平和願い地道に400号 九条の会・わかやま 会紙創刊14年(朝日新聞・和歌山 2020.06.13)



平和願い 地道に400号
 九条の会・わかやま 会紙創刊14年

 「九条の会・わかやま」の会紙が400号をむかえた。創刊から14年、日本国憲法9条をめぐる時事問題や、戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認の実現を目ざす市民の動きを、月2~3回、うまずたゆまず報じてきた。
 「当会紙400号に!!」。白抜き文字がおどる400号は5月25日に発行した。1面には、弁護士の金原徹雄さんの「県下で9条を守る運動に取り組む人々に貴重な情報を提供し、『みんな頑張っているんだ』という励ましを与え続けてくださっています」など、お祝いとねぎらいの言葉を掲載。2面には、5月に和歌山市であった9集まもれのデモ行進や、国会正門前であった憲法集会の様子を収録した。
 33号から編集を担う元会社員の南本勲さん(76)=和歌山市=によると、始まりは「怒り」だった。
 作家の井上ひさしさんや憲法研究者の奥平康弘さん、評論家の加藤周一さんら9人が「九条の会」を設立したのは2004年6月。以降、全国各地の市民が会を設立していく。県内でも05年9月に農協組合長や僧侶、建築家らが会見して「九条の会・わかやま」の結成を発表した。  翌年5月、「わかやま」は県内の46団体と一緒に、「九条の会」を呼びかけた一人で作家の澤地久枝さんを招いて、「平和のつどい」を県民文化会館で開く。2千席の会場から人があふれる盛況だった。
 ところが「つどい」を報じたのは一部メディアのみ。朝日新聞は掲載しなかった。これに「わかやま」のメンバーは怒った。「メディアが黙殺するなら私たちが伝えよう」。こうして06年6月20日に第1号がうまれた。「報道しない新聞」に対する澤地さんの批判「絶望する人を作り出している。犯罪行為だ」も載せた。  以降、月に2~3回の頻度で発行した。全国各地や県内の大小の集会の告知と報告、識者の講演録、映画評、書評、憲法をめぐる世論調査結果や政治の動きを載せてきた。
 南本さんの編集方針は「うちはこんなことをしているよ」と知らせあう交流の場と、「こうしたらうま<い<よ」と知恵を出しあう場とするの二つ。「県下のどんな小さな動きでも伝えていきたい」と話す。
 会紙は「九条の会・わかやま」のホームページに掲載している。県内の動きを載せている和歌山大学名誉教授の柏原卓さん(71)=和歌山市=は「戦争では若い人が血を流す。それを世論の力、憲法9条の力で食いとめたい」。
 会紙の送信を希望する人は氏名を記入して柏原さん(kashisgr@gmai1.com)へ。 (下地毅)