「九条の会・わかやま」 467号 発行(2022年12月11日付)

 467号が12月11日付で発行されました。1面は、第102回「ランチタイムデモ」実施、総がかり行動実行委員会よびかけ日比谷野外音楽堂集会に1500人、九条噺、2面は、敵基地攻撃 際限のない撃ちあいに 国民に被害及ぶ恐れ伝える必要 柳沢協二・元官房副長官補が語る、言葉「トマホーク」、リーフレット紹介 『9条実質改憲としての安保三文書改訂』-戦争させないためのQ&A-  です
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

第102回「ランチタイムデモ」実施



 81年前、日本軍の真珠湾攻撃という先制攻撃が行われて太平洋戦争が始まった12月8日、第102回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、冬の好天の下、50人の市民が参加しました。
 今回のコーラーは赤木俊之弁護士でした。事前に複数の弁護士に電話して用意して貰っていたコール案を受け取るや否やスタートし、あざやかな口調で、「戦争する国絶対反対」などのコールで先導役を務められました。参加者は、和歌山市役所前から京橋プロムナードまで、市民に訴えて行進しました。
 次回は1月18日(水)、次々回は2月14日(火)です。



    -----------------------------------------------------------------

総がかり行動実行委員会よびかけ日比谷野外音楽堂集会に1500人



 総がかり行動実行委員会が呼びかけた「軍事費増やして生活壊すな!改憲反対!カルト癒着の政治をただせ11・30in日比谷野音」が11月30日夜、日比谷野外音楽堂で開かれ、1500人が参加しました。立憲民主党の近藤昭一衆議院議員、日本共産党の小池晃参議院議員、れいわ新選組の櫛渕万理衆議院議員、社民党の新垣邦男衆議院議員、沖縄の風の伊波洋一参議院議員があいさつしました。
 戦争をさせない1000人委員会の勝島一博さんが主催者あいさつ。「11月22日に出された有識者会議の報告書では、敵基地攻撃能力の保有に踏み込み、防衛費の増額を国民全体に増税することで負担させようとしている。憲法9条のもと、防衛政策の見直し、国民生活を苦しめることは許されない」と批判。「改憲発議、軍拡を許さないため全国でたたかおう」と呼びかけました。
 3人の市民が発言。ジャーナリストの有田芳生さんは、自民党と統一協会の長年の関係を告発、「みんなで戦後史の闇を明らかにしよう」と呼びかけました。「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」会長の山内光典さんは、「12月1日に防衛省のヒアリングがあり、騒音問題などを訴える。住民無視での米軍施設などの移転強行は容認できない。白紙撤回を要請する」と語りました。新婦人の池田亮子さんは学校給食費無償化の取り組みを報告。「岸田首相は子ども関連予算を倍増と言っていたが本気ではない。それなのに防衛予算は倍増。軍事優先で増税するなど許されない。子どもたちの未来のために声をあげ続けたい」と訴えました。
 憲法共同センターの小田川義和共同代表が行動提起。集会後、国会請願デモを行いました。
(憲法共同センターNEWS12月1日)



    -----------------------------------------------------------------

【九条噺】

 どんな理由があれ殺人が許されないのは言うまでもない。安倍元首相を銃撃した山上徹也の事件は、母親が統一協会に約1億円の献金をしていたことが動機だと分かり、統一協会に国民の批判が向けられることになった▼統一協会は反社会的カルト集団であり、「反動と反共の先兵」とも言える。日本では59年に設立。目的は「世界的な『政教一致国家』を樹立する」ことだと言う。資金集めは主に日本で行われ、マインドコントロール下で違法な霊感商法や高額献金を行ってきた▼統一協会と一体の「国際勝共連合」は「世界から共産主義者が1人もいなくなるまで勝共の旗を降ろさない」と、共産主義者を抹殺すると、日本の右翼と手を組んでいる。▼自民党とも改憲運動を進めており、主張の「緊急事態条項の創設、家族条項の創設、9条への自衛隊の明記…」は、いずれも自民党の改憲案と全く同じだ。ジェンダー平等や性的少数者への否定的な発言も繰り返している▼問題となった自民党議員との「推薦確認書」は「憲法を改正し、安全保障体制を強化すること。家庭教育支援法と青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組むこと。同性婚合法化などに関しては慎重に扱うこと。『日韓トンネル』の実現を推進すること。国内外の共産主義勢力などの攻勢を阻止すること」という5項目をあげている▼正に改憲勢力の最右翼だ。9条改憲を絶対に許さないためにも、統一協会への追及を緩めることがあってはならない。 (南)

    -----------------------------------------------------------------

敵基地攻撃、際限のない撃ちあいに 国民に被害及ぶ恐れ伝える必要
柳沢協二・元官房副長官補が語る




 ◎敵基地攻撃能力を保有することの問題点は。
 「最大の問題は、日本を狙う攻撃の着手を事前に認定できても、たたけば結果として日本が先に相手の本土を攻撃する構図になることだ。国際法上は先制攻撃ではないとの理屈でも、相手に日本本土を攻撃する大義名分を与えてしまう。確実に戦争を拡大させ、際限のないミサイルの撃ち合いに発展する」
 ◎迎撃ミサイル防衛には限界があり、反撃能力が必要だと説明する。
 「中国や北朝鮮は相当数のミサイル施設があり、一気につぶせなければ日本が報復される。相手を脅して攻撃を思いとどまらせる『抑止力』についても、軍事大国の中国に対し、ちょっとした敵基地攻撃能力を持っても抑止できるとは思えず、反撃を受けた場合の民間人防護の議論もない。論理として完結していない」
 ◎専守防衛を維持しつつ保有することは可能か。
 「専守防衛とは日本は国土防衛に徹し、相手の本土に被害を与えるような脅威にならないと伝え、日本を攻撃する口実を与えない防衛戦略だ。敵基地攻撃能力を持てば、それが完全に崩れ専守防衛は有名無実化する」
 ◎日本が取るべき道は。
 「力には力で対抗する抑止の発想では、最終的に核武装まで行き着いてしまい、その論理は正しい答えではない。日本は国土が狭く、食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。少子化も進み、戦争を得意とする国ではない。武力強化ではなく、戦争を防ぐ新たな国際ルール作りに向け、もっと外交で汗をかかなければいけない」
 ◎世論調査では保有に理解を示す意見も多い。
 「ロシアによるウクライナ侵攻や台湾を巡る米中の緊張状態、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮など、安保環境は間違いなく厳さを増している。国民に戦争への不安が広がるのは当たり前とも言えるが、敵基地攻撃という戦争に備える政策を選ぶのなら、国民にも被害が及ぶ恐れがあると政治家が伝えなければいけない。相手への攻撃ばかり注目されているが、日本も確実にミサイルを撃たれる。国民全体が戦争に耐え抜く思いになっているか疑問で、国民に都合の悪い事実を伝えていない」
 ◎ウクライナから日本が学ぶことは。
 「ウクライナがなぜロシア本土に反撃しないかというと、攻撃すれば核も含めたより強力な反撃をされる口実を与えかねないからだ。軍事大国を相手にした戦争では、相手と同じことをしてはいけない」(東京新聞11月30日)

    -----------------------------------------------------------------

言葉 「トマホーク」



 「トマホーク」は長射程巡航ミサイルで、ジェットエンジンで飛行する有翼ミサイルです。速力は音速以下ですが、超低空飛行ができるので、弾道ミサイルよりもレーダーに捕捉され難く、コンピュータに目標までの地図を記憶させ、レーダーで見た地形と照合しながら進路を修正します。
 岸田政権は「敵基地攻撃能力」の保有をめぐり、米政府に「トマホーク」の購入を打診しています。「トマホーク」導入は、「敵基地攻撃能力」の保有を先取りし、既成事実化する重大な動きです。
「トマホーク」の射程は1600㎞に及び、海上に展開できるため、北朝鮮全土や中国の主要都市も射程圏内に入ります。
 岸田政権が「トマホーク」を購入しようとしているのは、敵基地攻撃へ開発を進めている自衛隊の国産ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」の実戦配備が26年度になる見通しだからです。
 北朝鮮や中国による軍事挑発は許されませんが、反撃のためと主張しても、周辺国に先制攻撃を疑われ、軍拡競争に拍車をかけることになります。こうした企ては何としても止めなければなりません。

    -----------------------------------------------------------------

リーフレット紹介 『9条実質改憲としての安保三文書改訂』
-戦争させないためのQ&A-




はじめに
1.憲法9条と日本防衛政策
2.台湾有事
3.抑止力の強化・敵基地攻撃
4.「日本をとりまく安全保障環境の悪化」という問題
5.ロシアのウクライナ侵略と国際社会における安全保障の枠組みについて
6.憲法9条は無力か。軍事力や軍事同盟に依拠しないで日本の安全をどう守るか。
発行:2022年11月15日 全35ページ(PDF)
改憲問題対策法律家6団体連絡会
 社会文化法律センター、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本反核法律家協会、日本民主法律家協会
入手:次のURLよりダウンロード(無料)
http://www.seihokyo.jp/seimei/2022/20221115-6dantai.pdf

    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2022年12月10日入力)
[トップページ]