沖縄タイムス 社説 2014年02月23日 ■ ■
「なぜそんなに急ぐのか」「選挙に勝てば憲法解釈を自由に変えられるのか」。身内の自民党総務会からも首相答弁を懸念する声が相次いだ。改憲論者として知られる小林節慶応大学教授は「(行使容認は)普通の軍事大国になることを意味する」「それを解釈変更の名で実行するのは単純、明白に違憲だ」と断じる。 憲法は国の最高法規と位置づけられている。最高法規とは、他のすべての法形式に優先する効力を持つ、という意味である。閣議決定によって憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めることになれば、9条に基づく平和主義が、一政権の単なる閣議決定によって瓦解(がかい)することになる。「本末転倒もはなはだしい」(小林教授)というほかない。 内閣法制局の阪田雅裕元長官は、在任中、憲法解釈を担当してきただけに、辛辣(しんらつ)だ。「解釈改憲で集団的自衛権を行使できるのならば憲法9条の意味はない」 ■ ■
安倍首相の靖国参拝は、首相支持層から拍手喝采を浴びた半面、米国を「失望」させ、国内外から厳しい批判を受けた。今年に入って今度は、首相側近や首相が起用したNHK経営委員から歴史認識をめぐる問題発言が相次いだ。安倍政権に対する警戒感が世界的な規模で広がっているこの時期に、閣議決定による憲法解釈変更を強行すれば、「戦前回帰」を懸念する声が広がるのは避けられない。日本の重大な岐路である。 |