安倍首相の従軍慰安婦強制の否定発言
改憲派の立場で戦争の反省を否定するもの

 3月1日の記者会見で安倍首相が、従軍慰安婦問題で軍の関与や強制性を否定する持論を明言し、「河野官房長官談話」の見直しに含みを持たせたことは、憲法を守るべき首相の資格を問われる重大なものです。マスコミでも大きく扱っています。

[07年3月3日 柏原]

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安倍首相「慰安婦強制性、証拠ない」
 韓国外相が不快感

 韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商相は2日、安倍首相が旧日本軍の従軍慰安婦問題で「(軍の強制連行への直接関与など)強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と発言したことについて「これらの発言は、健全で未来志向の日韓関係を築く共通の努力の助けにならない」と述べ、不快感を示した。ワシントンで講演した際、質疑応答で語った。
 安倍首相は1日、軍当局の関与と「強制性」を認めた93年の「河野官房長官談話」に関連して「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実ではないか。定義が変わったことを前提に考えなければならない」と官邸で記者団に語った。
 この発言に対し、宋氏は「どこにいようと何をしていようと、正面から真実に向き合い、人類の普遍的価値を尊重しなければならない」と語った。
 米下院の与野党議員は1月末、日本政府に明確に歴史的責任を認め、首相が公式に謝罪するよう求める決議案を提出。2月には元慰安婦を招いた公聴会が開かれた。 (朝日新聞2007年3月3日夕刊)

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《関係記事》

首相発言、米で波紋 従軍慰安婦問題 下院決議案が発端

 【ワシントン=小村田義之】安倍首相が旧日本軍の従軍慰安婦問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と述べた発言が波紋を広げている。ワシントン・ポスト紙が首相発言を伝えたほか、訪米中の宋旻淳(ソンミンスン)・韓国外交通商相が発言に不快感を示すと、これをCNNが報じた。首相の公式謝罪を求める米下院の決議案が発端となっており、日本の近隣諸国との関係が米メディアでも注目されている。
 「日本の首相は過去の政府の謝罪に疑問を投げかけ、アジアの近隣諸国との緊張緩和を危うくしている」。2日付のワシントン・ポスト紙は、東京発のAP電を9面に掲載した。首相の写真入りで、写真説明には「安倍首相の発言は日本の証拠と矛盾する」と書かれている。軍当局の関与と「強制性」を認めた93年の「河野官房長官談話」の見直しの動きがあることも伝えた。
 また、慮武鉉(ノムヒョン)大統領が1日、1919年の独立運動「3・1運動」を記念する演説で、日本に歴史問題の解決を求めていたことに触れ、安倍氏が「その数時間後に発言した」としている。
 米下院の決議案は、民主党で日系のマイク・ホンダ議員のほか、共和党議員も共同提案者となっている。
 昨年までの共和党主導の議会では本会議での可決に至らなかったが、今年から民主党主導となり、決議案の行方が注目されている。
 これに対し、加藤良三駐米大使は2月中旬、「日本政府はすでに謝罪している」と反論する内容の書簡を下院外交委員会の小委員長に提出した。
(朝日新聞 2007年3月3日夕刊9面)

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(2007年3月3日入力)
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