「九条の会・わかやま」 461号 発行(2022年09月23日付)

 461号が9月23日付で発行されました。1面は、第99回「ランチタイムデモ」実施、新たな改憲の動きにどう立ち向かうか②(由良登信さん②)、九条噺、2面は、安倍首相の国葬中止 1万3000人が声上げる 渋谷・原宿をデモ行進、安倍国葬反対 和歌山駅前で訴え、朝日新聞世論調査(9月10~11日)  です
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[本文から]

第99回「ランチタイムデモ」実施



 快晴に恵まれた9月14日、回を重ねて第99回目の「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が、40人の市民が参加して実施されました。
 9月27日に安倍元首相の「国葬」が強行されようとしているということで、参加者の中に「税金使うな」「閣議決定は憲法違反」「嘘118回」などの「安倍国葬反対!」のプラカードが登場しました。
 今日のコーラー役は浅野喜彦弁護士でした。出発前には、浅野弁護士から10月28日に和歌山弁護士会の「緊急事態条項を考える市民集会」が開催されることが案内され、ゴールの京橋プロムナードでは、次回(第100回)のデモの参加者目標は100人にしようと呼びかけられました。
 第100回は10月17日(月)です。



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新たな改憲の動きにどう立ち向かうか②
由良登信さん②




 (460号のつづき)④この延長上に、22年4月26日に岸田首相に提出した自民党「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」は、「弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止し、対処する。反撃能力の対象範囲は、相手国のミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含むものとする」「NATO諸国の国防予算の対GDP比2%以上の目標も念頭に、わが国としても、5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準を目指す」と、敵基地攻撃能力保有と防衛予算拡大を強く提言した。⑤22年5月23日の日米首脳共同声明も、この流れを踏襲し「台湾海峡の平和と安全を強調、同盟の抑止力・対処力強化、日本の防衛力抜本強化と防衛費増額」を掲げた。
 このような戦略に基づいて、中国との武力紛争への備えは、人員・予算において着々と実行されている。具体的には次のものがある。①自衛隊の南西諸島での体制強化として、「緊急展開部隊」「島嶼部奪還作戦部隊」の必要に備え、機動旅団を編成。また馬毛島を陸海空の総合基地とし、訓練・兵站・後方支援基地とするため設備整備費(3180億円)。②電子戦、スタンドオフ攻撃、敵基地攻撃、対艦・対空戦闘能力の整備として、与那国駐屯地と対馬駐屯地に電子戦部隊を置く施設整備費(61億円)、スタンドオフ電子戦機の開発(190億円)、南西諸島に配備された12式地対艦ミサイルを射程900キロに伸ばし、地上発射に加えて空中・海上発射型にする改良(393億円)、島嶼部防衛高速滑空弾の開発(145億円)、極超音速巡航ミサイルの開発(40億円)、次世代国産戦闘機FXの開発(1001億円)、F35A8機(768億円)、F35B4機(510億円)取得。③中国との戦闘で優位に立つための宇宙作戦隊―第2宇宙戦隊を新編し、70人から120人に増員、最新式PAC―3MSEを取得(600億円)。④奄美大島、宮古島に陸自の対艦・対空ミサイルを配備ずみ、22年度内に石垣島に同様の陸自基地が作られる。23年度には沖縄本島の第15旅団51連隊勝連分屯地へ陸自対艦ミサイル部隊配備、与那国島へ電子戦部隊配備。台湾有事には南西諸島は最前線になり、中国は南西諸島の日米軍事拠点を攻撃する。台湾有事は絶対に回避しなければならない。  防衛費GDP比2%となるとどうなるか。5兆5000億円をどうやって調達するのかが問題になる。
 憲法に自衛隊を明記する改憲案が通るとどうなるかを4点にわたり詳しく解明されました。①9条2項の「戦力の不保持」「交戦権の否認」が空文化し、憲法上の国家機関としての軍事組織が誕生する、②憲法に「自衛隊」の定義がないので、制約やコントロールが出来ない、③9条で縛られていた安保法制が改悪できる、④自衛隊を憲法上の組織に格上げすることで、活動範囲拡大、防衛費増加(→福祉予算削減)、軍需産業育成と武器輸出推進、国防意識の教育を強制し学校で自衛官募集、軍事刑法の制定と軍法会議設置、土地収用が可能に、軍事研究への助成金、徴兵が可能。
 その他に自民党改憲4項目として抱き合わせで出る可能性がある項目について、「緊急事態条項」の議会制民主主義破壊について詳しく警告され、「参議院合区解消」「教育無償化」にも言及されました。
 「改憲にどう立ち向かうか」について運動の方向4点を示されました。①台湾有事への自衛隊参戦をさせてはならない。日本列島にミサイルが飛び交う戦場になってしまう危険を訴えよう。外交による東アジアの平和機構を確立して話し合いで紛争を解決するしか道はない、②米軍と一体の軍事活動をさせないためにも9条の明文改憲をさせない。もし改憲されたら日本がどうなるかを語っていこう、③国民投票で負けない草の根の活動を活発化して、改憲しようとしてもできないぞと示し続ける。国民投票にさせないことが重要。広報されれば不利、④主権者としての自覚をもち、色々な取り組みを楽しく、長く続ける。「平和でいたい」「戦争は絶対アカン」という保守の人や宗教家も含め、広く呼びかけることを訴えられました。(おわり)

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【九条噺】

 稲穂が色づき垂れるこの頃に思い出す歌がある。「穂並は揺れるよ、黄金の穂並、エイ穂並」で始まる「収穫の歌」だ。同年配の方々には青年時代の「うたごえ」を思い出される向きも多かろう▼ただし歌詞の「穂並」は秋の稲ではなく、麦秋に黄金色に波打つロシアの畠の小麦だ▼小麦と言えば個人的に色々な連想に繋がる。昔の学校給食のコッペパン(と脱脂粉乳)、最近趣味にしているパン作りの素材、残留農薬問題や食糧危機等と、広げていけば限りがないくらいだ。個人的で恐縮だが趣味のパン作りについて記したい▼今作っているのは、普通の食パン、菓子パン、フランスパン辺りになる。パンの基本要素は「粉、塩、酵母(イースト)、水」とされ、粉は小麦が主だが、他の麦を混ぜたり、米粉100%のもある。私の好物は「はったい粉(大麦・麦こがし)入りカンパーニュ」で、家族は「レーズン食パン」「コッペパン」を好む。ただし米飯中心ではある▼「収穫の歌」に戻るが、ミュージカル映画「クバンのコサック」(モスフィルム1949年)の挿入歌で、クバン地方のコサックが集団農場を礼讃して歌う設定。関鑑子の訳詞は3・4番の礼讃を省略したので農民の明るい喜びが印象に残る。しかし旧ソ連は崩壊した▼最近のロシアによるウクライナ侵略でウクライナ産小麦の価格高騰が憂慮されたが、輸出は両者の協定成立で出来ているようだ。「青空と小麦」を国旗とするウクライナに平和が戻ることを強く願う。(柏)

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安倍首相の国葬中止 1万3000人が声上げる
渋谷・原宿をデモ行進




 安倍晋三元首相の国葬中止、原発再稼働反対、安保法制の廃止を訴える集会が19日、東京・渋谷の代々木公園であった。台風14号の影響で雨が強まる中、1万3000人(主催者発表)が集まり、抗議の声を上げた。集会後はプラカードなどを手に渋谷や原宿の街をデモ行進した。
 27日に迫った安倍元首相の国葬について、集会で登壇した弁護士の大住広太さんは「法的根拠はなく、内閣の一存で行うのは民主主義に反する」と批判した。安保法制は憲法違反として廃止を求める法律家グループの一員でもある大住さんが「立憲主義を破壊する政治の中心にいたのが安倍元首相です」と訴えると、会場は「そうだ」の声に包まれた。  「世論調査で国民の6割が反対する国葬を強行するのは国民無視の政治」と憤るのは、さいたま市南区、会社員藤田多佳志さん。「27日は『国葬反対』と書かれたTシャツで国会正門前の集会に参加します」。同僚に誘われ参加した東京都大田区の女性は「弱者を切り捨て、森友学園問題で自殺者も出した安倍さんは全く評価できない。税金で国葬をやるのはおかしい」と話した。
 集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法が15年9月に成立した際、大学生として抗議活動に参加していた井田敬さんは、集会の実行委の若手代表として登壇。「民主社会を破壊していく政治がどんどん強くなっていると危機感を持ったことを、昨日のように覚えている」と語った。元教員の女性は雨にぬれながら「さよなら戦争」と書かれたプラカードを掲げ続けた。
(東京新聞9月19日付)

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安倍国葬反対 和歌山駅前で訴え


(写真は朝日新聞HPより)

 和歌山県地評や和歌山県平和フォーラムがつくる「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼びかける「安倍元首相の国葬」に反対する宣伝行動が9月16日、JR和歌山駅前で行われた。参加者は60人で、6人が反対スピーチを行った。
 琴浦龍彦・県地評議長は「法律を準備して基準を明確にし、国会で議決して予算を措置するべきだ」と話し、阪本康文弁護士も「今回の国葬は基準も手続きもなく、内閣が恣意的に決めた」と指摘した。西口昌世・新日本婦人の会県本部常任委員は「安倍氏と統一教会との関係やモリ・カケ・サクラ。だからみんな国葬に反対する」と語り、伊藤宏・県平和委員会代表理事は安倍氏が街頭演説で「こんな人たちに負けるわけにはいかないと語った。異を唱える人を『こんな人』扱いした人のために税金を使われたくない」と話した。裏野勝也・和歌山県平和フォーラム代表は「国葬反対の声は岸田政権の支持率急落に示されている。権力の暴走を許すな」と訴えた。

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朝日新聞世論調査(9月10~11日)



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(2022年9月22日入力)
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