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《和歌山中央医療生協「健康とくらし」190号・2007年5月号》

【平和憲法いつまでも・憲法特集】 ―― 日本国憲法施行 60周年 ――

 日本国憲法を変えようとする動きは、これまでにも何回かありました。  しかし、最近になって改憲の動きは、規模の上でも強さの上でもかつてなく危険で重大な段階を迎えています。  今この時に、私たちは、日本国憲法をしっかりと自分のものとして学びなおすことが強く求められています。  今回の憲法特集を班会などでの議論の材料に活用してください。

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21世紀は日本国憲法が光り輝く世紀!
        医療生協理事長  阪中 重良

 世界に自慢できる特徴

 日本国憲法が施行されたのは、今から60年前の1947年5月3日です。憲法は、国家の基本原則を定めた最高法規です。日本国憲法のすばらしさは、明治憲法と比較するとわかります。
 明治憲法は 「天皇の国民への命令書」であったのが、日本国憲法では 「権力者に対する国民の命令書」に変わりました。2つ目には、主権が国民にあることを高らかにうた い上げていることです。3つ目は、あらゆる戦争を放棄、戦力を持たない、国の交戦権は認めないとする徹底した平和主義を原則としていることです。明治憲法下では10年ごとに戦争があり、大きな犠牲を出しました。日本国憲法になってからは、戦争によって1人も殺すことなく、戦死者も1人も出していません。この点でも両憲法は根本的に違います。
 4つ目には、基本的人権が全面的に保障されていることです。その理由は、徹底した平和主義によって、戦争や戦争のための準備、軍事的理由による人権の制限を必要としないからです。また、明治憲法下での人権の抑圧体制が、軍国主義の暴走を許した原因になったという反省の上に立って、平和と自由、人権を政治の基本に置き、各国の憲法の優れた条文を取り入れてできています。このように、日本国憲法は世界に誇れるすばらしいものです。

 改憲派はなぜ9条を?

 自民党の『新憲法草案』は、その名が示すように、現憲法を変えるのではなく「新しく国民が憲法を作るのだ」と装っています。『新憲法草案』は、憲法前文と第9条を変えることによって、海外での戦争を可能にすることが中心的な狙いです。
 現憲法の前文は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることの無いように決意し」と書かれています。これは悲惨な戦争への反省に基づいて日本が平和国家として歩む決意を述べたものです。さらに、「全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」と世界の人々の平和的生存権を高らかにうたっています。自民党案は、この項をばっさり削り取っています。
 また、9条1項の 「戦争の放棄」についてはそのままにし、2項の「戦力の不保持・交戦権否認」をすべて削除し、新たに「自衛軍を保持する」と明記しています。この自衛軍は三つの任務を持つとし、自衛軍がアメリカの起こした戦争や国連の軍事活動に参加することを可能にしています。
 イラク戦争に於いて、日本は初めて戦争が行われている地域に、しかも国連とは別組織であるアメリカが呼びかけた多国籍軍に参加することになりました。しかし、イラクの自衛隊は「人道支援」を行うためで戦闘地域には行けず、正当防衛を除いて武器の使用はできません。これは憲法第9条2項が歯止めになっているからです。
 これに対し、アメリカの高官たちは日本に「血を流せ」と迫り「憲法9条は日米同盟の邪魔」などと発言し、ことあるごとに自衛隊を戦争できる軍隊として海外に派兵することを要求してきているのです。
 先にも書きましたように、改憲の中心的な狙いは自衛隊を戦争する軍隊として、アメリカが地球的規模で引き起こす戦争に参加できるようにすることです。最大の障害になっている憲法9条を取り除き戦争に国民を総動員する「戦争する国」を作ることにあります。この根っこにはアメリカの強い圧力があるのですが、日本の財界も日米同盟に依拠して、海外で増大しつつある企業の権益を守ること、また軍備を拡大することで儲けを一層拡大しようという思惑も働いています。

改憲を阻止する展望はあるのか

 日本の有名な知識人9人が、「九条の会」アピールを発表したのは2004年6月でした。アピールに応えて、今では全国で6000を超える「九条の会」が作られ、この和歌山でも70を数え草の根からの運動が繰り広げられています。この運動は、単に改憲を阻止するにとどまらず、日本国憲法のすばらしさを学び、暮らしに生かすとりくみとして発展してきています。この全国の草の根運動は、最近の世論調査の結果にも影響を与えています。改憲勢力も必死ならば改憲させない側も必死です。

 数年後に憲法を変えることの是非を問う国民投票が実施されるかもしれません。もし、 国民投票が実施されても、9条改悪を含むすべての憲法改変案に「NO」と答えをつきつけましょう。そのためにも憲法問題をしっかり学び、訴えられる側から自らが積極的に訴える人になりましょう。
 21世紀は戦争の世紀ではありません。日本国憲法が光り輝く世紀です。

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改憲勢力の言い分を斬る!

@「60年前に作られた憲法だから古くなった」「自衛隊は現にあるのだから、憲法に書き込んでもいいのではないか」

 日本国憲法は、古くなるどころか、世界に先駆けた憲法であり、世界の国々は「見本にすべきだ」と賞賛しています。
 日本の防衛のために自衛隊が必要だと考えている人たちの多くも、海外で武力行使することやアメリカのために海外で戦争することについて賛成はしていないのです。自衛隊が必要だと考えている人たちとも手をつなぎ、「戦争をする国」づくりのための改憲に反対していきましょう。

A「日本のような大国は、国際貢献として軍隊を派遣し、血を流すのは当たり前ではないか」

 世界は大きく変化してきています。たくさんあった植民地のほとんどは独立し、世界に張り巡らされていた軍事同盟の多くが解消、紛争の平和的解決のための共同体づくりが大きな流れになってきています。イラク戦争の始まる前から、国連の内外で平和維持のための議論が活発に行われ、国連でアメリカの無法に対する道理ある意思表示が行われました。フランスなどは公然とアメリカのイラク侵略を批判するなど、国際社会と国際世論の変化は劇的です。
 アメリカは絶えず戦争の構えを崩さない国であり、絶えず武力で解決を図ろうとする国です。日本が、平和憲法に基づいて絶対に軍事力に訴えない、非軍事の立場で世界に貢献していくならば、アジアからも国際社会からも大歓迎されるでしょう。

B「アメリカに押し付けられた憲法だから、日本人の手で書き変えたらいいのでは」

 先日、NHK教育テレビで『焼け跡から生まれた憲法草案』という題で憲法が生まれたいきさつを詳しく放映しました。日本国憲法は、日本が侵略戦争に敗れ、アメリカを中心とした「連合国」の占領下にあった時期に作られたことはたしかです。しかし、GHQ案には、憲法研究者の鈴木安蔵氏などの意見が大きな役割を果たしていますし、国会では14日にも及ぶ議論がされ、憲法25条の生存権規定も議会の討論で付け加えられています。「アメリカに押し付けられた」などということは実際にあわないことです。それよりも、アメリカが世界戦略の都合から、日本の再軍備を推進する立場に政策を急変させ、再軍備を日本に押し付けてきました。第9条の改憲論こそ、最初の出所はアメリカからの押し付けです。

C「北朝鮮脅威」論をどう考えるか

 北朝鮮は、閉鎖的な戦時国内体制をとり、対外的には国際ルールに従わず、弾道ミサイルを保有し相手に恐怖を与える政策をとっています。しかし、北朝鮮には日本侵攻などできる軍事力はないというのが専門家や国際社会では常識です。にもかかわらず、政府・与党はもっぱら世論操作の目的で必要以上に「北朝鮮脅威」を煽り続け、自衛隊や安保条約の存在意義を強調しています。日本が米軍と一体になって、北朝鮮ミサイル脅威に対する軍備の増強をはかると、軍事的緊張を高める危険な事態になりかねません。

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(2007年5月15日入力)
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