「朝日新聞」電子版 9月10日

海兵隊の抑止力維持強調=普天間、県内移設を説明―防衛白書

 北沢俊美防衛相は10日午前の閣議で、2010年版防衛白書を報告した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を同県名護市辺野古へ移設すると明記した5月の日米合意について「普天間の海兵隊ヘリ部隊を国外・県外に移設すれば、海兵隊の機能を損なう懸念があり、代替地は沖縄県内とせざるを得ないとの結論に至った」とし、在沖縄海兵隊の抑止力維持の必要性を強調した。

 防衛白書の公表は民主党政権にとって初めて。普天間移設をめぐっては、鳩山由紀夫前首相が県外移設の可能性を探り、政府・与党内で迷走したが、最終的には辺野古移設で日米が合意。これに対し、地元・沖縄は強く反発し、実現のめどは立っていない。

 白書は政権交代後の検討過程で、「東アジアの安全保障環境に不安定・不確実性が残る中、海兵隊を含む在日米軍の抑止力を低下させることはできないとの判断」があったと指摘。また、「代替施設を決めない限り、普天間返還はないといった現実の下、沖縄県民の負担軽減と危険性除去を優先したもの」とも強調し、今後も政府として負担軽減などに全力を尽くすとしている。

 一方、中国の動向に関しては、国防費の高い伸び率や、日本周辺海域で海軍の活動が活発化していることを踏まえ、「国防政策の不透明性や軍事力の動向は、わが国を含む地域・国際社会にとっての懸念事項」と明記した。北朝鮮情勢についても「わが国を含む東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因となっている」と断じた。  [時事通信社]

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(2010年9月12日入力)
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