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「国葬反対国会正門前大行動」に4000人
安倍元首相の国葬反対!税金使うな!臨時国会開け!
国会前に国葬に反対する怒りのコールが響きわたりました。8月31日夜、国会正門前で「安倍元首相『国葬』反対!8・13国会正門前大行動」(主催:安倍元首相の『国葬』に反対する実行委員会、呼びかけ:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が開かれ、4000人が参加しました。国葬への批判をかわすために岸田首相は閉会中審査で質疑を受ける場をつくるといいますが、それならば臨時国会を開催し、国葬問題だけでなく、コロナをはじめ、自民党と統一協会との癒着問題など徹底審議を行うべきです。日本共産党の小池晃参議院議員、社民党の福島瑞穂参議院議員、立憲民主党の阿部知子衆議院議員があいさつ。沖縄の風の伊波洋一参議院議員のメッセージが紹介されました。
戦争をさせない1000人委員会の内田雅敏事務局長が主催者あいさつ。「国葬令は廃止され法的根拠はない。国葬に税金を使うべきではない。国葬反対、権力の私物化反対と声をあげよう」と呼びかけました。
ネット・民法改正情報ネットワークの坂本洋子理事長は、「選択的夫婦別姓など安倍元首相はジェンダー平等を攻撃してきた。国葬に明確に反対する」と発言。NPO法人アジア女性資料センターの本山央子(ひさこ)代表理事は、「明らかな差別の根を断ち切るために、たとえ費用がゼロ円であったとしても国葬をやらせてはいけない」と訴え。上智大学の中野晃一教授は、「岸田首相が国葬をすることは、安倍政治が続くことを示したいからだ。正当な業績が語れないのも問題だ。国葬がやられたとしても安倍首相が本当にやってきたこと、民主主義を破壊し東アジアの平和を危うくしていることなど外国に明らかにすることができる」と強調しました。
行動提起を憲法9条壊すな実行委員会の菱山南帆子さんが行いました。
(憲法共同センターNEWS9月1日第428号)
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新たな改憲の動きにどう立ち向かうか①
由良登信さん①
9月1日の和歌山憲法会議総会で、由良登信弁護士が「新たな改憲の動きにどう立ち向かうか!」と題して講演をされました。
改憲の動きは、①台湾有事に米軍と参戦する備えとして、敵基地攻撃能力保有と防衛費増額を推進しており、これは実質的に9条の解釈改憲であり、②憲法に自衛隊を明記すのは明文改憲だと、2つを上げられました。また、国会で改憲勢力が衆参とも3分の2を超え、ロシアのウクライナ侵略が「武力の備え」論に追い風となり、中国・ロシア・北朝鮮の危険に乗じて軍備強化を正当化しようとしており、一方、安倍氏国葬、旧統一教会問題で内閣支持率低下の逆風があるが、2つの改憲を諦めていないと指摘されました。
「敵基地攻撃能力(反撃能力)保有と防衛費増額」について、従来の「自衛隊は合憲という解釈」は、憲法9条は戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認だが、日本が外国に攻められた時の個別的自衛権は認められ、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」という限りで憲法9条に違反しないとしてきた。従って、敵基地攻撃能力保有は、憲法9条2項「一切の戦力保有」禁止に違反し、「自衛のための最小限度の実力」「専守防衛」を超えている。また、相手国のミサイル発射以前に相手のミサイル基地や指揮制御機能を攻撃するのは「先制攻撃」となり、憲法9条2項・1項及び国連憲章に違反する。
敵基地攻撃能力の保有は、アメリカに押し付けられたのであり、アメリカの世界戦略の変更による。冷戦終結後アメリカは「ならず者国家」やテロとの闘いを戦略目標としてきたが、中国が驚異的な経済発展をして軍事大国・覇権大国となり、イランやロシアと組んでアメリカに対抗するようになった。そこで、中国を包囲し、軍事的優位を獲得する政策に、世界戦略を大きく転換した。それに伴って対中国の最前線となる日本が重要になり、アメリカの対日圧力が極めて厳しくなった。
具体的に、①20年12月「対日要求報告書」(米国戦略国際問題研究所)は「(集団的自衛権行使容認を評価し、今後の課題は、日本がどのように敵基地攻撃能力とミサイル防衛を向上させるかだ」とした。関連して20年版予算資料は「第1列島線(日本から南シナ海)に巡航ミサイルなど精密打撃網の構築のため、日本の地上配備兵器の参加が前提」とした。②21年4月16日日米共同声明(バイデン大統領と菅首相)では、「日本は同盟と地域の安全保障強化のため防衛力強化を決意」「ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動に懸念を共有」「両国は抑止の重要性も認識」「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」という重大な約束を呑まされた。③22年1月7日日米安全保障協議委員会(2+2)共同発表では「閣僚は、南西諸島を含む地域における自衛隊の体制強化の取組、日本施設の共同使用増加についてコミット」というレベルに踏み込んだ。(つづく)
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「九条噺」
統一教会(現:世界平和統一家庭連合)と自民党との癒着が大問題となっている▼統一教会は文鮮名が作った霊感商法などで消費者被害を拡大している反社会的カルト集団だ。文鮮明は反共産主義謀略集団「勝共連合」も作っている。カルトとは、本来カリスマ的指導者を中心とする小規模で熱狂的な信者の集まりを指すが、最近では、犯罪行為を犯すような反社会的な宗教集団を指す用語として使われている▼統一教会は韓国で設立されたが、安倍銃撃事件の山上容疑者の母親のように多額の献金を繰り返させたり(献金は世界で日本だけで実施)、万人単位の信者が見知らぬ人と結婚する集団結婚式など、普通の人間には全く理解出来ないことを行っている集団だ▼日本との最初の接点は岸信介で「反共」で手を組み、文鮮明に多大な便宜を供与した。その流れは、安倍晋太郎・安倍晋三に引き継がれている▼政治がカルト集団で犯罪集団の統一教会と関係を持たないのは至極当り前のことだ。岸田首相は、「教団との関係を厳正に見直すと約束した者のみ閣僚や党役員に起用した」と強調するが、その後関係を認めたのは7人もいる。副大臣、政務官等に就任した76人の内33人(43%)が統一教会との関係を認めている▼岸田首相が教団との関係をなくすと言うのなら、党議員へのアンケートではなく、調査のための第三者機関を作り、徹底的・厳正に調査し、全結果を公表、その内容により更迭等然るべき処分をすべきだ。(南)
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みなべ「九条の会」が終戦記念日の街宣活動実施
みなべ「九条の会」は今年も町内全域で8月15日終戦記念日の街宣活動を実施しました。
この日は清川の本誓禅寺で先の大戦で亡くなられた方たちへの鎮魂と、77年続いてきた平和がこれからも続くことを願って釣鐘を鳴らしました。
街宣活動では、「今日、8月15日は終戦記念日です。みなべ町で先の戦争の犠牲となられた方は814名おられます。戦後日本は日本国憲法9条で『戦争はしない』『戦力は持たない』と国内外に約束しました。だから戦後77年間戦争で亡くなった人はゼロなのです。現在ロシアによるウクライナ侵略が続いています。ウクライナ侵略の責任は全てロシアにありますが、NATOの拡大、軍事同盟の強化を進めた結果、対話のきっかけを失い、戦争に突入したという事実があります。今は『9条改憲』ではなく、9条を活かした平和外交に知恵を絞る時ではないでしょうか。終戦記念日の今日こそ『殺し殺される戦争は二度と繰り返させない』『憲法9条は今のまま守ろう』という声を、みなべ町の中で広げていきましょう」と訴えました。
(会代表・平野憲一郎さんより)
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松野官房長官の詭弁…国葬を内閣の「裁量」でできるはずがない
小林節・慶応大学名誉教授
ついに岸田内閣の本音が出たというか、松野博一官房長官が、「国の儀式を内閣が行うことは行政権の『裁量』に含まれ、閣議決定を根拠に(国葬を)行うことは可能だ」と言い放った。
憲法上、まず、「行政権は内閣に属する」(65条)。しかし、内閣は「(国会が制定した)法律を誠実に執行し、外交関係を処理し、(国会の承認を得て)条約を締結し、法律に従って公務員に関する事務を担当し、憲法、法律を実施するために法律の範囲内で政令を制定し、恩赦を決定する」ことが仕事である(73条)。また、内閣が国費を支出するには国会の議決に基づくことが必要で(85条)、予備費の支出にも事後に国会の承認を得なければならない(87条)。
だから、内閣が「元首相の国葬」などという歴史的なイベントを挙行するためには、少なくとも、国会が制定した「国葬法」という法律に、その目的と基準などが既に規定されていなければならないはずである。
内閣が引用する内閣府設置法4条3項33号は、例えば、既に憲法7条10号を受けて皇室典範(法律)25条に規定された大喪の礼(天皇の国葬)などの事務を内閣が担当するための「手続」規定である。
だから、今回は、「元首相の国葬」について、国権の最高機関である国会(41条)の意思を示す国葬法(根拠法)がないことが文字通り「違憲」だと批判されているのである。
「裁量」とは、国語的には、「何ものにも縛られずに自分の考えで処理すること」であり、法的には、「該当法規が多義的なためにその範囲内で所管庁が自由に判断できる余地」のことである。例えば、大喪の礼の日時や式次第の詳細などである。
しかし、今回の「安倍国葬」については「法律上の根拠」がないことが問われている。それさえあれば、式次第などは内閣府設置法4条によりそれこそ内閣の「裁量」である。
内閣が懲りないのでこちらも再度指摘させてもらうが、今回の「安倍国葬」にはその挙行を「根拠づける法律」(国権の最高機関・国会の意思の証し)が存在しないことが問題なのである。
(日刊ゲンダイDIGITAL8月31日より)
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