平和や憲法考えよう 県内で集い
武力に代わるのは言葉 戦争の記憶を次世代に
連休初日の7日、和歌山市と紀の川市でそれぞれ、戦争体験者の講演会が開かれた。家族連れなどが参加し、平和や憲法9条の大切さについて考えていた。
和歌山市太田のわかやま市民生協本部では「平和のつどい」があり、生協組合員を中心に約120人が集まった。
東京大空襲・戦災資料センター館長の早乙女勝元さんが、戦争中に自らが使っていた、日の丸に「神風」と書いたハチマキを示しながら講演。12歳の時に東京大空襲で焼け出された体験や、教諭だった兄から憲法9条を教わって独学で学んできたことなどを語り、「武力に代わるのは言葉。戦争の記憶を後の世代に伝え、個人が主体となって平和を守り抜きましょう」と訴えた。
聴講した主婦は「非常に分かりやすく色々と考えさせられた。子どもと一緒に聞きたかった」と話していた。
紀の川市民らでつくる「九条の会・うちた」は結成1周年を記念して、元小学校教諭の吉川薫雄さんの講演会「わたしの戦争体験を語る」を同市古和田の古和田会館で開いた。
戦時中、爆薬を積んだボートで敵艦に突っ込む「震洋特攻隊」の隊員だった吉川さんは、「特攻隊に選ばれた時は何の恐怖も感じず、『いつ死んでもいいや』と思った」と、当時の気持ちを解説した。さらに、特攻を控えながら過ごした基地での様子などを話し、「戦争は人の殺し合い。正義はない」と語った。
また、自衛隊のイラク派遣や憲法改正の動きにも触れ、「政治の動きをしっかりみながら、平和とは何かを問い直す必要がある。地域や学校での平和学習の積み重ねが大切です」と訴えた。
朝日新聞 2006年10月8日 「和歌山」面
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