9条に世界からエール  「朝日新聞」(2008.5.9付) 報道

 2008年5月4日から6日まで、千葉市の幕張メッセで開催された「9条世界会議」には多くの海外ゲストも含め2万2千人という多数の人が参加しました。集会呼びかけの動機や海外ゲストが9条を支持する理由を中心に、朝日新聞の報道です。

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9条に世界からエール 初の世界会議に2万人
2008年05月09日03時01分

 戦争の放棄をうたう憲法9条に、世界で平和運動に取り組む人たちがエールを送っている。千葉市の幕張メッセで6日まで開かれた初の「9条世界会議」は約2万2千人が訪れた。なぜ9条なのか。海外から来たゲストは「支持するのは、あなたたちだけじゃない」と日本の参加者を勇気づけた。



アメリカ、オランダ、イラク、コスタリカ……。会議には、世界各地の人々が参加した=6日、千葉市・幕張メッセ


初日、会場に入りきれなかった参加者たちは屋外でギターにあわせて歌った=4日、千葉市の幕張メッセ

 会議初日の4日。予想以上の人出で会場に入れなかった人々のもとに、基調講演を終えたアメリカの平和運動家が駆けつけた。
 「9条を広めるために私は来た。日本はひとりぼっちではない。世界から支持されているのです」

 99年にハーグ平和市民会議を開いたコーラ・ワイスさん。21世紀の世界のあり方を模索した同会議には、100カ国以上のNGOが参加し、「9条を見習うべきだ」と宣言した。そのワイスさんの励ましに何度も拍手がわいた。

 9条世界会議は、「世界がもし100人の村だったら」の著者池田香代子さんらが中心となり、井上ひさしさん、ピーコさんら約90人が呼びかけ人に名を連ねた。

 国際貢献のためには日本も血を流す必要がある――そんな改憲派の主張は本当なのか。「それを確かめたかった」と、実行委員でピースボート共同代表の吉岡達也さんは趣旨を語る。海外のゲストは31の国と地域からノーベル平和賞受賞者や大学教授ら150人余りがやってきた。

 答えの一つはイラクから寄せられた。

 イラクで人道支援をしているカーシム・トゥルキさんは「戦争のない世界をつくる」と題された全体会で体験を語った。03年の開戦時、共和国防衛隊として米軍と戦った。兄もいとこも友人も失った。「軍は国民を守ると教えられたが、そうではなかった。非暴力こそ人々を守る最善の方法だ」

 そのイラクに派遣された元米兵のエイダン・デルガドさん。アブグレイブ刑務所での虐待を見て、兵役を拒否した。「9条は国際的な問題だ。同じ道を歩いていこうと決意した」

 中国・韓国・台湾などからは、9条は戦後日本の対外公約だ、というメッセージが異口同音に語られた。

 現実として世界有数の「軍事力」を持っている日本。台湾で憲法に平和条項を入れる運動をしているピースタイム財団理事の徐斯倹さんは「もし日本が9条を放棄すれば、周辺に悪いシグナルを送ることになる」と語った。「アジアのなかの9条」という分科会で韓国の聖公会大教授・権赫泰さんはこう発言した。

 「9条は日本だけのものではないのです」。(谷津憲郎)
asahi.com より

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(2007年5月10日入力)
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