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神戸新聞 2015年3月24日

安保法制合意/なし崩しに懸念は強まる

 「なし崩し」とは、正式な手続きを経ずに既成事実を積み上げることを言う。新たな安全保障法制をめぐる自民、公明両党の協議の進め方はなし崩し以外の何物でもない。
 2月の協議再開からわずか6回の会合で、両党は法制の骨格について合意した。その間、野党も国民も置き去りにされた格好だ。
 自衛隊の活動範囲が、回を追うごとに拡大された。米軍以外の他国軍の支援など「できない」とされた海外での活動が、次々に「可能」と変わる。つじつまを合わせるために耳慣れない理屈を持ち出す。
 「平和主義」や「専守防衛」とは矛盾しないのか。肝心の議論が生煮えのままの決着である。
 骨格は、武力攻撃に至らない武装集団の侵入などを指す「グレーゾーン事態」への対処や、集団的自衛権行使など、5分野にまたがる。政府は合意を受けて法案を作成し、5月中旬の閣議決定を目指す。
 4月末には日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定を予定しており、それに内容を反映するため結論を急いだのは間違いない。
 問題は、軍事行動拡大への歯止めが依然、曖昧なことだ。
 例えば、与党は国際紛争に対処する他国軍への後方支援を随時可能にする恒久法の新設を掲げる。
 これまではアフガニスタンを攻撃する多国籍軍への給油、給水などを個別に国会で審議し、その都度、期限付きの特措法を制定してきた。
 他国との「武力行使の一体化」を禁じるのがこれまでの憲法解釈だ。一方、政府は昨年の閣議決定で自衛隊の活動範囲を「現に戦闘行為をしている現場」以外に拡大した。海外派遣を随時可能にするのなら、今以上に厳密な判断基準が必要だ。
 骨格は、公明党の主張を入れて海外派遣に「国連決議か関連する決議がある場合」との条件を付けたが、どんな決議かは明確ではない。国会の事前承認が「基本」ともするが、恣意(しい)的な運用の懸念は残る。
 そもそも、昨年の閣議決定は恒久法の制定には触れていない。集団的自衛権の行使容認に道を開いた閣議決定自体「解釈改憲」の疑いが強い。その文言すら踏み越えた解釈の拡大は暴走というしかない。
 独りよがりの議論は許されない。政府、与党は結論を急がず、もっと丁寧に国民に説明すべきだ。