「九条の会・わかやま」 472号 発行(2023年2月1日付)

 472号が2月1日付で発行されました。1面は、総がかり行動「19日行動」に1000人 「安保関連3文書」は廃止!、敵基地攻撃は憲法9条・国際法違反の先制攻撃 専守防衛を逸脱 憲法違反を公然と進めるもの 「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲、九条噺、2面は、敵基地攻撃はだれが見ても先制攻撃だ 社民党・福島瑞穂党首 日本が戦場になれば取返しつかず、相手を脅して抑止するのは幻想だ 遠藤乾・東大大学院教授が語る岸田政権の軍備拡張策への疑念、朝日新聞世論調査(1月23日)防衛費増のための1兆円増税に…  です
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総がかり行動「19日行動」に1000人
「安保関連3文書」は廃止!




 総がかり行動実行委員会は1月19日夜、国会議員会館前で「軍拡やめろ!軍事費増やすな!増税反対!改憲発議反対!辺野古新基地建設中止!統一協会癒着徹底追及!いのちと暮らしを守れ!1・19国会議員会館前行動」を行い、1000人が参加しました。
 23日の国会開会を前に、戦争準備のための大軍拡・大増税に反対し、アメリカ言いなりの岸田首相を退陣に追い込む決意を固め合う行動となりました。社民党の福島瑞穂参議院議員、日本共産党の田村智子参議院議員、立憲民主党の石川大我参議院議員があいさつ。沖縄の風の伊波洋一参議院議員のメッセージと韓国の19日行動からの連帯のメッセージが紹介されました。
 総がかり行動実行委員会共同代表・藤本泰成さんが主催者あいさつ。「12月16日に安保関連3文書が閣議決定されたが、憲法9条の持つ意義を忘れてはいけない。いのちを振り絞って反対の声をあげ続けよう」と呼びかけました。
 「止めよう辺野古埋め立て」の野平晋作さんは、「10年前の1月27日に『オスプレイの配備撤回・普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念』を求める建白書を提出したが、検討されることはなく、辺野古埋め立てが進められた。県知事選、住民投票で辺野古埋め立て反対の民意が示され続けているのに沖縄の民意は無視され続けている」「沖縄の民意は日本の民意と示すため、10年前と同じ1月27日に日比谷野音での集会、銀座デモを行うので参加してほしい。辺野古新基地建設の断念を求める請願署名にも協力いただきたい」と訴えました。「女性による女性のための相談会」実行委員の中島由美子さんは、「1月21日に6回目の相談会を開く。雇用が不安定、労働条件が低い、低賃金で生活が厳しい、介護や育児を一人で背負っていて大変、夫やパートナーからのDVを受けているなどの相談が寄せられている。こういう社会を許してはいけない。政治を変えるためがんばろう」と訴えました。
 憲法共同センター共同代表の米山淳子新婦人会長が行動提起を行いました。
(憲法共同センターNEWS1月20日号)

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敵基地攻撃は憲法9条・国際法違反の先制攻撃
専守防衛を逸脱、憲法違反を公然と進めるもの
「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲


 自民・公明両党は、国会議論も行わず、戦後日本の安全保障政策の大転換につながる「敵基地攻撃能力」を保有することで合意し、「安保関連3文書」に明記しました。
 「敵基地攻撃能力」の保有を巡っては、56年、当時の鳩山一郎首相が、「自衛の範囲に含まれており憲法に反しない」との見解を示していましたが、歴代政権は政策判断として、そのための装備を持ってきませんでした。防衛政策の基本は「専守防衛」とし、攻撃されたら撃退はするが、相手国領域への攻撃は行わず、相手国市民の命を奪う可能性はないとしてきました。飛来するミサイルや敵攻撃機・艦船に対しては国内や日本領域から迎撃・撃退するというものでした。
 それが近年の「軍拡を急激に進める中国」「弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮」を最大の不安要因として「敵基地攻撃能力」保有に進んでいるものです。
 しかし、日本が外国領域を直接攻撃する能力を保有するのは、「専守防衛」を実質的に変えることに他なりません。自民・公明両党で合意した敵基地攻撃の実施は、「敵国」がミサイル発射に「着手」した時点とされますが、何をもって「着手」と判断するのかは具体的に示されていません。移動発射台や固形燃料化などのミサイル技術の進展により、発射の兆候を把握するのは極めて難しくなっています。国際法に反する先制攻撃と受け取られる可能性は極めて高いと言わなければなりません。日本の国土防衛に徹する「専守防衛」が「有名無実化する」ということになります。
 さらに問題は、自公合意では攻撃対象も「必要最小限度の措置として許容されるかはその時々の判断」と抽象的で、自民党幹部は軍事基地に限らず、国際法上の軍事目標とする「司令部(指揮統制機能)」も「当然含まれる」と、明確な基準はなく、政府の判断に委ねられています。「指揮統制機能」とは「敵国」の政府機関などを指します。ミサイル発射基地とは直接関係がないところまで攻撃するというのです。
 それ以上に問題なのは、米国への攻撃で、戦争に参加する集団的自衛権の行使では、日本に対する武力攻撃や着手もないのに、米国からの要請での日本の「敵基地攻撃」の実行は、相手国に対する先制攻撃そのものです。「敵基地攻撃能力」の保有は、「専守防衛」を逸脱・形骸化させ、憲法違反を公然と進めるものと言わなければなりません。

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【九条噺】

 間もなく節分。ふと、葉に鋸歯状のトゲを持つ「柊(ヒイラギ)」を思い出した。子供の頃、節分に柊の枝にイワシの頭を刺して、魔除けとして玄関に付けたのを思い出す▼「木編+冬」の樹木があるのなら、「春夏秋」はどうかと調べたら全てあった▼春の「椿(ツバキ)」は早春に咲く花木として、みんなよく知っている樹木で、よく知っている漢字だ。花言葉は「気取らない優美さ」だそうだ▼夏は「榎」だが、「エノキ」という読み方を知っている人は多いだろう。しかし、「榎」がどんな樹木かを知っている人は、どれぐらいいるのか。榎は枝分かれが多く大きな緑陰を作るため、日陰用に各地の一里塚や神社仏閣に植栽され、その巨木が今も見られるという。実は小鳥などに人気が高く、「餌の木」から「エノキ」となったという説もある。漢字の「榎」は夏に木陰をつくるために出来た和製漢字だそうだ▼秋は「楸」だが、この読み方もどんな樹木かも知っている人は非常に少ないのではないか。「ヒサギ」という日本各地の山地に自生する落葉高木で、秋に柔らかいトゲで覆われた実をつけるという。きっと、みんな見てはいるが「ヒサギ」と認識していないのだろう▼このように、日本には四季があり、豊かな自然に恵まれた国だということが分かる。今、表意文字を使っているのは、世界で中国と日本だけだそうだ。さらに、日本は表音文字のひらがな・カタカナも操る文化的に豊かな国に思える。是非これを発展させて欲しいと願う。(南)

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敵基地攻撃はだれが見ても先制攻撃だ
社民党・福島瑞穂党首 日本が戦場になれば取返しつかず




〈安保政策大転換 私はこう考える〉
 敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に明確に反対する。行使の基準が曖昧な安全保障関連法に基づく「武力行使の新3要件」で存立危機事態に認定し、集団的自衛権で敵基地攻撃するなら、日本が攻撃されていないのに相手国の領域を攻撃することで、誰が見ても先制攻撃に当たる。そうでないならば、その根拠を示すべきだ。
 岸田文雄首相は憲法の範囲内で先制攻撃はしない、専守防衛は守ると言うが、それは違う。1972年、当時の田中角栄首相が衆院本会議で「専守防衛のもと防衛上必要であっても敵基地を攻撃しないという基本方針は変えない」と断言している。相手国の中枢部などをたたくのは、専守防衛に反する。
 日本が平和国家をかなぐり捨て、軍拡競争に入り込んで戦争への道を突き進んでいるのではないかと危惧する。敵基地を攻撃すれば相手国が反撃するのは当たり前で、まさしく日本が戦場になるのではないか。そうなれば、取り返しがつかない。防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額も、数字ありきで根拠が示されていない。法人税や所得税などの増税を決めたが、それだけでは足りず、最終的には消費税で賄うのではないかと懸念するが、財源の見通しなく増税を唱えるのは無責任だ。増額により防衛費が世界3位の軍事大国となれば、憲法9条を持つ平和国家と言えるのか。
 とりわけ、国是としての専守防衛を180度転換するわけだから、国会での議論が必要だ。岸田首相は「あらゆる選択肢を排除しない」と述べるだけで、多くのことを明らかにしない。専守防衛を踏みにじり、先制攻撃になるようなことを閉会中に閣議決定だけで決めるのは、国会を軽視している。当時の安倍政権が歴代政権の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認した時もそうだったが、重要なことを閣議決定で決めて国民に説明しないのは問題だ。
(東京新聞12月28日付)

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相手を脅して抑止するのは幻想だ
遠藤乾・東大大学院教授が語る岸田政権の軍備拡張策への疑念




〈安保政策大転換 私はこう考える〉
 日本は隣接する中国、ロシア、北朝鮮が核保有国で非友好的な関係にある上に、独裁国家で現状に不満を持っている点も共通し、厳しい安保環境に直面している。今後10年ほどは日本も軍備拡張をしなければならない局面だ。だが、日本政府が検討する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有は不要だと思う。相手に攻撃を思いとどまらせる抑止として機能するか、怪しいからだ。
 抑止はもともと核兵器とともに練り上げられた概念で、基本的に耐え難い苦痛を与える能力を持ち脅し、相手がそれを脅威と認識しないと成り立たない。相手基地の滑走路に撃っても1日で修復されるような被害しか与えられない通常弾頭のミサイルを仮に1000発持っても、中国のような核保有国が脅しと感じるだろうか。移動式ミサイルを正確に破壊するのも難しい。抑止ではなく制空権の確保の時間稼ぎになる程度だろう。
 逆効果を生む恐れもある。いくら日本が反撃専用で先制攻撃をしないと言っても、相手は信用しない。攻撃力を持てば、相手はそれを上回る攻撃力を持つエスカレーション(事態の深刻化)の階段を上り、際限のない軍拡を誘発する。相手を脅して抑止するというのは幻想だ。
 限られた資源は反撃能力より、抑止が破られて攻撃されてもはね返す能力の強化に充てるべきだ。中国が尖閣諸島(沖縄県)などに侵略してきても、手痛い打撃を与え、拒否できる体制を整えたい。陸上自衛隊などを大幅に再編して水陸両用部隊などを拡充し、最前線で迎え撃つ米海兵隊との連動性を高めて南西方面の防衛強化を図るべきだ。核シェルターなど人命を救える整備も一案だ。
 ロシアの侵略に抵抗しているウクライナが世界的に同情されて武器供与などを受けているのは、おおむね自国領土内で防衛しているからだ。日本も戦後、他国を攻撃しないという専守防衛で培った世界的な信用資源がある。その延長線上で防衛体制を強化する方策があるのに、反撃能力を持って自らその信用資源をかなぐり捨てる必要はない。
(東京新聞12月15日付)

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朝日新聞世論調査(1月23日)
防衛費増のための1兆円増税に…




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