「守ろう9条 紀の川 市民の会」第7回総会で
由良登信氏 講演
「憲法9条をめぐる危険な動向」〜民主党政権は何を目指しているのか?〜
2011年3月6日(日)和歌山市河北コミュニティーセンターで開かれた、「守ろう9条 紀の川 市民の会」総会に先立って、由良登信(ゆら・たかのぶ)弁護士が講演を行い、多数の参加者に憲法9条を守る運動を続ける重要性を訴えられました。
由良氏はまず、「自民党案が出た時には『大変だ、反対しなければ』とエネルギーが素直に出たが、民主党政権が何を目指しているか分かりにくいところから、憲法9条を守る運動に一定のとまどいがある」と前置きして、配布されたレジメに沿って具体的に話されました。
民主党の改憲方針は一貫しており、2005年10月「憲法提言」では、@憲法に「制約された自衛権」を明記、A国連主導の集団安全保障活動への参加を規定、B「民主的統制」規定、C憲法に基づく「安全保障基本法」制定、などを提言した。その後、2006年に改憲手続き法案提出、2009年マニフェストで「2005年提言をもとに憲法論議」と提起、「新憲法制定議員同盟」に参加という流れである。
ただ、明文改憲は先送りして解釈を変えてゆく道をとっている。2009年11月4日・平野官房長官「(憲法解釈は)過去の内閣法制局長官の国会での答弁にしばられない」(内閣法制局長官に国会答弁させない国会法改正案)、2010年1月12日・北沢防衛大臣記者会見「武器輸出3原則見直しの議論を」、2010年3月19日閣議で答弁書決定「イラク特措法は違憲ではなかった」「同法に基づく自衛隊のイラク派遣も違憲ではない」、2010年3月に日米「(核)密約」報告書を公表したが密約を破棄せず、2010年4月「外交青書」は日米同盟を日本外交の基軸とし地球規模で日米協力強化をうたう自民党と同じ路線である、といった事実がある。
米海兵隊の辺野古移転容認、尖閣諸島問題での関係悪化、2010年12月安全保障会議決定・閣議決定「新防衛計画の大綱」でグローバルな能動的活動を行い得る「動的防衛力構想」など、勢力均衡を重視している。
こうした政策を推進する基盤を固めるため、民主党マニフェストに基づく「衆議院比例定数80削減」により、4割の得票で7割の議席獲得をねらっている。(2010年2月16日・菅首相「国会議員定数・歳費削減の具体案を6月に提示」)
このような指摘の後、由良氏は、2010年5月18日に改憲手続き法の国民投票部分が施行され、国会発議があれば国民投票ができる状態の中で、改憲に向けた民主党の方針と動きは危険であり、憲法9条を守る運動は一休みどころか、さらに続けなければならないと訴えられました。
(柏原卓・写真も)
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