「九条の会・わかやま」 464号 発行(2022年11月10日付)

 464号が11月10日付で発行されました。1面は、「第19回憲法フェスタ」開催 守ろう9条 紀の川 市民の会、日本国憲法のせいで市民生活に不都合が生じているのか?「憲法9条を守る和歌山市共同センター・秋の憲法学習会」開催、九条噺、2面は、講演会「今こそ、九条を語るとき」開催 「九条の会いなみ」、みなべ「九条の会」132回目のピースアピール  です
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「第19回憲法フェスタ」開催
守ろう9条 紀の川 市民の会


 11月3日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第19回憲法フェスタ」が和歌山市・河北コミュニティセンターで開催され、約100人が参加しました。
 午前10時から「展示の部屋」では会員の人形・押し絵・絵手紙など、数多くの趣味の作品が賑やかに展示され、会員同士が交流しました。


(展示の部屋)

例年実施している「リサイクルひろば」も開かれました。いらなくなった物をみんなが持ち寄り、気に入った物があれば持って帰ってもらいました。また例年の「映像の部屋」は、今年は午後にドキュメンタリー映画『轟音』が上映されるため、「紀の川憲法カフェ」として実施、金原弁護士を進行役に、9条を守る活動についてワイガヤ風に議論されました。


(リサイクルひろば)

 午後1時30分から多目的ホールでメインプログラムを行いました。
 最初に原通範代表から開会の挨拶があり、原代表は、「自民党改憲草案は統一教会が言う改憲案に酷似している。自民党と統一教会の癒着を許すことなく、市民に伝えていく必要がある」と訴えられました。


 (原通範代表)

 第1部はオカリナ演奏ユニット「Happyマリオネット」の演奏です。「未来へ」「いのちの歌」「里の秋」「故郷」など、素晴らしい演奏が行われました。


 (Happyマリオネット)

 第2部はドキュメンタリー映画『轟音』の上映と田辺市龍神村の郷土史家・古久保健さんのお話がありました。『轟音』は、1945年5月5日に米軍のB29が龍神村に墜落し、米兵11人中7人が墜落で亡くなり、生き残った米兵も後に日本軍に殺され、地元では米兵の供養を続けていることなどを証言映像で伝えるものです。
 古久保さんは、龍神村に墜落して戦死した米兵の遺族に、墜落当時の出来事や、地元で続けている慰霊について伝えようと活動を開始。遺族を捜し当てて文通を始め、遺族の女性を訪ねてアメリカにも行かれています。古久保さんは『轟音』の上映を柱とした、反戦を訴える活動をライフワークとされており、当日は、「戦争を繰り返さないためにも残酷な事実も語らないといけない。武器を持つこと自体が戦争への準備だと考えるべきだ」と語られました。(次号にお話の内容を掲載予定)


(古久保健さん)



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日本国憲法のせいで市民生活に不都合が生じているのか?
「憲法9条を守る和歌山市共同センター・秋の憲法学習会」開催




 10月22日、和歌山市プラザホープで「憲法9条を守る和歌山市共同センター・秋の憲法学習会」が開催され、和歌山信愛女子短期大学教授の伊藤宏氏が「防衛予算と憲法9条、改憲を許さないために」と題して講演をされました。
 まず、少年時代にゴジラ映画第一作(『水爆大怪獣ゴジラ』)に感動してから、ゴジラコレクションやイベント参加を重ねつつ、大学の教養科目でゴジラを引いて平和の大切さを学生に語っていると紹介された後、9条の話題に移りました。
 世論調査の危険な数値として、憲法記念日の各調査で、例えば「朝日」では、改憲必要56%、不必要37%のように改憲世論が伸びている。世論はその時々の事件で変動してきた。一方、岸田首相が任期中の改憲を唱える等、改憲の動きが強まっている。
 しかし考えたい。日本国憲法のせいで市民生活に不都合が生じているのか? 改憲によって周辺脅威はなくなるのか? 緊急事態条項でコロナは抑えられるのか? 憲法は古くなったと言うが古い物が全て悪いのか?
 憲法9条は、戦争の惨禍の反省に立ち、第9条だけで第2章を立てた重い物だ。自民党改憲草案は、前文冒頭が「日本国は」で始まる国家主義の内容だ。第9条に「9条の2(国防軍の保持)」を加えて、現行9条2項の戦力不保持を無効化してしまう。
 今こそ、憲法作成過程で戦力不保持を入れた幣原喜重郎首相の言葉「原子爆弾で世界は変わった。世界は真剣に戦争をやめることを考えなければならない。戦争をやめるには武器を持たないことが一番の保証だ」を思い出そう。
 次に日本の防衛予算の推移について。1950年度は警察予備隊創設200億円を含む1310億円。51年度は警察予備隊経費160億円を含む1199億円(GNP比2.19%)。52年度は保安隊発足、保安庁・保安隊経費540億円を含む1771億円(GNP比2.78%)。54年度は自衛隊創設。1次防から4次防まで防衛費は増大。76年に「GNP1%枠」を決定したが、2021年の軍事力ランキングで日本は5位だ。岸田首相は防衛費GDP2%(倍増5兆円)を言うが、それを大学授業料無料化、給食無償、年金追加支給、消費税引き下げ等に使うべき。
 最後に平和と外交について、佐高信氏の中村哲氏追悼文を引いて締めくくられました。「中村さんはいつも、自衛隊派遣が自分たちの活動の邪魔をしていると言っていた。アフガニスタンで井戸を掘り、用水路を拓くことで築いた信頼関係が、自衛隊の派遣で崩されるからだ」。憲法9条の力を感じさせる講演でした。(柏原)

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【九条噺】

 台風は太平洋北半球西部に発生する風速17m/秒以上の熱帯低気圧で、33m/秒以上はタイフーンとも呼ばれる。大西洋や太平洋北半球東部に発生するのはハリケーン、インド洋に発生するのはサイクロンと言う▼今年台風は23号まで発生、特に14号は、日本列島縦断に近いコースを辿り、風雨の被害も大きかった▼ところで、台風上陸回数は和歌山県が全国3位だそうだ。我々ものんびり構えておれない▼近年の台風発生はフィリピン近くの太平洋西部が多い。これは「ラニーニャ現象」(太平洋赤道域東部の海水温が低下、西部が上昇する現象)の影響と考えられるという。20~21年、東部の発生はわずか8個、西部は37個にも及び、ラニーニャ現象発生時は、明らかに発生地点が西寄りになる傾向が鮮明になっているという▼赤道付近の熱帯では、海水温が上昇すれば蒸発し、空気は温度上昇で膨張、多くの水蒸気を含んだ上昇気流が海上で発生、水蒸気は上空で冷やされて凝結し、巨大な積乱雲を生み出す。熱が大気の温度を上げ、積乱雲内部の上昇気流をさらに強める。これが台風だという▼日本近海の21年までの100年間の海面水温の上昇率は、+1.19℃だ。これは決して小さいものではなく、世界全体や北太平洋全体の海面水温の平均上昇率よりも大きくなっているという。11月6日、COP27が始まった。地球温暖化防止は、熱波、豪雨、海面上昇などとともに、台風被害の拡大防止のためにも重要なのだ。(南)

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講演会「今こそ、九条を語るとき」開催
「九条の会いなみ」




 11月3日、「九条の会いなみ」は、4年ぶりに講演会を開催しました。講師として信愛女子短大の伊藤宏先生をお招きしました。先生は、子供の頃に観たゴジラの映画から大きな影響を受けられ、ゴジラを通して原発、核兵器や憲法九条をめぐる問題を追究されていて、講演のサブテーマとして「怪獣ゴジラからの警告」とつけておられました。
 開会の挨拶として、代表・中家弘之氏のメッセージを会員が代読しました。中家氏は95歳で会への出席はかないませんでしたが、内容は胸をつかれるものでした。和歌山師範学校に進学したが、3年生の10月には学業を放り出して、大阪の造船所で溶接の仕事をさせられた。大阪大空襲で焼け出され、命からがら和歌山に戻ったが、和歌山でも7月9日の大空襲に遭い、和歌山城天守閣が燃え落ちるのを泣きながら拝み見た。4年生になり、その頃は徴兵年齢が18歳に引き下げられていたので、学業半ばで入隊。和歌山市駅から貨物列車に乗せられた。昭和20年7月30日のことであった。連れて行かれた所は、茨城県の鹿島灘を望む所だった。そこで壮絶な特攻訓練。爆弾を背負ったまま、鹿島灘から上陸してくると想定された敵兵の中に突っ込むというものだった。これは、8月15日の終戦で幸い実践に移されることはなかった。新しい憲法が制定され、なかでも九条は大きな喜びであったことも書かれていました。
 続いてグループ「3色すみれ」による歌2曲が演奏されました。
 伊藤先生は、憲法九条の値打ちを語られました。九条はアメリカから押し付けられたものだという人もいるが、決してそうではないことの証として、時の幣原喜重郎首相の言葉を示されました。自衛隊こそが、マッカーサーの要請によって吉田茂首相の時に創設された警察予備隊が元になっていることも分かりました。「平和」とは何か? 「外交」とは何か? 佐高信さんが中村哲さんを追悼して書いた文章の中に引かれている中村さんの言葉「敵を作らず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だ」。九条の持つ大きな力を知らされました。とても有意義な会となりました。
(会の宮本浩子さんより)

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みなべ「九条の会」132回目のピースアピール



 11月5日、みなべ「九条の会」はスーパー近くの交差点で132回目のピースアピールを実施しました。風の強い日で、幟もしっかり固定して実施しました。
 「みなさん、ロシアのウクライナ侵略が続く中、世界中で防衛力を強化する動きが広がっています。日本も例外ではありません。岸田首相は年内に、国家安全保障戦略、防衛計画大綱、中期防衛力整備計画などの改定を表明しています。この改定の中には、『敵基地攻撃能力』を持つための長距離ミサイル1000発以上の保有、防衛費をGDPの1%だったものを倍の2%に引き上げることが含まれています。これで防衛関連予算は、今後5年間で43兆円もの規模になると言われています」と訴えました。
(会の平野憲一郎さんより)



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(2022年11月09日入力)
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