「九条の会・わかやま」 474号 発行(2023年2月27日付)

 474号が2月27日付で発行されました。1面は、第9回「平和コンサート」開催 和歌山市ひがし9条の会、戦争のリアルを見つめよう  ピースボート共同代表・畠山澄子さんに聞く、九条噺、2面は、安保3文書と「抑止力」 飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)、JR和歌山駅前で宣伝行動 ウクライナ侵略から1年の2月24日  です
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[本文から]

第9回「平和コンサート」開催
和歌山市ひがし9条の会




 「和歌山市ひがし9条の会」は2月19日、東部コミュニティセンターで第9回「平和コンサート」を開催しました。
 昨年はコロナ感染拡大のため直前に中止となり、幻の第8回となってしまったので、待ちに待ったコンサートです。
 フォークで出演予定の方が前日にコロナ濃厚接触者となり、出演できなくなったのは残念でしたが、三線演奏、うたごえオールスターズの平和を願う創作曲が披露されました。結局、三線の演奏も含め、ほとんどの時間をみんなで歌う時間になりました。
 今回は久しぶりということもあったのか、参加者が40人弱と少なかったのですが、久々にいっしょに思いきり歌う喜びをかみしめ、楽しい時間を過ごすことができました。岸田政権が国会にもはからず軍事費を倍増させようとしている今、思う存分好きな音楽を楽しもうというコンサートの値打ちが、改めて認識されたのではないでしょうか。
(会の日野のぞみさんより)



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戦争のリアルを見つめよう
ピースボート共同代表・畠山澄子さんに聞く




平和外交が「お花畑」?
 政府が国会での審議を経ないまま、(「敵基地攻撃能力」の保有や防衛費の大幅増を)姑息なやり方で決めたことに怒りを覚えています。場合によっては、日本から武力攻撃を仕掛けることも辞さないという政策への転換です。このまま進められることに危機感を強めています。
 一方、私たちが「軍事力増強ではなく平和外交を」と主張すると、「安全保障のリアルを見ていない」「お花畑だ」という反論が返ってきます。
 安全保障の「リアル」とは何でしょうか? 私はイタリアに留学した経験や、世界各地を船で巡り、そこに暮らす人々と戦争の加害・被害について学ぶピースボートの活動を通じて、リアルとは「戦争や紛争によって傷つけられる、人々の心、体、人生」だと痛感しています。平和外交が「お花畑」と批判する人たちに、「戦争のリアル」を見て、と言いたい。

戦争は友の人生を壊した
 高校生の時に留学したイタリアの学校には、紛争地出身の留学生がいました。生徒が「戦争を知ろう」という自主研究の企画を立ち上げ、私も関わりました。
 その中で、激しい内戦を経たボスニア・ヘルツェゴビナ出身の同級生に「体験を話して」と促すと、彼女は「戦争がなければお母さんは死ななかった」と一言だけ言って黙り込んでしまいました。私は戦争の被害のひどさを知っているつもりになっていましたが、彼女が言葉にできないほどの苦しみを抱える様子に衝撃を受けました。戦争は私の隣で学ぶ友だちの人生を壊し、変えようのない悲しみを長く強いることだと身に染みたのです。
 軍事力を抜本的に増強する政策への転換は、近隣諸国との緊張を高めます。エスカレートすれば、戦争にもなります。核保有国である米中両国が絡むのは必然で、核戦争に発展する危険性もあります。
 日本は核兵器被害の凄惨さをよく知る国のはず。政府は平和外交に、真剣に、具体的に取り組んでほしいと思います。

戦禍の人々に思いを
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、まもなく1年。勝った負けたの戦況報道に目を奪われるのではなく、そこで暮らし、戦禍におびえる人々の姿を想像してほしい。
 日本政府が「反撃」の対象と想定している国にも、人々が暮らしています。安保3文書改定はその人々に向けて「軍事力を増強し、攻撃を仕掛けるぞ」と宣言しているのと同じです。
 日本は大きな分岐点に立っています。「戦争のリアル」を学んで、日本の安全保障のあり方をじっくり考えてみて下さい。「戦争は絶対にさせない」という強い覚悟で平和への準備を始めることが必要です。
(機関紙連合通信社)

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【九条噺】
 ロシアのウクライナ侵略から1年が経過した▼当時はウクライナと聞いても、映画『ひまわり』を思い出す程度で、ロシアのクリミヤ半島併合や東部の親ロシア派支配地域が勝手に独立を宣言していることも知らなかった▼プーチンは、ウクライナを「ネオナチ」と言う。ナチスはロシア人最大の敵で、ロシア人の心に訴え、敵意を煽ることができるので、ウクライナ侵略に利用しているようだ▼NATOはソ連に対抗するために1949年に12カ国で作られた。ソ連も55年にワルシャワ条約機構を作り対抗したが、89年の冷戦終了・ソ連崩壊で91年に解体した。それ以降多くの旧ソ連の国がNATOに加盟し、ウクライナやジョージアなども加盟を目指すことになった▼プーチンは、ロシアがNATOに飲み込まれると思ったのかもしれないが、平和裏に確定した国境は尊重しなければならないのに、ウクライナの親ロシア派が勝手に宣言した「独立」を承認し、それを認めないウクライナに侵攻した。この行為は、ロシア領土拡大のためには国際法も踏みにじる覇権主義の蛮行だ▼この状況の中で我々はどうすべきか。まず、ロシアをウクライナから完全に撤退させ、戦争状態をなくした上で、NATOも解散し、ロシアも含む全てのヨーロッパ諸国が、東南アジア諸国連合(ASEAN)のような関係を作ることだろう。簡単なことではないことは重々承知だが、我々もその方向に一歩でも進むよう努力をすべきなのだろう。(南)

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安保3文書と「抑止力」
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)




はじめに
 2022年12月16日、岸田自公政権は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」という安保3文書を閣議決定しました。安保3文書では「敵基地攻撃能力の保有」が打ち出されました。
 外国を、場合によっては先に攻撃することを可能にする安保法制や敵基地攻撃能力の保有は「戦争」のためでなく、相手国に武力行使を思いとどまらせる「抑止力」のためと岸田政権、自民党や公明党などは主張します。
 実際、安保3文書のうちの一つ、「国家防衛戦略」5ページでは、以下のように主張しています。
 「〔侵略をする〕国から自国を守るためには、力による一方的な現状変更は困難であると認識させる抑止力が必要であり、相手国の能力に着目した自らの能力、すなわち防衛力を構築し、相手に侵略する意思を抱かせないようにする必要がある」
 外国を攻撃できる能力を保有すれば、日本に対する武力攻撃は抑止できるというのが岸田自公政権の主張です。
 では、岸田自公政権が言うように「抑止力」が働いたのでしょうか。 安保3文書に対しての近隣諸国の対応を見てみましょう。

近隣諸国の対応

(1)朝鮮民主主義人民共和国

 『産経新聞』(12月20日付)によれば、「安保3文書」で「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有などを明記したことに反発する談話を発表し、「日本の新たな侵略路線の公式化」と非難しました。  その上で、「どれほど憂慮し、不快に思っているかを実際の行動で示していくと述べ、強力な対抗措置を取る姿勢を示した」(太字強調は筆者)とのことです。

(2) 中国
 『読売新聞』(12月22日付〔電子版〕)では、「12月16日から沖縄県南方の西太平洋で活躍している中国軍の空母『遼寧』を中心とする空母打撃軍が、日本の南西諸島への攻撃を想定した訓練を実施していることがわかった」と報じられています。
 こうした軍事訓練は「習近平国家主席が、日本政府の『国家安全保障戦略』など安保3文書の閣議決定に時期を合わせて訓練を開始するように指示した」とのことです。

(3) ロシア
 『産経新聞』(1月3日付〔電子版〕)によれば、ロシアのルデンコ外務次官は、岸田政権が平和的発展の道を放棄して軍事化の方向に移行しつつあると指摘し、「ロシアやアジア太平洋地域への深刻な脅威だ」と述べました。
 そしてこの方針が継続されれば、「ロシアへの軍事的脅威を食い止めるため適切な対抗措置を取らざるを得ないとも警告した」とのことです。

小括
 以上、紹介したように、「抑止力」どころか逆効果であり、中国、ロシア、朝鮮に軍拡や軍事訓練の口実を与えています。
 岸田自公政権の安保3文書改訂は東アジアの平和を乱すものになっています。
(「戦争をさせない1000人委員会」HPより)

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JR和歌山駅前で宣伝行動
ウクライナ侵略から1年の2月24日




 ロシアがウクライナを侵略して1年となる2月24日、夕方のJR和歌山駅前で、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などが呼びかけ、戦争に反対し、ウクライナに平和を求める宣伝行動が行われました。関係団体の構成員らがプラスターやたれ幕を掲げる中、平和委員会・伊藤氏、九条県民の会・琴浦氏、平和フォーラム・裏野氏、弁護士9条の会・由良弁護士、立憲民主党・山本市議、共産党・奥村県議、改新クラブ・藤本県議、新婦人の会・小野原さんらの方々が次々と、ロシアの侵略行為の停止と和平の実現とともに、戦争準備ではなく平和のために、岸田政権が進める憲法を踏みにじる大軍拡の政治をやめさせようと市民に訴えました。



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(2023年2月26日入力)
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