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96条改正に新聞各紙は批判続出 「姑息な手段」「熟議ないがしろになる」

2013/05/17 15:28 共同通信


 新聞各紙は3日の憲法記念日を中心に社説、論説で憲法改正問題を取り上げた。安倍晋三首相が意欲を示す96条改正に対しては批判が続出。憲法と絡めて、東日本大震災からの復興や米軍基地問題への対応、道州制について論じた地方紙もあった。

 ▽「姑息」
 96条は改憲の発議要件として衆参両院の3分の2以上の賛成が必要と定めているが、安倍首相は「憲法を国民の手に取り戻すためには96条を変えていくことが必要だ」と過半数への緩和を目指す。  これに賛成するのは、かつて改憲試案を提起した読売新聞と、自社の「国民の憲法」要綱を4月に発表した産経新聞だ。読売は「まずは発議要件緩和を」と訴えた。
 朝日新聞は「一般の法改正とほぼ同じように発議でき、権力の歯止めの用をなさない。憲法の根本的な性格を一変させるおそれがある」と反対の姿勢を示した。毎日新聞も「改憲には厳格な要件が必要だ」と主張する。
 40紙以上ある地方紙の多くも96条の改正に警鐘を鳴らす。「まず条件を変えようというのは 姑息 (こそく) な手段であり、筋が通らない」と非難したのは富山県の北日本新聞。神戸新聞は「合意に時間のかかる中身の改正を後回しにし、まずハードルを下げるやり方は乱暴」。京都新聞も諸外国が厳しい要件の中で改憲を実現していることに触れ「議論を尽くし、相当なエネルギーを費やしたはずである。発議要件の緩和は、その最も大事な熟議をないがしろにしかねない」と指摘した。

 ▽9条のたが
 社説や論説で連日、憲法をテーマにした新聞社も。3日連続で掲載したのは毎日、山梨日日新聞、信濃毎日新聞、中日(東京)新聞、中国新聞、愛媛新聞の各紙だ。
 中国は、自衛隊や日米安保体制の現状と9条の食い違いを認めた上で「日米同盟に傾斜しながらも、日本は独自の平和主義路線を歩み、国際的にも支持されてきた。9条という『たが』があってこそだろう」と平和主義の意義を強調した。
 安倍首相が意欲を示す 秘密保全法制の整備 や、与党が進める道州制への懸念を表明したのは愛媛。「知る権利」侵害の危機を説き、道州制には「国と地方の役割をどう見直し、どんな国の形にしていくのか、導入の是非を含めた議論を尽くすことが必要だ」としている。
 徳島新聞、長崎新聞の両紙も2日連続で掲載。産経は憲法記念日の前後に7回にわたり、自社の憲法要綱をベースに主張を展開した。

 ▽理念と隔たり
 河北新報は13条の幸福追求権、25条の生存権を挙げ疑問を呈した。「被災地の現状は憲法に掲げるそうした権利実現の理念と隔たってはいないか。憲法順守の義務を負う国は震災復興を最大の責務と受け止めるべきだ」
 東京電力福島第1原発事故の影響で県内外に多くの避難者がいる福島県。「〈健康で文化的な最低限度の生活〉を、まず回復し、しっかり保証していくのが国や政治の役目ではないか」とする福島民報の指摘は重い。
 過重な基地負担を強いられている沖縄の2紙は、在日米軍の運用を定めた日米地位協定に言及した。沖縄タイムスは「沖縄では『憲法・国内法』の法体系は、『安保・地位協定』によって大きな制約を受けているのが現実だ」。琉球新報も「改憲派は『押し付け憲法』を批判するが、それなら占領軍の権利を事実上残した日米地位協定を抜本改定するのが先であろう」と強調した。

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(2013年5月23日入力)
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