「九条の会・わかやま」 465号 発行(2022年11月19日付)

 465号が11月19日付で発行されました。1面は、戦争を繰り返さないためには史実の掘り下げが大事(古久保 健さん ①)、第101回「ランチタイムデモ」実施、九条噺、2面は、11・3憲法大行動に4200人 武力で平和はつくれない つなごう憲法を生かす未来へ、改憲論にちらつく統一協会 飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)  です
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戦争を繰り返さないためには史実の掘り下げが大事

 11月3日開催の「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第19回憲法フェスタ」で、映画『轟音』の上映と田辺市龍神村の郷土史家・古久保健さんのお話がありました。お話の概要を2回に分けてご紹介します。今回は1回目。

古久保 健 さん ①



 退職後何か出来ることがないかと考え、「平和」という課題の大きさ大切さを、私自身の体験から、このような作品を作らせていただいた。平和への思いを伝えたいと思う。自分が生きてきた中で戦争に対する思いをどう伝えていくかが、私の残された人生の最大の課題だと思い、取り組んでいる。
 この写真の左が墜落したB29の機長で終戦の日、大阪の真田山陸軍墓地で日本刀で斬首された。斬首した人は96歳まで罪にさいなまれて生涯を閉じたと聞いている。一発の弾が人々の命を左右する戦争というみじめな歴史を再び繰り返さないためには、史実を掘り下げる努力も大切だと思って取り組んできた。
 1944年10月27日、トラック島の基地がアメリカ軍に占領され、硫黄島なども基地として、8月15日まで2万6527機の飛行機が日本本土を空襲した。日本も抵抗して317機を撃墜した。その1機が私の家の近くに墜落した。和歌山県では御坊に1機、美山村に1機、串本に2機、そして龍神村に1機が墜落し、それぞれ犠牲者がいた。そういう史実を掘り起こしながら平和とは何かを考えると、武器を持つこと自体が戦争への準備の段階であるという理解をすべきではないかと思う。
 私の父は19歳で結婚し、満州に出征し、昭和13年8月18日の戦闘中、重機関銃を操作している時に頭部を撃たれて、25歳という若さで亡くなった。こういう体験は私と同じ年配の人はみんなしていると思う。私は小学校2年の時に海軍の紫電改が頭上で墜落したのも見たし、B29の生き残った機長を子どもを背負った母親が竹やりで一度突かせてと言っているのも見た。そういう悲しい映像が頭の中から消えない。戦争は終われば済むというものではなく、記憶が後までずっと残る、そんな悲しい人生はない。再びそういうことが起らないような世の中を作るべきだと私は常に思っている。
 当時は配給制で衣料キップは田舎では80点しかなく、ジャンパーを一人分買うと1年間家族は足袋も靴下もパンツも買えなかった。そして、山仕事をして5銭ほど出来たら、戦争のために将校になる人を沢山作る「将校貯金」をみんなで負担して国に収めた。国債は毎月発行されて高利だからと買わされた。父親が亡くなり弔意金250円を貰ったが、それを祖父は孫のために全額を30年後に受け取れる生命保険に入れた。私が就職をする前にその金が手に入る訳だが、受け取った時は龍神村から御坊まで電車で行くとその金はなくなってしまう額だ。その保険会社は今も悠然と生きている。(つづく)

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第101回「ランチタイムデモ」実施



 晩秋の晴天の11月16日、第101回目の「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が開催され、60人の市民が参加しました。
 今回のコーラー役は芝野友樹弁護士でした。出発前には、芝野弁護士から昨今の国際情勢に言及しつつ、「日本は憲法9条を活かした政治をすべき」「本日で101回になりました。元気に出発しましょう」というスピーチがあり、和歌山市役所から京橋プロムナードまで、「9条生かした日本を作ろう」「憲法守るは、政治の務め」などと訴えながら行進しました。
 次回は12月8日(木)です。



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【九条噺】

「ハッブル宇宙望遠鏡」は90年4月に打ち上げられ、地上約570㎞を周回している。長さ13mの筒型で、直径2.4mの反射鏡が、大気や天候の影響を受けないため、地上からは困難な高精度の天体観測を実現している▼その後継機と言われる「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が21年12月に打ち上げられ、この10月19日に「わし星雲」のガス塊「創造の柱」の観測画像が公開された。それは「ハッブル」を超える壮麗なものだ▼「ウェッブ」は太陽光や熱を遮る22m×12mのテニスコート大の遮光板を持ち、反射鏡は18枚の鏡で直径6.5mあり、集光面積は「ハッブル」の6.25倍になるという▼大きな違いは「ウェッブ」は地球から150万㎞も離れたところで観測する。地球と月の距離は約38万㎞だから、月より3.9倍も遠いところで観測している▼宇宙は138億年前に超高温・超高圧の火の玉が爆発する「ビッグバン」で始まったと言われる。我々素人には一点から宇宙が出来、今も拡大していると言われても信じ難いが、出来た当初の宇宙に光る星はなかったそうだ。3億年後、宇宙に散らばる物質が集まり光る星「ファーストスター」が出来た▼宇宙は今も膨張しており、ファーストスターは今や地球から135億光年の距離にあるという。「ハッブル」はこの距離の観測は出来ず、「ウェッブ」に観測が期待されているという。天空に輝く「憲法9条」のような、輝く「宇宙の始り」の観測に成功してもらいたいものだ。(南)

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11・3憲法大行動に4200人
武力で平和はつくれない つなごう憲法を生かす未来へ




 総がかり行動実行委員会・全国市民アクションは憲法公布記念日の11月3日に国会周辺で、「武力で平和はつくれない つなごう憲法をいかす未来へ『11・3憲法大行動』」を行い4200人が参加しました。社民党の福島瑞穂参議院議員、立憲民主党の水岡俊一参議院議員、日本共産党の田村智子参議院議員、れいわ新選組の櫛渕万里衆議院議員があいさつし、沖縄の風の伊波洋一参議院議員のメッセージが紹介されました。
 総がかり行動実行委員会の藤本泰成共同代表が主催者あいさつ。「北朝鮮や中国の脅威をあおって防衛費の5兆円もの増額や敵基地攻撃能力の保有をすすめようとしている。武力で安全は保障されない。もう二度と国のためにいのちを失う若者をつくってはいけない」と訴えました。
 東海大学の永山茂樹教授は、年内に安保3文書を作り変えようとしていることについて「大軍拡予算を正当化しようとするだろうが、憲法9条2項のもと許されない。敵基地攻撃能力の保有も正当化するだろうが、憲法9条1項のもと、敵の国の地面にミサイルを撃ち込むことは正当化できない。南西諸島に基地を造りミサイルを配備しているが、米海兵隊と一緒に作戦を実行することを前提とした言葉が入ってくるだろう。再び沖縄の人を犠牲にするのであれば、人権尊重の憲法のもとではありえない。3文書の改定に反対することが実質改憲を止めることにつながる」と強調しました。
 全体の行動の後、憲法共同センターは国会図書館前で第2部を実施。リレートークを行いました。
(憲法共同センターNEWS11月7日付)

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改憲論にちらつく統一協会
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)




自民党との濃厚な関係

 いま、自民党が旧統一協会との濃厚接触政党であることが問題になっていますが、憲法改正でも自民党と旧統一協会は濃厚な関係にあります。  ジャーナリストの有田芳生氏によれば、今年の参議院選挙でも憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を獲得するため、旧統一協会は自民党、さらに維新の会や国民民主党も支援していました。3分の2の発議要件獲得の一因は旧統一協会の支援にあります。
 憲法改正運動では「UNITE(ユナイト)」という団体があります。安倍自公政権下で安保法制制定の動きに反対する学生集団「シールズ」が結成され、各地で活動しました。シールズに対抗するとして、保守的立場の学生たちがユナイトを結成。安倍政権支持、憲法改正を打ち出して各地で活動しました。ユナイトは旧統一協会の団体で、国際勝共連合のホームページで紹介されています。
改憲論への影響否定できず

 内容面でも自民党の憲法改正論は旧統一協会に有利になる主張をするなど、旧統一協会の影響を否定できない内容になっています。
 憲法20条では「いかなる宗教団体も、…政治上の権力を行使してはならない」とされています。一方、2012年の自民党憲法改正草案では「政治上の権力を行使してはならない」の文言が削除されています。こうした憲法改正が実現すれば、旧統一協会が政治上の権力を行使できるようになります。旧統一協会の狙いは自らを日本の「国教」にして政治権力を行使することです。2012年の自民党の憲法改正草案のような憲法改正がなされれば、旧統一協会の教義に基づく政治も憲法違反と言えなくなります。
 「自衛隊明記の憲法改正」も旧統一協会の影響を否定できません。
 安倍元首相が自衛隊明記の憲法改正を主張したのが17年5月でした。旧統一協会が同様の主張をしたのは同年4月です。安倍氏は9条2項を削除した上での自衛隊明記を主張していましたが、突然、2項をそのままで自衛隊明記を主張したのは波紋を広げました。
 1カ月前に旧統一協会が主張した影響を安倍氏が受けていないと言えるでしょうか?
自民改憲論認めない世論を

 以上のように自民党は選挙や憲法改正運動で旧統一協会の支援を受けてきました。自民党が主張する憲法改正論も旧統一協会に有利になり、その影響を否定できない内容です。
 多くの日本の市民の幸福と家庭を崩壊させてきた、反社会的団体である旧統一協会の支援を受け、その影響を受けてきた自民党の改憲論を絶対に認めてはならないとの世論を作り上げることが重要です。
 そして、憲法審査会では自衛隊明記の憲法改正、緊急事態条項、家族条項などが旧統一協会の影響を受けていないと言えるのか、自民党を徹底的に追求し、自民党に説明責任を果たさせることが必要です。
(機関紙連合通信社)

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(2022年11月18日入力)
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