「九条の会・わかやま」 449発行(2022年04月15日付)

 449号が4月15日付で発行されました。1面は、「守ろう9条 紀の川 市民の会」第18回総会開催 清水雅彦氏が対面で講演を実施、第94回「ランチタイムデモ」実施、予告 青法協憲法記念行事「憲法を考える夕べ」、九条噺、2面は、「くしもと9条の会」が「上映会とお話」開催 「平和な世界は必ずつくれる」 龍神村の古久保さん語る  です。
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「守ろう9条 紀の川 市民の会」第18回総会開催
清水雅彦氏が対面で講演を実施


 「守ろう9条 紀の川 市民の会」は4月9日、和歌山市・河北コミュニティセンターで第18回総会を開催しました。
 総会では、日本体育大学教授(憲法学)で九条の会世話人の清水雅彦さんが2014年の憲法フェスタに引き続き来和の上、「岸田政権が狙う改憲をめぐる情勢と私たちの課題」と題して講演をされました。

(原通範代表)

 開会に当り代表の原通範さんは、「ロシアのプーチン大統領のウクライナ侵略は許せない。特に核兵器の使用が危惧される状況には大きな声を上げていかなければならない。1964年に出版された『マッカーサー回想記』には、戦争放棄を含め日本は核兵器を含む一切の軍備を持たないと幣原首相が提案した。そして非現実的な夢想案に見えるだろうが、100年後には予言者と呼ばれるだろうと言ったと記す。戦争を止めるために9条を世界に訴え、日本政府は核兵器禁止条約を署名・批准し、世界に訴えてほしい」と挨拶されました。



(宇田ともえさん)

 続いて、記念講演に移り、宇田ともえさんが講師プロフィールを紹介しました。清水雅彦さんは12ページのレジュメに基づき、約1時間30分の講演をされました。

(清水雅彦さん)

 講演の概要は、「緊急事態条項論の内容と問題点」として、12年の自民党の「日本国憲法改正草案」の緊急事態条項、18年の4項目改憲案の緊急事態条項について解説されました。「敵基地攻撃論」の内容と問題点については、『令和3年版 防衛白書』より政府の基本的立場を解説され、清水さん自身の立場からの検討を解説され、「敵基地攻撃論」は違憲と述べられました。ロシアによるウクライナ侵攻の問題点と日本における改憲論との関係については、国連憲章との関係、その他の協定・条約との関係、日本における改憲論との関係について解説されました。9条改憲論の内容と問題点については、従来の9条改憲案、自民党の4項目改憲案の9条「加憲」論、憲法の平和主義の意義について解説をされました。その他4項目改憲案、維新の会・国民民主党の改憲案の内容と問題点については、合区解消・地方公共団体についてと教育充実についてを解説されました。そして、この間の運動を振り返り、今後の運動を考えると、必要なのは、正確には「市民と野党の共闘」ではなく「労組と市民と野党の共闘」であり、労組と市民の運動の土台ができたことで野党共闘へ進んだ。最終目標としての憲法の全面改正、国家主義、平和主義の変更、人権の制約、首相の権限強化、地方自治の後退、緊急事態条項の改憲を発議させない、国民投票に持ち込ませない、国民投票で負けを意識させ発議を断念させる運動・世論作りが必要と解説されました。そして、最後に九条の会会員個人の課題としては、「自己満足で終わらない。若者に働きかける。自己規制・委縮・忖度しない」が必要だと話されました。具体的には、「◎の若者は打たれ弱い。◎行事の後には懇親会に誘え。そこで説教はするな。◎費用はこちらが負担する。金は出しても口出すな」という印象的な言葉でした。(講演要旨は次号以降に何回かに分けて掲載を予定しています)

(萩田信吾さん)

 続いて、宇田ともえさんを議長に選出し、総会議事に移り、萩田信吾さん(事務局長)から、「2021年度の活動報告」と「決算報告」がありました。「活動報告」では、「第17回総会」と「第18回憲法フェスタ」についての報告、会員拡大や署名・宣伝活動などについて報告があり、続いて金原徹雄さん(運営委員)から、「私たちを取り巻く情勢」が、原通範さんから、「2022年度取り組み課題」の提案と「予算案」の提案があり、その後、「運営委員」の推薦があり、いずれも承認されました。最後に金原徹雄さんの閉会挨拶があり、総会は無事終了しました。

(金原徹雄さん)

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第94回「ランチタイムデモ」実施



 暖かいと言うより暑いくらいの4月13日、第94回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、60人の市民が参加しました。ウクライナ情勢に言及した上で、「こんな時こそ9条の意義を再認識しましょう」との森亮介弁護士の挨拶を受け、参加者は和歌山市役所から京橋プロムナードまでを行進しました。この日はサイレントデモでしたが、森弁護士からは「14年6月から、集団的自衛権行使容認の閣議決定阻止のために始まったこのデモは、以後毎月欠かさず実施して、今日が64回目となる」と沿道にアピールされました。

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予告 青法協憲法記念行事「憲法を考える夕べ」


詳しくは
http://home.384.jp/kashi/9jowaka/tirasi/22seihokyo.htm

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【九条噺】

 中学の頃、ウクライナは大穀倉地帯だと習った。肥沃な黒い土が農業に適しているという。国旗は青空と、小麦の黄色を表しているという▼ウクライナと言えば70年の映画『ひまわり』を思い出す。第二次大戦でロシア戦線に出征したまま戻らないイタリア人の夫(マルチェロ・マストロヤンニ)を、妻(ソフィア・ローレン)が捜す物語。戦後、たどり着いたウクライナで妻が見つけたのは、新しい妻と子供と暮らす夫だった。戦争が引き裂いた夫婦の悲哀を描く。ヘンリー・マンシーニの音楽と一面のひまわり畑は今も耳に残り目に焼き付いている▼そのウクライナでのロシア軍の暴虐行為と目を背けたくなる惨状が日夜テレビで放映され、涙が溢れる▼島国の日本とは異なり、ウクライナのような地続きのヨーロッパでは、国境線は過去に何度も変わったことだろう。だが、不満があっても、平和裏に確定した国境は尊重しなければならない▼ところが一方的な独立は国際法上認められないのに、親ロシア派支配地域が勝手に宣言した「独立」を「承認」し、それを認めないウクライナに侵攻したプーチン大統領の行為は、自国領土拡大のためには国際法も踏みにじる大国主義・覇権主義の蛮行だ▼この状況を解決するには、我々はどうすればいいのか。西欧諸国が軍隊を派遣しロシア軍を追い出せと、つい思たくなるが、それは全面戦争への道だ。粘り強く世界の多くの国々と市民社会の力を合わせることしかないのだろう。(南)

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「くしもと9条の会」が「上映会とお話」開催
「平和な世界は必ずつくれる」 龍神村の古久保さん語る




 コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻という情勢の中、3月21日串本町文化センターで、ドキュメンタリー映画『轟音』の上映会とお話及び第8回総会を開催しました。
 オープニングセレモニーとして、当会の定番になっているギターとマンドリンの生演奏をしていただき、朝ドラ「花子とアン」のテーマ曲「虹色」、ルイ・アームストロングの「この素晴らしい世界」、「いい日旅立ち」「瀬戸の花嫁」とお馴染みの曲に参加者の気持ちが和みました。
 ドキュメンタリー映画『轟音』では古久保健さんが、77年前(1945年)5月5日龍神村にB29が墜落し、多くの住民の証言や、亡くなられたら弔うのが当然という和尚の教えに共感して慰霊の行事が始まったことを紹介されました。古久保さんご自身が生まれる前にお父さんが出征し中国大陸で戦死された思いから、墜落死した米兵の遺族を探し、お会いできたことで、戦争への憎しみと人命の尊さを話され、平和な世の中は必ずつくれると訴えられました。現実に戦争が起こっている状況の中で、22名の参加者はより身近に感じられました。
 その後の総会では、「熊野平和ネットワーク」「市民連合わかやま・くまの」「すさみ9条の会」「古座川9条の会」の各代表から共に頑張っていきましょうとの連帯の挨拶がありました。総会議事では活動方針の追加提案として、「ロシアの侵略戦争をやめさせよう」と「子ども向け防衛白書」について取り組んではどうかという意見があり、4月の役員会で検討していくことになりました。決算と予算及び次期役員13人も提案通り承認されました。
(会の事務局長・上柳博さんより)



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(2022年4月14日入力)
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