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京都新聞 2015年4月30日

国民不在の同盟強化だ

 安倍晋三首相とオバマ米大統領による首脳会談は、戦後70年を迎えた日米を「不動の同盟国」と位置づけ、安全保障と経済の両面で「グローバルな同盟関係」として強化する新たな段階に入ることをアピールした。
 両首脳は、軍事協力を地球規模に広げる防衛協力指針(ガイドライン)改定の意義を強調し、環太平洋連携協定(TPP)の早期妥結を主導する方針も確認した。国際社会で影響力を強める中国に対し、日米が一層連携して主導権を維持する狙いと言える。
 だが、安保法制、沖縄基地問題など国民の理解を後回しにし、同盟強化を優先する政権姿勢は問題が大きい。外交や政治、経済面でも日本の進路を縛り、国内外であつれきを広げかねない。
 安倍首相は会談後の共同会見で「日米同盟はアジア太平洋のみならず、世界の平和と安定になくてはならない」と表明。新指針に基づき地球規模で協力拡大する「同盟の変革」を両首脳が強調した。
 会談では沖縄県・尖閣諸島が日米安保条約の防衛対象と再確認し、共同声明でも中国の海洋進出などを念頭に「力と強制による一方的な現状変更」を非難した。日本にとって中国への抑止力確保が日米同盟強化の主眼と言えよう。
 「お互いのため」とオバマ氏があえて日本語で説明したように、米国の思惑はそれだけではない。財政難にあえぐ米国は世界軍事戦略の一部肩代わりを日本に期待しており、各分野で一層の負担を求めるのは必至とみられる。
 その焦点の一つが沖縄基地問題だが、安倍首相は県民や翁長雄志知事の反対にもかかわらず「普天間基地の辺野古移設の推進」で合意。オバマ氏は「沖縄の負担軽減に協力していく」と述べるにとどまり、共同声明では触れられなかった。翁長氏が「強い憤りを感じる」と反発するのは当然だろう。
 同盟強化は経済を含め幅広い分野で強調され、TPP早期妥結やアジアインフラ投資銀行(AIIB)への対応でも中国に対抗し、日米の共同歩調を確認した。世界で影響力低下が目立つ米国には心強いだろうが、日本が対米追随するだけでは国際的な経済、環境などの課題で孤立化する恐れもある。
 新指針に基づく日米同盟の強化は戦後日本の平和主義を揺るがす大問題だ。新指針を裏付ける安保法制の国会審議は5月中旬にも始まる。政府は一から国民に説明する責任がある。独断専行は許されない。