和歌山市で小森陽一氏が講演「夏目漱石の和歌山講演100年目に」
2011年7月30日、和歌山市内の和歌山商工会議所4F大ホールで、日本近代文学研究者・東京大学教授で「九条の会」事務局長の小森陽一氏が「新『現代日本の開化』と憲法9条―夏目漱石 和歌山講演から100年目に考える―」と題して講演されました。「九条ネットわかやま」が主催しました。
漱石が日露戦争に勝って植民地を持つ1等国入りしたことに浮かれる日本の世相を批判したことから説き起こし、江戸時代の黒船の歴史背景と帝国主義戦争の概略なども交えつつ、最近新聞で中曽根元首相が原子力利用こそ4等国にならぬ道と考えたと述べていることに至る一貫性を指摘。そして、以前に大江健三郎氏がルモンド紙に「核の傘と原発を安全として二つの安全に頼る勢力は同じだ」と述べたことを付け加えられました。
そして、漱石が日本の変化は内発的でなく外から押しつけられる外発的変化だと指摘したことが当たっているし、消極的活力節約と積極的活力消耗のバランスでは前者の便利主義に偏って来たとして、エネルギー問題も再考すべき時と指摘されました。
九条の会は、日米同盟で1990年代以降アメリカのイラク戦争に日本を深く関与させるため憲法9条がじゃまになり改憲の動きが急になったことに抗して、草の根の世論を「改憲不要」に逆転させたことを指摘。3.11を経た今、被災者は憲法13条の基本的人権、22条の居住・移転・職業選択の自由などが奪われている。9条で戦争を放棄した被爆国日本は核兵器を拒否するし、原爆材料の製造も拒否すべきだ。草の根の世論で日本国憲法全体を実現させるよう共に頑張っていこう、と結ばれました。
満員(約300名)の参加者は大きな拍手で応えていました。 (文・写真:柏原)
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