九条の会ニュース 第213号(2015.8.21)
[「戦争法案は廃案に! 九条守れ 九条の会交流・討論集会」( 8.12) まとめの挨拶]

まとめのあいさつ
        事務局 小森 陽一

 この2015年8月12日というこの日にこの「交流・討論集会」をもったことは重要な意味をもったとあらためて思います。
 第1に、5月1日に九条の会事務局として提案させていただいた方針をそれぞれの地域、分野の会の実情に即して実践していただいたことが、これまでとは量的、質的に違った大きな運動を生み出している。
 今日ここに集まったそれぞれの九条の会の皆さんが、それぞれの地域、分野でこれからどれだけ早く、そして多くの仲間にこのこと伝えることができるか、これが第3次安倍政権を打倒していく運動に転換するうえで重要な意味をもっている。
 私たち九条の会をはじめとする草の根の運動を積み重ねることによって第1次安倍晋三政権を打倒した経験をもっています。九条の会等の運動によって、3年続けて「憲法を変えない方がよい」という人が増え続け、「変えた方がよい」という人が減り続け、拮抗するなかで2007年の参議院選挙が行われました。そのため自民党と同じ改憲政党であった民主党の小沢一郎代表は、「国民の生活が第一」とマニフェストを大きく転換し、7月の参議院選挙では民主党が勝利して、自公政権のもとで改憲は許さないという状況をつくりだした。
 ここで渡辺さんが冒頭あいさつの最後の4つの行動提起の一つとして強調した沖縄の辺野古基地の問題を九条の会の運動と結びつけることが大事だと言っていたことの歴史的意味を思い起してください。草の根から始まった九条の会の運動をつぶすために小泉政権は2005年9月に郵政民営化の是非を争点に総選挙を行いました。そして自民党は296議席を獲得、公明党とあわせればいつでも明文改憲が可能な状況をつくった。そして2005年10月28日に自民党新憲法草案をだして、その中で9条2項を削って自衛軍を保持するとした。その1ヵ月前、2+2=日米の外務・防衛閣僚会議で、自衛隊をアメリカの海兵隊といっしょに世界に殴り込める部隊にする、そして2本の滑走路をもって海兵隊が使える辺野古基地をつくることが決まった。同じ2+2でアメリカ軍と自衛隊が情報を共有するのだから特定秘密保護法が不可欠だ、少数で戦争を判断するためアメリカと同じ国家安全保障会議が必要、ということを決めました。
 それを実行するために出てきたのが第3次小泉政権の官房長官であった安倍晋三という政治家です。彼は2006年に安倍政権をつくり、そして2007年の参議院選挙で敗北してもなお辞めなかった。ではどうして辞めたか。9月5日のシドニーにおけるアメリカのブッシュ大統領との首脳会談で、泥沼になっているアフガニスタンに自衛隊をPKOとして派遣する、それから小澤民主党が憲法違反と言って反対しているアフガニスタン攻撃の有志連合への給油活動の継続を求めた。これにたいして安倍首相は「職を賭してやる」と言ったのです。でも泥沼になっているアフガニスタンには非戦闘地域以外に自衛隊を参加させることは絶対にできないと頑張ったのが内閣法制局長官の宮崎礼壹さんで、宮崎さんは国会でいまの法制は違憲だと明確に言っていたのです。
 第2次安倍政権は国家安全保障会議法と特定秘密保護法を強行採決し、そしていま戦争法案を何としてでも成立させようとしている。2011年まで私たちは九条の会の数を7528までカウントしました。この間、多くの会で中心になっていた人が亡くなったり、お休みする会も出ていますが、新しい九条の会もたくさん生まれていますので、今はアバウトに7500といっています。この九条の会が5月1日の九条の会事務局の呼びかけに応えていっせいに行動したことが、安倍政権の支持率を37%まで落したのです。これは私たちが運動のなかで勝ち取った支持率の低下です。だったら、それをあと10%落とすかどうかです。ここが、これからの私たちの運動の要になります。
 そこで渡辺治さんが提起した4つの行動をあらためて確認しておきます。まず第1、今日皆さんが報告された地域・分野の運動を一回りも二まわりも広げること、とりわけ保守的な人たちの立ち上がりを求める活動を強めることです。第2は、そして地域でも大きな集会を開く、九条の会はそのイニシアティブを積極的にとることです。第3に、これを踏まえ、8月30日「国会10万人、全国100万人大行動に多くの人を誘って参加することです。東京に近いところでは、国会前の集会に多くの人に集まってもらう。それぞれの地域でも大集会に集まってもらう。そして第4に、戦争法案反対の闘いと沖縄の基地問題と結びつけて運動すすめる、ここに安倍政権を退陣に追い込む展望があると思います。
 私たち九条の会のがんばり時です。