「九条の会・わかやま」 466号 発行(2022年12月06日付)

 466号が12月6日付で発行されました。1面は、武器を持たない国にならないと戦争は必ず起こる(古久保 健 さん ②)、「九条を守ろう」那賀郡の会が「秋のトリプル行動」 スタンディング(パネル宣伝)→サイレントウォーク→豚汁交流会、九条噺、2面は、みなべ「九条の会」が「お話を聞く会」を開催、「全国首長9条の会」が総会73人が参加、トランプ前大統領と統一教会の関係  です
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武器を持たない国にならないと戦争は必ず起こる
 11月3日開催の「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第19回憲法フェスタ」で、映画『轟音』の上映と田辺市龍神村の郷土史家・古久保健さんのお話がありました。お話の概要を2回に分けてご紹介します。今回は2回目で最終回。

古久保 健 さん ②



 戦争は常に命と生きる力まで奪っていく。そのことはどうしても許せないとの思いもあり、30数年間の教師生活のお返しに父の死んだ場所で、「こうだったよ」と伝えようと思い、中国に行った。ホテルに隠して線香とローソクを持ち、深夜3時頃出かけ、昼に見たこの辺だという所で、線香とローソクを供え、石を3つほど拾って中国訪問の土産とした。私は先人がどう生きてきたかの歴史をきちんと伝える必要があるとの思いで、祖父のトランクの中から記録を見つけた。
 戦時中の隣保班は連帯責任で、どんな家庭生活かも全て掌握された。大人は配給制で一日2合5勺しか飯を食べられなかった。農家には1カ月で7~9合の酒が配給された。昭和19年の叔父の出征の時は、隣人の配給キップをやっと手に入れ、1升で送別会をしようとしたら、隣人にも召集令状が着て、半分で送別会をした。叔父は中国で捕虜になり昭和23年にやっと帰ってきた。父の知人は樺太で2年半ほど監禁された。寒いので一人一枚のシートで連れと抱き合っていて、どうも重いと思ったら連れは凍死していた。この人は生きて帰ってきたが、決して健康な状態ではなく、60歳台で亡くなった。そんな環境の中で私は育ち、結婚もし、子供も出来たが、何か残したいと思い、かなり削ってはいるが記録したのがこの本だ。
 2つ目は、3月に映画『轟音』の監督から協力要請があり、地域を一軒ずつ回り、承諾を得てアメリカ行きの部分を追加し、作品をもう一度作り直した。監督との約束のアメリカ行きの映像化にやっとたどり着いた。  これから私が取り組んでいかなければならない自分に与えた宿題は、事実を伝えることの大切さとその事実から学ぶ力をみんなで持たないと日本の平和は守れないということだ。平和を何十回言っても、具体的に武器を持たない国にならないと、戦争は必ず起こると思う。今、自衛隊の人に何のために武器を持つのか聞きたい。そこに私は現実的な不安を感じている。教育予算より防衛予算の方が大きいではないか。未来ある子供たちの育成にもっと投資すべきだ。にも拘わらず国の予算編成は飛行機を作る方が大きい。これは困る。粘り強く平和とは命を守るということだと考えていただきたい。
 龍神村で戦争で亡くなった人は330名だ。毎年戦没慰霊碑に市長が来て慰霊祭をして終わっているが、もっと大切なことがあるとみんな思っていると思う。武器は買わない、武器は持たない、平和を愛する、命がけで平和を守る、これこそが残された私の責務だ。明日倒れようとも死ぬまで平和を叫びたい。武器持つな、人殺すな、人間はみんな幸せに生きる権利があると話し合っていきたい。私は85歳だが、70歳の人はもっと頑張れる。60歳の人はますます頑張れる。平和運動にこそ日本の将来が約束される。(おわり)

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「九条を守ろう」那賀郡の会が「秋のトリプル行動」
スタンディング(パネル宣伝)→サイレントウォーク→豚汁交流会




 「九条を守ろう」那賀郡の会は、11月27日、「岸田軍拡路線ストップ!」をスローガンに、宣伝行動に加えて、ウォーキングと豚汁を食べて交流しようと、「秋のトリプル行動」を行いました。当日は暖かい日差しの中、32名の参加で行動することができました。
 那賀では、この間の行動としては、学習会1回と毎月最終日曜日の宣伝行動になっており、事務局会すら持てなかったという反省もありました。さらに毎年秋に、「好きなんよ 9条まつり」を開催してきましたが、コロナ禍のため中止になっていました。そういうこともあり、今年は少し宣伝の規模を大きくしようと、話し合ってきました。その結果、「秋のトリプル行動」と銘打ち、行動①は、パネル宣伝を国道下井坂交差点で行いました。行動②は、下井坂交差点を起点に3コースに分かれ、ゼッケンを付けてのサイレントウォーキングで、那賀教育会館まで歩きました。行動③は、温かい豚汁をみんなで交流しながら食べました。豚汁は朝早くから3人で用意してくれたもので、お代りの人もいるくらい好評でした。
 岸田内閣や日本維新の会などは、敵基地攻撃能力のミサイル保有を公然と言い始めました。また、北朝鮮や中国の脅威をあおり、防衛費を2倍にするなどと言っています。このことは、専守防衛をくつがえす暴挙であり、憲法違反は明らかです。日本を危険な道に導く策動に機敏に反応し、憲法9条を守ることが日本やアジアの平和に役立つことを訴え、これからも意気高く活動していく決意ができた半日になりました。(会の事務局・部家司好さんより)

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【九条噺】

 ウクライナではロシアのミサイル攻撃で民間人の犠牲者が出ている。ウクライナはロシア領土は攻撃しない「専守防衛」だ▼日本も9条の下で防衛戦略は「専守防衛」だ。従来の考え方は、攻撃されたら撃退はするが、相手国領域への攻撃はせず、相手国市民の命を奪う可能性はない▼ところが岸田政権は「敵基地攻撃能力」を持つと言う。そうなれば話は異なる。自民党は、敵基地攻撃の対象は、司令部などの指揮統制機能も含むと言っている。対象を広げミサイルも使えば、相手国市民の巻き添えは必至だ▼理由にするのは中国や北朝鮮の軍事技術の進歩だ。迎撃が困難な「極超音速ミサイル」などの開発が進み、日本の抑止力を高めなければ守り切れないと言う。では、本当にそれで抑止が出来るのか。抑止は威嚇し、脅すことで、相手が脅威を認識しないと成り立たない▼安倍元首相は「懲罰的抑止」を唱えていたが、「懲罰的抑止」とは、相手に耐え難い被害を与える報復能力を示し、攻撃を断念させる考え方だが、行きつくところは「弾道ミサイル」や「核兵器」だ。憲法の理念と相容れない「核兵器を持つ方が世界は安定する」という考え方に行きつく▼さらに、米国への攻撃で、戦争に参加する集団的自衛権の行使では、日本に対する武力攻撃や着手もないのに、日本の「敵基地攻撃」の実行は、相手国に対する先制攻撃とならざるを得ない。「敵基地攻撃能力」の保有は、専守防衛を逸脱、憲法違反を公然と進めるものだ。(南)

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みなべ「九条の会」が「お話を聞く会」を開催



 12月3日、由良登信弁護士をお招きして「お話を聞く会」を開催しました。
 コロナ禍の第8波が心配の中、三密対策をしての取り組みでした。先生は「お話を聞く会」に来ていただくことを快諾してくださいましたが、主催者としては検温、座席間隔等、不本意ながらのチェックを厳しくさせていただき、通常の学習会の雰囲気でない中でしたが、予定通りの開催実施にこぎ着けました。
 由良先生のお話は、台湾が有事になった場合の懸念される課題や、憲法9条へ自衛隊を明記する狙いや、その後の日常生活の変化や課題について約90分お話ししてくださいました。
 台湾を巡って中国軍の動き等、気になることが多いが、中国にとって台湾は「一つの中国」という認識で、台湾と米国の関係性からもし衝突が起これば、日本は間違いなく巻き込まれ大変なことになることは確実。でも、今直接中国が「台湾」問題で日本に侵攻してくることは考えられない。むしろ緊張を高める「敵基地攻撃能力」を保有し、そのために軍事費を5カ年計画でGDP2%に引き上げるという状況を世界に示している軍事拡大、抑止力強化という戦略こそが、困難な状況を作り出している主要な原因だと指摘されました。さらに、米国の戦略上の問題で、軍事力、経済力でも大きく台頭してきている中国を包囲するためにも日本の自衛隊に対する増強の期待から、それに追随する政府与党の思惑が「憲法9条第2項に自衛隊明記」となり、国会で十分な論議をしないまま、「閣議決定」等、憲法の重みを顧みもせず、どんどん軍拡が進められている。もし、改憲されれば、防衛費の増加とともに、福祉予算等の削減、国防意識の教育強制、徴兵等、様々な問題が派生する。
 困難な国際状況の中、改憲を許さず、積極的な外交と対話の努力を政府に要求し続けながら、国民投票をさせない、また3分の2の改憲勢力の中、国民投票には負けない草の根の活動と、「平和でいたい」「戦争は絶対アカン」という思いを持つ人たちに呼びかけ続けましょうと話を結ばれました。(会の平野憲一郎さんより)

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「全国首長9条の会」が総会 73人が参加
杉並・岸本区長「憲法生かしていきたい」



(杉並区・岸本聡子区長)

 憲法9条の改憲の阻止を目指し、自治体の首長や首長経験者らでつくる「全国首長9条の会」が11月12日、東京都内で第3回総会を開いた。73人が参加し、杉並区の岸本聡子区長や武蔵野市の松下玲子市長が地方自治や憲法をテーマにスピーチした。
 総会は来年4月に投開票される統一地方選に向けて開催。採決されたアピール文では、ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイル発射を口実とし、岸田政権が掲げる防衛予算を増大させる方針を批判した上で、「9条は恒久平和の実現に不可欠だ」と訴えた。
 松下市長は、市政運営のルールを定める自治基本条例が原則とする「協働」「情報共有」「市民参加」の3つのサイクルを重視していることを強調し、「議論を軽視している国政は大切な憲法をないがしろにしている」と指摘した。
 岸本区長は「草の根の民主主義や地方自治の精神、憲法を生かしていきたい」と話した。総会には世田谷区の保坂展人区長も参加した。
 会は2019年に設立。現在の会員数は計126人で、うち現職は11人。改憲阻止のほかに、沖縄などの基地移設反対や核兵器禁止条約への参加実現なども活動方針で掲げている。(東京新聞11月12日)



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トランプ前大統領と統一教会の関係

 旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」のサイトによると、昨年9月の集会では安倍晋三元首相と共にトランプ氏もビデオメッセージを寄せた。教団を率いた故・文鮮明氏の夫人について「素晴らしい人物である韓鶴子博士に感謝したい」と切り出し、9分にわたり熱弁。「文氏と安倍氏はどちらも多大な功績に値する。素晴らしい仕事をした」と持ち上げた。
 今年8月の集会では、トランプ氏が改めてメッセージを送ったほか、ポンペオ前国務長官やギングリッチ元下院議長も出席。他の集会では、ペンス前副大統領やチェイニー元副大統領も講演している。いずれも共和党内の保守重鎮だ。(東京新聞11月15日)

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(2022年12月05日入力)
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