3月28日入力)
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