「九条の会」全国交流集会 参加手記

 6月10日に東京で開かれた「九条の会」全国交流集会に、「九条の会・わかやま」事務局スタッフの南本氏が参加し、手記を寄せてくれました。
 生き生きと交流集会の様子を記した手記を掲載します。 (6月12日)

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九条の会・全国交流集会が開催される

「九条の会・わかやま」事務局 南本

 全国各地の「九条の会」から1550人が集り、2006年6月10日(土)、日本青年館(東京・千駄ヶ谷)で「九条の会」初の全国交流集会が開催された。

 まず、小森事務局長が「現在、5174の『九条の会』が結成されている。(和歌山県は61)休むことなく新しい会が結成されており、国会の特別委員会でも『九条の会』が取り上げられ、影響を与えざるを得ない状況になりつつある」と報告した。

 続いて、呼びかけ人挨拶が行われ、
 三木睦子氏は、「若者が賛同してくれるのがうれしい。静かで楽しい世の中にしていきたい」と発言。
 鶴見俊輔氏は、「戦前、政府が『戦争は文明の母』という小冊子を作った。アメリカは文明の名でイラクを攻めている。『もうろく人』として戦争を起す文明に反対していきたい」と。
 澤地久枝氏は、「希望を持ち続けることが必要。希望を持ち市民が集って努力をかさね、新しい知恵が生れてくる。今、我々は新しいところにいるのかもしれない」と。また、「新聞は賛成しなくてもいいが、何故全国の『九条の会』活動の事実を報道しないのか。絶望する人を作り出している。犯罪行為だ」と指摘。
 加藤周一氏は、「今は横に手を組むことができる。今は上り坂だ、勢いに乗ると勝てるかもしれない」と発言。
 小田実氏は、「今は理想的であることが現実的である。『九条を守れ』は夢想的と言って、自衛隊を軍隊として認めて法的に歯止めをかけるのが現実的であるという新しい改憲論者が多い。九条という歯止めがあってもすごいのに、歯止めを外したらとんでもないことになる」と指摘。
 大江健三郎氏は、「独立した多様な声が重なり、このような大きな結実を示していることを喜んでいる。倫理的想像力を考え、憲法九条をいかに守るかを考えていきたい」と発言した。

 続いて各地・各会からの報告が行われた。
 阿賀野9条の会(新潟)は「元町長、元助役、元教育長などが呼びかけ人として生き生きと頑張っているのが特徴。宣伝だけはやり残すことのないようにしている」と語った。
 夕陽ヶ丘高校9条の会(大阪)は「府立高校48校に九条の会がある。全教、日教組、非組合員も含めて結成されている。組合を越えて行動することが多くなった」と発言。
 横須賀9条の会(神奈川)は、「力を入れているのは若いお母さんと青年。300人よりなかなか増えなかったが、小さな語る会を行い、じわじわと会員を増やしている」と。

 続いて11の会場で分散会が行われた。筆者が参加した第9分散会では、各地の9条の会から、日常の具体的な取り組みが報告された。筆者は、過半数の世論を獲得するために、従来の枠を越えて、特に若者の力を結集する活動に注目した。

 「『差別に反対』『個人の自由擁護』で若者にアピールできる」「若者に働きかけ過半数を獲得したい。そのため、『憲法9条ミュージカル』の出演者を一般公募したら、100名が集まり、2000名会場に2500名以上が集った。溢れたので、別の夜公演を行い600名が集った。若い人の要求に合うこと(ミュージカルなど)をすることが大切」「若者に『華やかに楽しく』アプローチする」「町に出ようということで、『ピースキャンドル』を30人の若者でやった。『シール投票』や、新しい企画として『ピースモザイク』(細かく切った色紙で9の字を作る)を実施する」「中学校に出かけて会員が戦争体験を話す」などの発言に注目した。
 また、幅広く活動するために、「九条の会の運動は労働組合の中央集権的なやり方をしては絶対ダメ。動員費の支給などは論外。本当の民主主義的な運営に徹するようにしなければならない」「9条を守る一点で、自分の方から譲ることも必要」「九条の会は、あわてて作るのではなく、地道に粘り強く、しっかりと準備をしてやった方がよい」「息の長い活動をするための底にあるものは、学習だと考えており、1回/月の学習会を実施し、自発性を高めている」などの発言にも注目した。

 最後に「九条の会」から、「アピールに賛同し、思想・信条・政治的立場などの違いを超えた『会』を、市区町村、学区、学校や職域に、網の目のように作り、『九条を守れ』の世論を広げ、過半数世論を結集する場を作ることを呼びかける。この中で、全国数ヶ所で九条の会セミナーを開催すること、また、来年に第2回全国交流集会を開催すること」が訴えられた。

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(2006年6月12日入力)
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