安倍政権発足 「朝日」社説 アジア外交を懸念(9月27日)

 2006年9月26日安倍内閣が発足しました。安倍氏は解釈改憲で集団的自衛権を行使できるとしつつ、改憲を5年以内に行なうと明言し、臨時国会で教育基本法改定を目指しており、タカ派色を鮮明にしています。内閣の顔ぶれもその実現に向けたシフトと言われています。安倍新首相は歴史認識において「村山談話」を継承すると言わないなど、欧米でも反発を呼びつつあり、アジア外交の立て直しも困難が予想されます。
 以下に、その危うさを指摘した「朝日新聞」社説の一部を引用します。

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安倍内閣発足 果たしてどこへ行く

●アジア外交が心配だ

 アジア外交の立て直しは、小泉政権から引き継いだ最大の懸案だ。首相も中国などとの関係修復に意欲を示している。だが、この人事を見る限り、果たして本気なのかと疑いたくなる。

 安倍氏は、歴史認識や靖国神社問題であいまいな発言を続けている。私たちはこの姿勢を批判してきた。国内はもとより中国、韓国などアジア諸国が納得するのは難しいと考えるからだ。最近、ワシントン・ポスト紙が社説で批判したように、欧米でも反発を呼びつつある。

 この安倍氏の立場を強力に後押しするのが中川昭一政調会長である。就任後の記者会見で「ぴしっと整理されている。私も同じ考えだ」と歩調をあわせた。

 中川氏は97年、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を旗揚げして会長になった。この時、事務局長として支えたのが安倍氏である。

 この会は、植民地支配や侵略の過去を率直に認めることを「自虐史観」と批判し、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択を働きかけてきた。議員の会からは高市早苗氏が沖縄・北方相に、事務局次長だった下村博文氏が官房副長官に、山谷えり子氏は教育再生担当の首相補佐官にそれぞれ起用された。

朝日新聞 2006年9月27日 社説

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(2006年9月27日入力)
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