《和歌山中央医療生協「健康とくらし」190号・2007年5月号》 【平和憲法いつまでも・憲法特集】 ―― 日本国憲法施行 60周年 ―― 日本国憲法を変えようとする動きは、これまでにも何回かありました。 しかし、最近になって改憲の動きは、規模の上でも強さの上でもかつてなく危険で重大な段階を迎えています。 今この時に、私たちは、日本国憲法をしっかりと自分のものとして学びなおすことが強く求められています。 今回の憲法特集を班会などでの議論の材料に活用してください。
21世紀は日本国憲法が光り輝く世紀! 世界に自慢できる特徴
日本国憲法が施行されたのは、今から60年前の1947年5月3日です。憲法は、国家の基本原則を定めた最高法規です。日本国憲法のすばらしさは、明治憲法と比較するとわかります。 改憲派はなぜ9条を?
自民党の『新憲法草案』は、その名が示すように、現憲法を変えるのではなく「新しく国民が憲法を作るのだ」と装っています。『新憲法草案』は、憲法前文と第9条を変えることによって、海外での戦争を可能にすることが中心的な狙いです。 改憲を阻止する展望はあるのか 日本の有名な知識人9人が、「九条の会」アピールを発表したのは2004年6月でした。アピールに応えて、今では全国で6000を超える「九条の会」が作られ、この和歌山でも70を数え草の根からの運動が繰り広げられています。この運動は、単に改憲を阻止するにとどまらず、日本国憲法のすばらしさを学び、暮らしに生かすとりくみとして発展してきています。この全国の草の根運動は、最近の世論調査の結果にも影響を与えています。改憲勢力も必死ならば改憲させない側も必死です。
数年後に憲法を変えることの是非を問う国民投票が実施されるかもしれません。もし、
国民投票が実施されても、9条改悪を含むすべての憲法改変案に「NO」と答えをつきつけましょう。そのためにも憲法問題をしっかり学び、訴えられる側から自らが積極的に訴える人になりましょう。
改憲勢力の言い分を斬る! @「60年前に作られた憲法だから古くなった」「自衛隊は現にあるのだから、憲法に書き込んでもいいのではないか」
日本国憲法は、古くなるどころか、世界に先駆けた憲法であり、世界の国々は「見本にすべきだ」と賞賛しています。 A「日本のような大国は、国際貢献として軍隊を派遣し、血を流すのは当たり前ではないか」
世界は大きく変化してきています。たくさんあった植民地のほとんどは独立し、世界に張り巡らされていた軍事同盟の多くが解消、紛争の平和的解決のための共同体づくりが大きな流れになってきています。イラク戦争の始まる前から、国連の内外で平和維持のための議論が活発に行われ、国連でアメリカの無法に対する道理ある意思表示が行われました。フランスなどは公然とアメリカのイラク侵略を批判するなど、国際社会と国際世論の変化は劇的です。 B「アメリカに押し付けられた憲法だから、日本人の手で書き変えたらいいのでは」 先日、NHK教育テレビで『焼け跡から生まれた憲法草案』という題で憲法が生まれたいきさつを詳しく放映しました。日本国憲法は、日本が侵略戦争に敗れ、アメリカを中心とした「連合国」の占領下にあった時期に作られたことはたしかです。しかし、GHQ案には、憲法研究者の鈴木安蔵氏などの意見が大きな役割を果たしていますし、国会では14日にも及ぶ議論がされ、憲法25条の生存権規定も議会の討論で付け加えられています。「アメリカに押し付けられた」などということは実際にあわないことです。それよりも、アメリカが世界戦略の都合から、日本の再軍備を推進する立場に政策を急変させ、再軍備を日本に押し付けてきました。第9条の改憲論こそ、最初の出所はアメリカからの押し付けです。 C「北朝鮮脅威」論をどう考えるか 北朝鮮は、閉鎖的な戦時国内体制をとり、対外的には国際ルールに従わず、弾道ミサイルを保有し相手に恐怖を与える政策をとっています。しかし、北朝鮮には日本侵攻などできる軍事力はないというのが専門家や国際社会では常識です。にもかかわらず、政府・与党はもっぱら世論操作の目的で必要以上に「北朝鮮脅威」を煽り続け、自衛隊や安保条約の存在意義を強調しています。日本が米軍と一体になって、北朝鮮ミサイル脅威に対する軍備の増強をはかると、軍事的緊張を高める危険な事態になりかねません。 |
(2007年5月15日入力)
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