憲法改正国民投票法案 与党案・民主党案
国会提出
 (5月26日)

 5月26日付け「朝日新聞」に、同日国会に提出される与党と民主党の、憲法改正国民投票法案の主な内容が報道されました。
 以下に、新聞を引用します。

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[本文から]

国民投票法案出そろう
きょう国会提出、来月1日にも審議入り

与党 民主と修正協議重視
民主 18歳以上 改憲以外も

 憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法案をめぐり、自民、公明両党の与党案と民主党案のそれぞれの内容が固まった。両法案はともに26日に国会へ提出され、6月1日の衆院本会議で趣旨説明が行われる見通しだ。与党は今国会で与党案を成立させることよりも、民主党との修正協議を重視している。憲法改正を実現させるには、民主党の賛成を得た上での成立が望ましいと判断しているからだ。

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修正協議の焦点は、@投票対象A投票権者B過半数の定義−の3点にほぼ絞られている。与党案は、国民投票の対象を憲法改正に限定し、投票権者を「日本国民で年齢満20年以上の者」と定めている。また、憲法改正が認められる過半数については「有効投票総数の2分の1を超えた場合」とした。
 これに対し、民主党案は投票対象を憲法改正だけに限らず、「国政における重要な問題にかかわる案件」まで拡大。投票権者は「日本国民で年齢満18年以上の者」と年齢を引き下げ、テーマによっては「国会の議決により、日本国民で年齢満16年以上満18年未満の者」も認めている。また、過半数については、有効投票総数ではなく「投票総数」の2分の1を超えた場合と定めた。
 さらに、投票用紙への賛否の記載方法も、与党案が賛成○、反対×、その他は無効票としているのに対して、民主党案は賛成は○とし、それ以外は反対票に数えている。
 これ以外の項目は与党案も民主党案もばば共通している。憲法改正案が衆参両院で可決されて国民に発議された場合は、衆参両院の各10議員でつくる「広報協議会」を設置。改正案の内容を記した公報をつくるほか、説明会の開催などを担う。
 国民投票は、国会の発議から「60日以後180日以内」で、国会の議決した日に実施する。国民投票の執行にかかわる事務は中央選挙管理会が管理する。
 発議から国民投票までの運動は、「表現の自由」など憲法が保障する国民の自由と権利を尊重しながら、投票事務関係者の運動は禁止。ただ、与党案は検察官や警察官らの運動も禁じているほか、公務員や教育者については「地位を利用して国民投票運動をすることができない」と定めている。
 両案ともこの期間の報道についての規制はいっさい設けていないが、投票日前の7日間は「広告主に対する規制」との位置づけでレビCMな どのスポットCMを禁じている。
 このほか、国民投票に異議がある場合は、中央選挙管理会を被告として「(国民投票の結果の)告示日から30日以内」に東京高裁への提訴を可能にした。

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●与党案(要旨)

 与党がまとめた日本国憲法の改正手続きに関する法律案の要旨は以下の通り。
 第1条 この法律は、憲法第96条に定める憲法改正にづいて、国民の承認にかかわる投票に関する手続きを定めるとともに、あわせて憲法改正の発議にかかわる手続きの整備を行うものとする。
 第2条 国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行う。
 第3条 日本国民で年齢満20年以上の者は、国民投票の投票権を有する。
 (中略)
 第12条の2 憲法改正案広報協議会の委員数は、憲法改正の発議がされた際、衆院議員であった者、参院議員であった者、各10人とする。
 (中略)
 第14条 憲法改正案広報協議会は、次に掲げる事務を行う。▽国会の発議にかかわる憲法改正案、その要旨及びその解説、並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成▽憲法改正案に関する説明会の開催
 (中略)
 第48条 投票は、国民投票にかかわる憲法改正案ごとに、1人1票に限る。
 (中略)
 第58条 投票人は、投票所において投票用紙の記載欄に、憲法改正案に対し賛成するときは○の記号を、憲法改正案に対し反対するときは×の記号を自書し、これを投票箱に入れなければならない。
 (中略)
 第106条 何人も、国民投票の期日前7日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、一般放送事業者、有線テレビジョン放送事業者、有線ラジオ放送の業務を行う者または電気通信役務利用放送の業務を行う者の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、またはさせることができない。
 (中略)
 第126条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成票の数が有効投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。
 第127条 国民投票に閲し異議がある投票人は、中央選挙管理会を被告として、(国民投票の結果の)告示の日から30日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起すること
ができる。  (中略)
 第151条 国会法の一部を次のように改正する。▽議員が憲法改正原案を発議するには、衆議院においては議員100人以上、参議院においては議員50人以上の賛成を要する▽憲法改正原案の発議に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする▽憲法改正原案について国会において最後の可決があった場合には、その可決をもって、国会が憲法改正の発議をし、国民に提案したものとする▽憲法改正の発議にかかわる国民投票の期日は、当該発議後速やかに、国会の議決でこれを定める。
 付則 この法律は、公布の日から起算して2年を経過した日から施行する。

●民主案(要旨)

 民主党がまとめた国民投票法案のうち、与党案と異なる部分の要旨は以下の通り。
 第1条 この法律は、憲法第96条に定める憲法改正についての国民の承認にかかわる投票および国政における重要な問題にかかわる案件についての国民の賛否の投票に関する手続きを定めるとともに、あわせて憲法改正の発議および国政問題にかかわる案件の発議にかかわる手続きの整備を行うものとする。
 第3条 日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する▽国会の議決により、当該国民投票に限り、日本国民で年齢満16年以上満18年未満の者も国民投票の権利を有するものとすることができる。
 第58条 投票人は、投票所において投票用紙の記載欄に、憲法改正案に対し賛成するときは○の記号を自書し、憲法改正案に対し反対するときは何らの記載をしないで、これを投票箱に入れなければならない。
 第122条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成票の数が投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。

2006年5月26日(金)「朝日新聞」
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(2006年5月26日入力)
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