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北海道新聞社説
武器輸出緩和 平和外交の理念を守れ(9月20日)

 民主党の前原誠司政調会長が防衛政策をめぐり踏み込んだ発言を繰り返している。
 ワシントンでの講演で、武器や軍事技術の輸出を禁じた武器輸出三原則見直しや、国連平和維持活動(PKO)の武器使用基準緩和を主張した。
 武器輸出の原則禁止は非核三原則とともに日本の平和外交を支えてきた、いわば国是だ。なし崩し的な緩和は認められない。
 PKOの武器使用基準も憲法が禁じる海外での武力行使につながるため歯止めがかけられている。基準緩和は憲法解釈の見直しを迫るもので、慎重な議論を求めたい。
 武器輸出三原則は1967年に佐藤栄作首相が《1》共産圏《2》国連決議で禁止した国《3》紛争当事国への輸出を認めないと表明し、76年には三木武夫首相がそれ以外の国への輸出もしない考えを示した。
 だが防衛省や経済界は、兵器の国際共同開発に参加できず戦闘機などの装備購入が割高になる−などとして見直しを求めてきた。
 前原氏も武器の共同開発・生産は日米同盟の深化につながるとした。
 民主党は昨年暮れ、艦船など完成品は平和目的に限って輸出制限を解き、厳格な輸出制限をしている国とは兵器の共同開発も認めるよう提言した。
 しかし、どんな歯止めを設けても一度海外に出た技術や武器が第三国に渡らない保証はない。
 前原氏は党の提言に沿った発言だと釈明している。しかし提言には党内から反対声明が出され、新防衛大綱でも三原則緩和は見送られた。
 民主党は新体制で政調会長の権限を強めた。前原氏が強引に論議を進めることがないようくぎを刺しておきたい。
 PKOでの武器使用は、正当防衛と緊急避難に限定されている。
 前原氏はこれも、攻撃を受けた他国軍を守る「駆けつけ警護」を認めるよう緩和を求めた。
 だが、憲法が禁じる海外での武力行使や集団的自衛権の行使に抵触する恐れがある。  集団的自衛権は憲法9条が許容する必要最小限の自衛権の範囲を超えるというのが政府の一貫した立場だ。前原氏はこの政府解釈にも「疑義を持っている」と踏み込んだ。
 だが政府見解は国民も支持してきた歴史的な積み重ねがある。それを忘れ、憲法の平和主義を空洞化してはならない。
 前原氏が米国でこうした発言をしたのは対米配慮が感じられる。きょう訪米する野田佳彦首相はこれまでの政府の立場を堅持する考えをしっかり示すべきだ。


 原文  どうしんウェブ北海道新聞
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/319630.html

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(2011年9月25日入力)
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